世界一美味しいトムヤムラーメンを出す
最近でこそラーメン巡りをしなくなったが、昔はアメリカから日本に帰ってきたらラーメン屋さん巡りをして来た。大学時代はラーメン次郎に嵌り、豚骨、魚介系、様々なラーメン店が出来たら、いの一番にすすりに行った。
お陰で、お腹が相撲取りの様に出る羽目になった時期もあった。さてラーメンの秘訣は、やはり「出汁」に行きつく。大将の思いと気合が出汁に集約される。時間をかけ、好みの素材をタイミングを見ながら放りこみ出汁を煮込み続ける。気を抜いたり、いい加減だと灰汁が混ざりこんで不味くなる。
僕はブイヤベースを作るときはフユメドポアソンの出汁に神経を尖らせる。アンテイーブやニースのレストランでは必ずブイヤベースの出汁の灰汁に取り具合をチェック。日本のラーメン店と同じ様に手抜きのレストランは二度と行かない様にしていた。僕の好きなロブスタービスクを作るときには如何にエグミを出さないで濃厚なスープを煮こむかが生命線だ。時間と観察力の勝負となる。昔、出汁が出る様にロブスターの甲羅を叩き割って居たらまな板が足に落下して右足を複雑骨折し、3か月間は車椅子で厨房に立った。
自分のチョンボだから仕方ないが、美味しいロブスタービスクを煮込むには最低、半日は寸胴鍋と向き合ったものだ。火加減を誤ると直ぐに焦げてしまう。火が弱すぎると一向に甲羅が溶け出さない。ラーメンでもそしてトムヤンクンでも出汁が勝負。濃厚でありながら飲み易い。コクがありながら胃に優しい。すべて「出汁」にいかに神経を尖らせ、心を入れるかが勝負の分かれ目だ。今、本当に美味しいトムヤンクン、トムヤムラーメンを開発中だ。
ラーメンの出汁をすすると残念ながら、昔の僕の様にお腹が出てしまう。しかしトムヤンクンは脂分の少ないスーパーフードで、健康にいいし、飲み過ぎて腹が出たとは聞いたことが無い。その上、世界三大スープの一つだ。ラーメンに負ける筈がない。フレンチの技法、日本の科学性を組み込んだ本場タイの評判のトムヤンクンよりも複雑で美味しく健康的なスープのトムヤムスープの世界一美味しいトムヤムラーメンを今後披露したいと考えている。