スポーツ医学塾番外編 アルティメットUSオープン2023 帯同報告
📚はじめに
2023年8月4日(金)〜2023年8月6日(日)にアメリカデンバーのAurora Sports ParkにてアルティメットUSオープンが行われました!
今大会では日本代表の女子アルティメットチームMUDに、本塾鈴木慶先生の引率のもと保健医療学部4年井手翼がトレーナーとして帯同させていただきました!
✅アルティメットとは?
アルティメットは100m×37mのフィールド内を、7対7になりお互いのエンドゾーンを目指してディスク(フリスビー)を運んでいくスポーツです。
ディスクを持っているプレイヤーは動いてはいけない、エンドゾーンでディスクをキャッチすることで得点が入るというラグビーの要素やバスケットボールのピボット、サッカーのようにパスを繋いでいくなど、さまざまなスポーツを組み合わせたような競技です!
また、変則的に飛ぶディスクに対して跳ぶ、投げる、走るなど球技スポーツとはまた違った見応えのある競技でもあります!
✅帯同の内容
・試合の前日調整指導
・競技前の選手へのテーピング
・競技中の怪我対応
・暑熱対策
・クールダウン
・競技前・競技後のストレッチやマッサージなどのケア
などを鈴木先生の指導のもと実施させていただきました。
備品準備
チームの怪我人の状況を元に3日間の大会でどの程度のテーピングが必要かを想定し、また、途中で新規の怪我人が出てしまっても対応できるように予備を想定して物品の準備を行いました。
テーピング
・ホワイト25mm:5本
・ホワイト38mm:25本
・ホワイト50mm:1本
・キネシオ50mm:6本
・キネシオ75mm:1本
・ソフトエラス50mm:14本
・ソフトエラス75mm:5本
・ハードエラス50mm:12本
・ハードエラス75mm:13本
・セラポア75mm:2本
・アンダーラップ:4本
・ラップ:3本
持ち物
・折りたたみバケツ:1個
・ニトリルグローブ:1箱
・ポイズンリムーバー:1個
・ビニール袋:200枚
・カバーロール:1本
・セカンドスキン:1箱
・ハンドタオル:2箱
・滅菌ガーゼ(大):10枚
・滅菌ガーゼ(小):10枚
・カットバン一式
・ワセリン:1箱
・爪切り:1個
・体温計:1本
・小分け綿棒:5本
・三角巾:1個
・消毒液:1本
試合前日の準備
今回の会場であるデンバーは標高が1600mと日本と異なる環境で、猛暑や長時間のフライト、14時間の時差などによる体調不良も懸念されました。そのため、事前に選手たちに情報共有し、以下のような予防策をとってもらうようにお願いしました。
予防策
・バランスの良い食事
・太陽の光を浴びること
・適度な運動
・フライト中の睡眠や現地での仮眠
・リラックスしやすい環境づくり
怪我や体調不良後のケアだけでなく、事前の準備や情報共有、前日の調整としての軽度の練習もとても重要であることを学びました。
競技前の選手へのテーピング
テーピングを巻く選手の人数やどんなテーピングを使用するのかなどを事前に打ち合わせをし、ウォーミングアップの開始時間に間に合うように逆算をして素早く正確に選手の要望にあったテーピングを巻けるように意識しました。
主に足関節や手関節のテーピングを担当させていただきました。サポートの強度などを選手本人と相談しながら、用いるテーピングの種類などを工夫することで選手がより高いパフォーマンスを発揮できるように意識しました。
試合後に選手から「テーピングのおかげですごくやりやすかった!」などの声をいただき、トレーナー冥利に尽きると共に今後も努力し続け、もっと選手の役に立ちたいと感じました。そのような声をいただけたのもスポーツ医学塾での実技練習が非常に役に立ったと感じています。テーピングは練習あるのみなのでこれからも努力し、より良いサポートを提供したいと考えています。
競技中の怪我対応
競技中に足関節捻挫や下肢の痙攣などをした選手に対応しました。プレー継続の可否を決め、プレー継続の場合はテーピングなどの応急処置を行いました。選手本人やチームに対して重要な決断を行うために、ケガに対する正確な知識が必要であることを実感しました。また、さらなる怪我を防ぐための的確で素早いテーピング技術の大切さをひしひしと感じました。
暑熱対策・クールダウン
会場には強い日差しが降り注ぎ、湿度は低いものの連日35度超えの猛暑でした。そのため、折りたたみバケツでの手掌冷却やスポーツドリンクの推奨、クラッシュアイスをドリンクに入れるなどの暑熱対策を行いました。その際、福島先生の暑熱対策の講義を参考にさせていただき、効果的な対策を行うことができました。
また、試合後には齊田先生の論文を参考にし、疲労回復効果やパフォーマンスの維持を期待してホテルのプールを利用したクールダウンを行いました。
試合後のケア
ホテルに戻った後は、希望する選手に対してトレーナールームでマッサージやストレッチなどを用いてコンディショニングを行いました。
選手としっかりとコミュニケーションをとりながら不調の原因を探ったりケアを行ったりすることで、自分がどんな目的や根拠を持って選手の身体に触れているのかを理解してもらうことができ、リラックスしてケアを受けてもらうことができたと考えています。
しかし、鈴木先生が瞬時に原因を突き止めて効果的なアプローチを行っているのに対し、自分は1人の選手のケアにかかる時間が長くなってしまい、その分選手の拘束時間が長くなってしまいました。そのため、瞬時に選手の要望に応えられるようにするためにより豊富な知識や技術力が必要だと痛感しました。
🖊感想
今回の帯同では、鈴木先生のもと帯同前の準備から試合前後のケアやテーピングなど非常に貴重な現場の経験をさせていただきました。
アメリカで開催される世界大会だということもあり、様々な想定をして物品を用意したり、現地での食事に気を遣ったりするなど、気にかけなければならないことが多く勉強の連続でした。
また、テーピングやケアに関して、鈴木先生が瞬時に原因を突き止めてその場面にあった様々なアプローチ法で選手の要望を解決していく様子を間近で見て、もっと多くの知識・技術・経験が必要不可欠であることを痛感しました。ただ今回は、しっかりと選手とコミュニケーションを取り、自分のできる範囲のことを全力でできたことで少しでも選手の役に立てたと考えています。
今後も選手ファーストの姿勢を常に持ちながら、学び続けることでもっと選手の役に立てるようなトレーナーを目指していきます。今回の帯同を通して、トレーナーとして、人として成長できる機会になりました。
齋田先生、福島先生をはじめ、そして帯同の機会をいただいた鈴木先生、帯同を受け入れてくださったMUDの皆さん、この度はとても貴重な経験をありがとうございました。
📚最後に
今回の帯同を踏まえて、アルティメット協会の方から11月に行われる世界大会への帯同にもお誘いいただきました。そういった今後の活動にも今回の帯同で得られた貴重な経験をしっかりと活かしていきたいと思います!
最後までご覧いただきありがとうございました。
文責:井手