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役人の浅知恵で天下の悪法、専売法で塩が統制価格でコントロールされたのは1970年からだった。今までの塩田天日干しによるミネラル分豊富な塩採取から、国が儲かる統制価格による塩化ナトリウムだけの精製塩と人手を使った栄養満点で料理の陰の主役の塩との価格を同じ統制価格にした事によって、製造原価の高い塩田は殆ど消滅してしまった。輸入塩も実質的に禁止されていたが、21世紀になり、塩の専売法が無くなり自由価格に戻った。

フランス料理は塩の料理とも呼ばれ、天然塩によって食材の個性を生かす料理でもある。岩塩やブリュターニュの塩等、多種多様な塩があり、僕も日本に帰るときはバッグに天然塩を忍ばせて持ち込んだ。特に馴染みの蕎麦屋さんに塩を持ち込んだ時は、日本の工業製品 精製塩とブリュターニュの塩とでは湯煎後のソバの香りが全く違うと、大いに喜ばれた。

蕎麦屋の大将の希望もあり、何とか天日干しの塩を日本に輸入しようとしたが、専売法の為に液状で無いと輸入出来ないと言う。つまり原価率1割程度のボロモウケ精製塩のドル箱の牙城を守ろうと言う政府の方針だった。日本発でインスタントラーメン等が一気に広がったのも1970年頃からだろうか。日本人の味覚音痴も専売法の精製塩のお陰で一気に広がってしまった。

タイにホテルオープンの準備に行った時、プーケットビーチで天日干しの塩を購入して日本に持ち帰って蕎麦屋の大将にプレゼントして大いに喜ばれた。外国人旅行者も岩塩を持込み、加工品としての輸入クレイジーソルト等が大量に入荷して来た。国産の塩コショウ、アジシオ等も拡販され流石に日本政府も前近代的な金儲け塩専売法は国辱と考えて廃止に踏み切った訳だ。

時を同じくして、メキシコ産の天日干し塩が日本で再加工され伯方の塩として売り出されたり、様々な塩田が再開され、海外からも多種多様な塩が輸入される様になった。同時に世界中で日本食ブームが起こり、エスニックを含めた様々な国の料理が拡がった。正に塩の専売制度廃止と期を同じとする。

塩は食文化、生存の基本材だ。政府の恣意的な介入が日本の食文化を歪め、成長を遅らせた事は、大いに反省してもらいたいものだ。

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