「リアルにゃんこは見た!」〜揺れる心と笑顔の通り雨〜
うまくいかない。
そんなときもあるよね。
猫も人間も同じよ。
家族なんだから。
・・・
わたし達は見た
今日一日、おじいちゃんと母ちゃんの様子がおかしいことを。
笑っていない。
笑っているけれど、ふたりとも嘘の笑顔だ。目も合わせない。
母ちゃんは、ずっとイライラしている。
おじいちゃんはずっとしょんぼりしている。
いつもはふたりで楽しくお喋りしてるのに。
わたし達三毛猫三姉妹は
寝ているふりをして、そっと見ていた。
・・・
私は見た
ソファーにごろりとしてのんびりテレビを観ているオトンを。
好きな番組が終わると寝て、またお楽しみの番組が始まる頃に起きる。
連日、土砂降りの雨の中で手続きに出掛けていた私は、体調が優れない。
それなのに朝からバタバタと引越しの荷物の片付けと家事をしていた。
ごはんの時間にはちゃんとテーブルを拭いて座って待っているオトン。
間に合わない、焦る、イライラする。
「使ったコップくらい洗ってくれないかな?」
言えばいいのに喉の奥で止まる。
・・・
お父さんは見た
じゅんみはちゃんが朝からイライラしている。
ちょっと休憩すればいいのにバタバタバタバタ動いている。
何を言っているのかは聞こえないけど、ブツブツ独り言を言って動いているように見えるし、ごはんの時間も違う。
もうお父さん寝る時間なのに、まだ料理しているのが見える。疲れているのだろうから、気にならないのだけど…
「まだごはんできないから、先にお風呂に入ってくれるかな!」
いつもはそんなことを言わないじゅんみはちゃんの顔が怖い。
・・・
(ここからは初期のドラクエの音楽でお楽しみください)
オトンは毎日レベルアップしている。
♪チャチャチャ チャンチャンチャーン♪
「オトンがお風呂に入れた!」
「オトンがごはんを完食した!」
「オトンが散歩をし始めた!」
「オトンが掛け布団を畳むようになった!」
町を出た(同居?)オトンの冒険が始まった。
♪テテテンッ テテテンッ テテ テテテテッ テッ テテン チャラチャラ♪
大好きな三毛猫三姉妹も連れて、楽しそうに歩き始めた。
敵はスライムだ!(噛めないご飯と苦手な野菜)
♪ドゥルルルゥーン!デー デー デー デ デーン♪
オトンは「モーニングポタリング」(朝散歩でお腹すく)という技で攻撃した!
♪チャララ チャッ チャッチャーン♪
スライムを倒した!目玉焼きを手に入れた!(ぎょくれつおちゃんちゃばやし)
少しずつ攻略してきた。物語は進んでいく。
それは凄いことなのだ!!!
と分かっている。
分かっているけれど「もっとアレもコレもできるようになってくれたら…」せかす必要はないし、ちゃんと元気になってきたのだよ。
疲れていると、ソファーでごろりとテレビを観ているオトンを見ては、もうちょっと自分でやってくれることが増えたら…私も少し楽なんだけど…だんだん欲が出てしまう。そんな自分が嫌だ。
やっとオトンの家の片付けも手続きも終わり、家の片付けをし始めた。「絵を描きたい」そう思っているけれど、家でも想像以上にやることがあった。ゆっくりやっていけば良いのに、体調が優れない時ほど焦って動く悪いクセがある。
本当によくないクセだといつもいつも思っている。
さすがにエネルギー切れで思うように動けなくなったので、リフレッシュすることにした。
「1時間、いや30分でも良いから絵を描こう!」
いつも絵を描いているテーブルには、手を置きソファーに座って楽しそうに大相撲を観ているオトンがいる。
自分の部屋で描くことにした。別のテーブルを二つ繋げてセッティング。
下絵を少し描いたところで力尽きた。
ペンを持ったままテーブルに突っ伏して寝ていた。
・・・
わたし達は見た
おじいちゃんが寝る前、水槽のメダカと貝太郎と海老の助を観察するふたりの日課を。
晩ごはんを食べながら『はじめてのおつかい』を観て、やっとふたりは楽しそうに笑って「可愛いねぇ」と、おしゃべりしていた。
半分寝ながら食べていたおじいちゃんも完食して、ビールを飲みながらゆっくり食べていた母ちゃんも、小さな子ども達の奮闘する姿を見て笑顔になった。
あっという間に食べ終わったおじいちゃんは「寝るね」と自分の部屋に行き、
ベッドに横になる。
母ちゃんは慌てて箸を置き、おじいちゃんの水槽を懐中電灯で照らす。
わたし達、三毛猫三姉妹もおじいちゃんの部屋に集合した。
「お父さん!起きて!この前生まれたばかりのミニミニ赤ちゃん海老の助が泳いでる!!」
ガバッと起きたおじいちゃん。
「おお、見えたぞ!こんなに小さいのに泳ぐのが速いな。可愛いなぁ、本当に可愛い」「可愛いね」ニコニコ水槽を眺めている。
「じゃあ寝るね」「おやすみ」
二人で手をパチンと合わせて母ちゃんはおじいちゃんの部屋の電気を消した。
・・・
朝、雲の間から青空が見えている。
「おはよう!じゅんみはちゃん、モーニングポタリング行こう!」準備万端オトン。
え?私今起きたばかりなんだけど?
久しぶりの晴れた空での朝散歩。
「お、今日の第一ワンコが来たぞ!」
オトン大好きテリアちゃん。沢山ナデナデしてお顔ペロッとなめてくれてご挨拶。ワンコちゃんが大好きな父娘はご機嫌で歩く。
山のてっぺんまで行く予定が、ひまわり畑が見え始めた途端に急に雨が降ってきた。
じゃじゃ降りの雨。「止みそうもないから帰ろう」
帰り道、「お、今日の第二ワンコ!」雨の中お散歩しているシェパード君にご挨拶。優しい目でこちらを見ていた。頭を撫でると嬉しそうに笑って見えた。
「雨の森は木々と緑の匂いが濃くて気持ち良いな」と雨に濡れながら笑顔でオトンと私は歩いていた。
・・・
わたしは見た
いつも通り楽しそうに朝ごはんを食べるおじいちゃんと母ちゃんを。
嬉しくなって、キッチンの高い窓から二人を見ていたら母ちゃんに怒られた。
心配してたのよ。母ちゃん、わたしの気持ちも察してね。
・・・
久しぶりの「にゃんこは見た!」です♪よろしければこちらもご覧ください☺
三女の「にゃんこは見た!」
↓
次女の「にゃんこは見た!」
↓
長女の「にゃんこは見た!」
↓
・・・
ヘッダーは本当に父娘を心配そうに隠れて見ていた(見えてるけど)長女と三女です。
普段は寝る前の水槽観察には三女しか来ません。にゃんこ達も家族だから心配してたんだなぁと思いました。
↑
このつぶやきのコメントから生まれました。