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【道東ドライブ】日本最大のカルデラ湖「屈斜路湖」で秋を感じよう
東京に住んでいたときは、気づいた頃に終わっていた紅葉シーズン。
特に、コロナでおうち時間が増えてから、季節の移り変わりに疎くなってしまい、昨年は紅葉どころではありませんでした。けれど北海道に引っ越してから、気温や自然の変化を敏感に感じるようになり、紅葉見たい欲が増してきました。
ちなみに、日本で一番早く紅葉を楽しめるスポットは北海道大雪山の主峰、旭岳。例年、朝晩の気温が下がり始める8末〜9月頭頃に紅葉が始まり、9月中頃にはピークを迎えるそうです。しかし、私が住む釧路から旭岳までは、片道約300kmとかなり遠いため、道東内で紅葉が始まっている場所を探してみます。
そこでヒットしたのが「阿寒湖、屈斜路湖」。
今回は、まだ訪れたことのない「屈斜路湖」へ。釧路から弟子屈町にある屈斜路湖までは、車で片道約1時間半。秋の屈斜路湖をいろいろな方面から楽しめる、絶景&観光スポットをご紹介します。
屈斜路湖とは?
阿寒湖国立公園内にある、日本で6番目に大きな湖。火山の活動で生じた凹みに淡水が溜まってできた、カルデラ湖のなかでは日本一の大きさです。アイヌ語で「湖の水が流れ出る川口」と言われるとおり、釧路川の源となっています。
■屈斜路湖概要(一般社団法人 摩周湖観光協会HPより引用)
・大きさ…79.7平方km(周囲57km)
・水深…最深125m
・標高…湖面の海抜121m
・淡水湖内では日本一大きい島(中島…周囲12km、面積5.7平方km)を有する
屈斜路湖が眺望できる3つの峠
屈斜路湖は、津別峠、美幌峠、藻琴峠という3つの峠に囲まれているんだそう。そのうちの津別峠と美幌峠から屈斜路湖を眺めることに。
■津別峠
津別峠は、屈斜路湖の南西に位置し、標高947mにある津別峠展望台では、晴れているとオホーツク海、知床連山、大雪山が見渡せるそうです。その絶景がこちら…
残念ながら、早朝の雨が激しく曇って全く見えませんでした!このまま帰るのも悔しく、ダメもとで展望台に続く階段を霧の中登ってみます。
しばらく様子を伺っていると…
太陽の光が差し込み、ものすごいスピードで雲が流れていきます。分厚い雲の狭間から、うっすら見えてきたのが和琴半島(右側)と中島(左側)です。山の天気は変わりやすいとは、まさにこのこと。
津別峠では、6月初旬から10月半ばまで早朝に雲海ツアーが行われていて、条件が揃えば屈斜路湖を埋め尽くすほどの雲海が見られるそうです。
■美幌峠
続いて、津別峠から約20kmほど北上したところにある美幌峠。
道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」では、山間部に生息している熊笹(クマザサ)を使ったソフトクリームやお茶も楽しめます。
残念ながら、こちらも悪天候で屈斜路湖は全く見られず。足元一面に小さな岩が転がっており、霧で周りが見通せないため、まるで火曜サスペンスのワンシーンに出てきそうな雰囲気です。
次は晴れの日を狙ってリベンジしたいと思います!
3つ目の藻琴峠は屈斜路湖北側に位置します。藻琴山の中腹、標高725mに建つ展望レストハウス「ハイランド小清水725」からも知床連山やオホーツク海が見渡せるそう。
屈斜路湖全体を見たいという方は、天候に注意しながら3つの峠をドライブするのをおすすめします。
屈斜路湖の自然を身近に感じたいなら和琴半島へ
午後から天気が回復したので、湖の南側に位置する和琴半島へ。
和琴半島は、火山噴出によりできた溶岩ドームで、長い年月をかけ岸と繋がり半島になったそうです。湖畔では釣り、カヌー、キャンプなどのアクティビティも楽しめます。
半島全体が森で覆われており、1周約2.5km。1時間もあれば周れるそうなので探検してみることに。
まずは半島内にある神社へ。鳥居まで真っ直ぐ続く道は、両脇が木で覆われていて息をするたびに浄化されるようです。
森深くまで歩き進めて、ふと上を見上げると空と紅葉がまるで万華鏡のよう。少しずつ紅葉が始まっていましたが、見頃はもう少し先かもしれません。
峠から見るのと一番印象が違ったのが、屈斜路湖の「水の色」。遠くから見るより浅く感じます。摩周湖の「インディゴブルー」に対し、屈斜路湖のブルーは空の色「コバルトブルー」。屈斜路湖の水色は温泉成分の(コロイド粒子)が太陽光に反射して青緑色に見えるのだとか。一方で、摩周湖の方が水深が深く透明度が高いゆえに、深いブルーになるのだそう。面白い!
こちらは立派なカツラの木。複数の木が連なって、御神木のようなオーラを出しています。このほかにも半島内では、トドマツの純林が見られます。
半周を過ぎた地点で、かすかに硫黄の匂いがしてきたと思ったら、急に景色が開け、階段が現れます。1段1段降りていくと…
沖縄の海を思わせるようなブルーグリーンの湖が広がります。ここは、半島の先端となるオヤコツ地獄。岩肌からグツグツと蒸気が吹き出しており、和琴半島が火山の名残であることを感じられます。
ゆっくり周遊するとぴったり1時間。屈斜路湖の多様な面が見られる、とても神秘的な半島でした。
屈斜路湖にきたら温泉に寄っていきたい!
紅葉を愛でたあとは、温泉に立ち寄ってみることに。
カルデラ湖である屈斜路湖の周りには、多くの温泉があります。湖の東側を通る屈斜路摩周湖畔線を北上すれば、「池の湯」、「コタン温泉」など湖を望みながら入れる無料露天風呂も。今回は、手ぶらで気軽に楽しめる「砂湯」を訪れました。
無造作に置かれたベンチの近くに、前の人が掘ったであろう穴。貸しスコップもありますが、手で掘ればすぐにほんのり温かい温泉が湧き出てきます。砂に足を埋めてじんわり温まりながら、湖畔をぼんやり眺めます。
砂で足が汚れても、公共の足湯があるので安心。この足湯の湯加減が最高〜!なのです。時間を忘れて無限に浸かっていられます。10月後半には、白鳥も飛来するんだそう。
さらに温泉を楽しみたいという方は、川湯温泉街の日帰り温泉に立ち寄ってみては。川湯温泉は湯量が豊富で、「源泉100%かけ流し宣言」の温泉街だそう。泉質は、強い酸性の温泉で湯冷めしないのが特徴です。体が芯から温まり、ドライブの疲れも一気に吹き飛びます。
硫黄山で自然の偉大さを感じてみる
川湯温泉街をあとにし、駅前を車で走っていると…なんだか強烈な硫黄の匂いがします。山肌から白い煙が昇っていて、遠くからでも異様さに気づきます。その正体は、アイヌ語で「裸の山」を意味するアトサヌプリ(硫黄山)。明治初期から昭和38年に休山するまで硫黄採掘が行われ、道東の産業の発展に寄与したそうです。
レストハウス駐車場に車を泊め、山裾の白い砂礫を登ってみます。意外と噴気孔近くまで行けるのにびっくり。もちろん安全を考慮し入れない場所もありますが、間近で噴気孔の勢いを感じられます。蛍光イエローの硫黄の塊から蒸気が吹き出す様子は圧巻。
硫黄山と摩周湖第一展望台の駐車券が共通になっており、せっかくなので摩周湖第一展望台に立ち寄ります。展望台までの道すがら、夕日に染まる屈斜路湖が。
屈斜路湖の向こう側に見えるのは津別峠(左側)と美幌峠(右側)。始まったばかりの紅葉のオレンジと夕日が重なって、息を飲む絶景が広がります。
夕日が沈むのを眺めながら、釧路へ戻ります。
屈斜路湖は見る場所によって、さまざまな表情が垣間見れる魅力的な湖でした。展望台から湖の雄大な景色を俯瞰するだけでなく、湖畔を散策することで思わぬ発見も。
ウォーカープラスによると屈斜路湖の紅葉の見頃は、10月頭〜中旬頃とのことです。次回は是非、津別峠からの雲海ツアーに参加してみようと思います。