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ヨーロッパビジネスにおける法と実務

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アメリカにおける政治的先行き不透明感などから再び欧州におけるビジネスの重要性が高まっているなか、日欧EPAの大枠合意もなされたことに、今後一層、欧州とのビジネスが加速していくもの…
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#著作権

欧州著作権セミナー/The Present and Future of EU and UK Copyright@London

これからベルギー・ブリュッセルで開催されるシンポジウムに参加してくるのだが、それに先立ち、今年の1月、まだ寒いロンドンに行って参加した欧州著作権セミナー/The Present and Future of EU and UK Copyrightについてご紹介したい。

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ALAI 2017 Congress(国際著作権法学会) Copyright-to be or not to be@Copenhagen

5月18日から20日まで、デンマーク・コペンハーゲンで開催されたALAI congress(国際著作権法学会)に参加してきた。 この会議への出席は、日本での京都開催を含めて昨年のローマ、そして今回と3回目になる。 今回は、著作権の正当化根拠や経済学的側面からの著作権の検討、そして北欧開催ということもあり拡大集中許諾制度に関する議論がなされ、内容は多岐に渡った。 いくつかの発表には示唆的なコメントもあり、得るものもあった。 とりわけ、最近のCJEU判決は、予見可能性が乏

【ドイツ知財実務】ミュンヘン地方裁判所・簡易裁判所②-知財訴訟手続きの流れと実務

ミュンヘン地裁では著作権や特許権などの知的財産関連事件の件数がそれなりの数存在している。 これはドイツの裁判所が管轄として人気があるということの証左でもある。では、なぜ、こんなにも知的財産関連事件が多いのか聞くと、秘密は判決までのスピードと書面の少なさにあった。 多くの企業が欧州に進出し、欧州企業から知的財産関連の事件で提訴されることが珍しくなくなった現在において、その裁判地はミュンヘンになることが多い。 今回は、その秘密と運用について、実際にミュンヘン地裁の知的財産関

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【ドイツ知財実務】ミュンヘン地方裁判所・簡易裁判所①-ミュンヘンの法廷から

ミュンヘンは、ドイツ国内でも知財関連訴訟が多い都市である。 これは、特許に関しては、ドイツ連邦特許裁判所(Bundespatentgericht)や欧州特許庁(European Patent Office:EPO)があることで知られているし、著作権に関しても、GEMAや多くの出版社、レコード会社の所在地となっているためである。 また、日系企業の多くはミュンヘン(またはデュッセルドルフ)に支店や事業所を有していることから、ドイツ・ミュンヘンでの裁判に巻き込まれるといったこと

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【ドイツ知財実務】違法ダウンロードを巡る裁判の法と実務③-訴訟提起と立証責任・和解の実務

最後に、訴訟提起から立証責任、和解について書いてみたい。 特に立証責任は、違法ダウンロード事件の場合、どの程度まで原告(kläger)である権利者が証明責任を負うのか、ということが問題となる。 すなわち、違法ダウンロード行為は、通常、密室で行われるため、違法ダウンロード行為を示す証拠は、基本的にはインターネットサービスプロバイダーから開示されるIPアドレス等の事実のみであり、被告(Beklagter)が自分は違法談ロード行為を行っていない、別の誰かが違法ダウンロードを行っ

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