見出し画像

お医者さん選びは突然に 前編

かかりつけ医を持つこと

いざとなったとき
正しい病院選びができること

それが気になるお年頃

周囲の人の病気/怪我の話しを聞くにつけ、明日は我が身...しかし訪れるケースは多種多様で予測がつきません。今日は
"信頼できるお医者さん選び"
 について実体験を元に覚書します。まず、結果はハッピーへ落着したと予めお知らせします。この記事を読んでくださった方へ何かの参考になれば幸いです。長文になります。

首の下にシコリができた

 今から半年ほど前のことです。首元に少し違和感を覚えました。男性の喉仏ほどの大きさと丸み、そして突起がある状態...痛くも痒くもない、見栄えがちょっと悪いだけ。
少し放置してしまった理由は、以前も似た症状を経験したことがあるからです。中学生の頃、顎下腺に石が溜まり切開して摘出をしました。当時は発熱と頭痛がひどく、近所の市民病院/耳鼻咽喉科へ駆け込みました。さいわい局所麻酔で口の中から石を取り出した途端、一気に熱が下がり頭痛が和らぎました。一時苦しんだものの、原因がすぐ特定され直ぐに解決しました。今回もあの時と一緒だとタカを括っていました。"また石が溜まったんだ、35年ぶり2回目" 隔世の感さえ沸くような心境です。

熱が出たら面倒くさい
そろそろ耳鼻咽喉科へ行こう

ふらっと自宅から徒歩圏内にある耳鼻咽喉科へかかったところ、先生が開口一番言いました。

"あ、これ無理。紹介状書きますね"

中学生の頃の体験談を話したら、そっくりそのまま紹介状に転記して
詳しく診ることもなくあっさり終了しました。せっかく昔の体験を引っ提げてお願いしたのに、今回は石を取ってもらえなかった...中学生の頃の先生、いまさらありがとうと念を送りました。
 そうして私は、紹介状を持って大学病院へ。小さい石を取るのに大学病院..ちょっと大袈裟かなぁと思いつつ、混み合う待合室でひたすら待ちます。

"唾石の可能性もありますけど
一応色々検査しますね"

さすが大学病院
あらゆるケースを想定して万全を期しているから安心。そんな感想を持ちながら、鼻カメラを入れられたり触診されたり。手捌きが華麗でデリケートな部分(鼻の穴)への侵入が滑らかで感心しました。
ところが、造影CTを撮り結果を聞きに行ったとき、先生の顔色が今までと違っていたのです

悪性腫瘍の可能性が極めて高いです

そう言われて驚きました。ちょうどその頃、歯科で親知らずの治療を始めようとしていた矢先でした。歯科の先生が抜歯の直前、"申し訳ないけど(今日は)抜けません。このシコリが気になります。唾石だったら患部が首元で歯科のレントゲンに映るハズなんですけど...唾石じゃないと思います。大学病院の治療が終わるまで抜歯時期を延期しましょう"
 大学病院のテキパキとした対応と、長年お世話になっている歯科の先生の決断が私を一気に不安にさせました。

PET検査と針生検

 悪性腫瘍の疑いをはらす/正しい診断名をつけるため、2種類の検査を受けました。まずはPET検査。悪性腫瘍の箇所が赤く光るこの検査は、代償として微量の放射線を浴びてしまいます。そのため、検査当日はなるべく単独行動をすること、タクシーで帰宅するときは運転手と対角線上に座って距離を置くこと、帰宅後は家族と2メートル以上の間隔を保ち食事は別で摂ることを注意喚起されました。
検査費用は30,000円、イタい出費ですが命には変えられません。
 また、"針生検"もしました。この検査は患部へ直に針を刺して細胞の一部をとります。大学病院の先生は言いました。

次回 病名をつけましょう

必ず病名をつけたい、先生は言いました。"疑い"では治療方針が決められないからです。私も早く病名をハッキリさせて治療して治りたい、その一心でした。
 しかし、3回の針生検を経ても悪性腫瘍を確定できる証拠は出ませんでした。追加で咽頭部の一部を切り取る検査もしました。これも悪性所見なし。検査に次ぐ検査、疲労と不安が増す中で"一周回って良性腫瘍ではないですか?"と先生へ問いました。
しかし...

造影CTの影
PET検査の赤い光
極めて悪性の可能性が高いです
生検が取れた場合は皮膚癌
取れなかった場合は原発不明癌

悪性の"原発"を探しあてたいので
しばらく検査が続きます

先生がこの文言を繰り返すようになり、私は先生に対して不信感をおぼえるようになりました。悪性推しに懐疑的、むしろ生検が出ないなら良性の希望を持ち続けたい。やがて次回の診察予約を取る段階で一言...

次週、私は夏休みなんです
他の医師に引き継ぎますね

この言葉はショックでした。いや、激務でしょうから休みは取るべきだけど...病名診断の難易度が高いからベテランの先生へ引き継ぐのかな、それとも武功を挙げるために勇足をして引っ込みがつかない?ますます疑い深くなります。

 帰宅後、何度も家族会議です。
"次回はベテラン医師へ引き継ぎされる説"と"過剰診断をして引っ込みがつかない説"の2つに絞り、再び大学病院へ出向きました。

転院を言い出すタイミング

結果は"引っ込みがつかない説"と
判明しました。最初の先生(おそらく30代前半)よりさらに若い先生が引き継ぎされていました。同じくテキパキとした往診で感じ良く対応してくれたものの、診察の際に同じワードを繰り返します

私達はチームです

一見、安心を与える言葉ですが
患者の私はそのチームメイトではありません。大学病院の先生はチームで動く、それを念押しされました。担当医が代わっても悪性腫瘍を疑う見解はそのまま引き継がれていました。
 半ば、本当は悪性じゃないよね?という白けた気持ちと、悪性の所見が出てしまったらどうしようという祈る気持ちが入り混じる中、4回目の針生検をしました。今までよりも針が太く、喉に麻酔をしてから生検しました。若い先生が小声で"きわどい、きわどい"と呟くので心拍数が一気に上がります。

もう 転院したい
あとは言うタイミングを考えよう

なんとか最後の針生検を終えて10日後、ついに"結核性リンパ節炎もしくはサルコイドーシスの疑い"と診断されました。はじめて病名から"悪性"が外れたのです。初診時から2ヶ月が過ぎていました。身体の力が抜けて、心底ホッとしていると

リンパ節の生検しましょうか

担当医がシレッと何もなかったように次へ進行することに内心穏やかでいられません

先生、今までずっと悪性腫瘍って
おっしゃってましたが..

私の呟きに先生は淡々としていました。あ、ないです。これから結核検査しましょうね。次回の予約どうします?とサクサク前へ進むので

体調が悪い父親の近くで入院したいから転院します

一息に言いました。父が体調悪いのは本当。悪性の疑いがはれたときに、せめて"よかったですね"の一言くらい欲しかった...医師チームの立場上、最悪の事態を想定して診断するのが正しいのでしょう。ただ、検査を受け続ける身として気が気じゃなかった2ヶ月。あまりにも普通過ぎました。

そうして私は
別の大学病院へ転院することに
なりました

後編へつづく

今は元気な
Junko Summer

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集