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『シュリ』リピート鑑賞したら点と点がつながった

ソン・ガンホの声が哀川翔と似ていることに気がついたじゅんぷうです、こんにちは。

1999年の公開以降、長らく再上映や配信がされず昨年9月に4Kデジタルリマスター版が上映された『シュリ』。製作から25年たったこの作品を私も24年ぶりに劇場で見て、この年月の間にエンタメや食文化を通して日本と韓国の距離は驚くほど縮まっているのに(外交は抜きにして)、映画で描かれているテーマのベースとなる南北間は悲しいほど変わっていない現実が時を経たからこそ響いたのでした。

権利問題が解決して再上映や配信が叶うことになりデジタルリマスター版が製作されたように、すべてが解決に向かえばよいのに。

昨年のデジタルリマスター公開時は池袋のグランドシネマサンシャインで鑑賞しましたが、それから4ヵ月。名画座の新文芸坐で〈スクリーンで観ておきたい!話題作アラカルト〉特集で数日間の上映プログラムが組まれていたので、思わず再鑑賞してきました。

昨年秋に韓国へ行ったこともあって、スクリーンに映る1998年のソウルの街の光景には一層関心が高まったし、何度目でも緊迫感やスリリングさには慣れることなく、今回も釘付けになっていたのです。

前回の鑑賞後にnoteに投稿した記事の中の、このくだり。

…同じ民族なのにこの大きな隔たりというものが、後半のハン・ソッキュとチェ・ミンシクが対峙するシーンで爆発します。ムヨンが北の人民を代表する恨み…分断への、国家への、兄弟のはずの南への50年におよぶ怒りを口にするこのシーンで瞬きもできなくて、知らぬ間に涙が一筋、流れていました。

今回も瞬きできないほどの吸引力最強のシーンだったのですが、ここでのチェ・ミンシクのセリフに、4ヵ月前にはなかった個人的衝撃が…

祖国の人民たちがどんな暮らしを強いられているかを、対峙するハン・ソッキュを通して〈ハンバーガー育ち〉の資本主義の観客たちに訴える中で、

「木の皮や草の根でも足りずに、土まで食っている」

と…

そうだ、このセリフは記憶にはあった。あったけどチェ・ミンシクさん、あなた…去年『破墓』で墓場の土食べてましたよね!

もちろん「食べる」の意味合いはまったく違うんだけど、この4ヵ月の間に『シュリ』見て『破墓』見てまた『シュリ』見たからこそ、そしてそれがチェ・ミンシクという俳優だからこそ、どちらの〈土を食う〉にも説得力が増し増し。『シュリ』においては北朝鮮の人民の現実に、『破墓』では風水の信憑性に大いなる真実味を持たせる、それがチェ・ミンシクという俳優の「土を食う」。間に『破墓』を見たことで『シュリ』でチェ・ミンシクが演じたムヨンというあの役柄は一層深みを増したし、これからも機会があるたびくり返し見ると思う。職場の若者にも猛プッシュしときました。


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じゅんぷう|junpoo*junknote
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