闇バイトの原因は政治家にあり
僕が慶應義塾大学に入った途端に親父が逝去した。周りは金持ちのボンボンばかりで僕は慶應入学を後悔した。取り敢えず金のかからないレスリング部に入部。気性がヤクザっぽかったので拓大や農大の入れ墨が入って居る相手でも平気で闘っていた。知能犯の可能性がある僕に、ヤクザの親分ぽい人が『俺のところでバイトせんか?入れ墨をタダで入れさせてやるから』と誘われた。好きだった鉄腕アトムの入れ墨でも入れようと真剣に悩んだものだ。
担任のフランス語の大久保洋海先生に相談に行ったら、『長谷川お前は馬鹿か。これでも読んでみろ』と開高健のエッセイ集『漂えど沈まず』を渡された。フランスの格言を開高健が意訳した面白い啓発本だった。あの時、軽い気持ちで粋がって入れ墨を入れていたら僕は沈んでしまい、人生の裏街道を歩く事になっただろう。ホンの少しの出来心で沈んでしまうところだった。20歳前後は精神的に不安定で好奇心が旺盛だ。正に大久保先生の著『さすらいの青春』そのものだ。いくら大久保先生に感謝しても感謝しきれない。
コロナ渦で友人関係、人間関係も疎遠になり、その上、国のリーダーである総理大臣は日本人、特に若者に明るい未来さえ示すことが出来ずにいる。日本は将来無くなるかもしれないと、平気でぬるま湯に浸るマスコミ諸氏や評論家もうそぶいている。僕たちの時代は学生運動もあり、ストレスを発散する場もあった。今はどうだろう。金持ちはより金持ちになり、大谷翔平の様な天才的な一握りのスポーツ選手は大金持ちになれる。しかし平凡な殆どの真面目な庶民は酷税と、暗い未来に厭世観をもって日々を過ごしている。
若者は好奇心の塊だ。だけどその好奇心と無防備さにヤクザや悪党が忍び込んでくる。僕が常識を持たず悩んだ様に、変に刺激を求めて飛びつく事もあろう。それが二度と人生の取り返しがつかない罠だったら万事休すだ。その投げやりな意思決定の最大の原因は、日本に漂う厭世観にある。明るい未来を語り着実に方法を示せる政治家が殆どいない。裏金、賄賂、足の引っ張り合い。こんな異常な政治屋達が跋扈している現実が若者の心を蝕んでいる。