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お茶を通して人と世界の輪を広げたい!茶輪/CHA-Link代表・竹内梨夏(Rica)さん

アメリカへの留学経験や東ティモールでの青年海外協力隊の経験を持ち、グローバルな視点からお茶の魅力を力強く発信し続けるRicaさん。
彼女のお茶や、茶輪/CHA-Linkに対する想いを伺ってきました!

【竹内さんプロフィール】
出身地 東京
経歴
青山学院大学文学部英米文学科卒業。在学中に1年間、米国サンディエゴ州立大学に交換留学し、レクリエーション&観光マネジメントを専攻。
留学とサンディエゴ観光局でのインターンシップ経験を活かし、大学卒業後青年海外協力隊として東ティモール観光省マーケティング局で2年間勤務。
日本に帰国後、東ティモールの経験を通じて、今後は日本に貢献できることをやろうと決心し、「日本茶が人と世界の輪を広げる」をミッションに、茶輪/CHA-Linkを立ち上げる。
現在の活動
茶輪/CHA-Link代表。
初代Miss Tea Ambassador/ 煎茶道東阿部流師範/ 日本茶インストラクター/ マインドフルネス・スペシャリスト。
座右の銘 人事をつくして天命を待つ

◆人がつながるための土台作りとしての日本茶の可能性

記者 どのような夢やビジョンをお持ちですか?

Ricaさん(以下、Rica。敬称略)  日本茶が人と世界の輪を広げるというビジョンの下で、茶輪/CHA-Linkを立ち上げました。お茶を通じて人と人とがつながったらいいですよね。人がつながる土台を作るような形で、幸せな社会づくりに貢献できたらいいなと思います。

今の社会の課題は何かというと、私は思いやりが欠けてしまっているところなのではないかと考えています。先進国で暮らす私たちは、毎日仕事、家事、育児に追われ、心には余裕がありません。さらに、私たちの生活に不可欠となったスマホは本来脳が苦手なマルチタスクを可能にし、息抜きで使っているつもりが逆に脳を疲れさせます。その結果、自分のことを思いやれず自分の健康をないがしろにしたり、他人のことを思いやれず家族や恋人を大切にできなかったり、環境のことを思いやれず環境問題に無関心になったりして、様々な問題を招いていると私は思っています。
お茶を通じて人をつなげると言うのは、ただお茶がここにあったらみんながつながるかと言ったらそういうことではなくて、人がつながる土台のために、まず心が平和になることや、穏やかな気持ちを取り戻すことが必要ですよね。色々なアプローチがあると思いますが、私ができることはお茶だなと思っています。
お茶は元々中国から禅の思想と一緒に入ってきていて、思いやりの心を土台にする精神が根底にあります。また、お茶の中に含まれる成分には、テアニンというアミノ酸があり、脳のアルファー波を引き出してリラックスする効果があるんです。その他、いろんな観点から見ても、お茶は人を落ち着けて本当のつながりを作りたい時に、いったん心を整えてくれる役割を果たしてくれます。だからそういうアプローチで、お茶を通じて社会でみんなの幸せな生き方に貢献できる何かができればいいなと思っています。

◆お茶×マインドフルネス
新しい価値の体験、体得、普及を目指して

記者 お茶を通じて人がつながり幸せな社会づくりに貢献するために、どのような目標計画がありますか?

Rica 私が今新たに始めた取り組みが「お茶マインドフルネス(以下、OM)」です。
マインドフルネスによるストレス軽減、集中力アップ、EQ(思いやり)向上等の効果はすでに脳科学研究でも立証されていますが、茶道の土台にもマインドフルネス(目の前のことに集中する状態)を修行とする禅の精神があるんですね。利休の精神に立ち戻ると 、お点前をする事は瞑想にあたり、お茶を丁寧に淹れる行為でマインドフルネスになります。つまり、日々お茶を淹れる度に心を整える事ができるのです。
ターゲットは日本人に限らず、先進国や大都市で生活し、心身の疲れを処理しきれていない人。ゴールは彼らがOMを活用し穏やかに暮らせる様になる事です。
まず始めのステップでは、禅寺で茶道を目の前にして参加者も座禅をするイベント、お茶園で自分で手作りしたお茶を愛情込めて淹れてみるイベント、日本料理と日本茶のマッチングを目を閉じて静かな中で味わうイベント等を通じてお茶を活用したマインドフルネスの効果を体感するプログラムを提供します。
これだけでも心をリセットできますが、理論と背景を学ぶ講座とワークショップを実施することで、いつでも自分でOMを再現できる様に支援します。また、その先にはOMアンバサダー認定コースを作り、各国で多くの人が日常のティータイムに心を整えられる世界の実現を目指します。

記者 お茶を淹れて飲むまでの間で感じられるマインドフルネスという体験は、日々忙しく疲れている現代人に対して新しい価値と言えるんじゃないでしょうか。Ricaさんはさらにその先に、価値の体得、普及までもイメージしているんですね!

◆人のことを素直に受け入れるために

記者 どのような指針をもって、日々の活動を行っていますか?

Rica 無理しないと言うか、自然体のまま、ありのままにリラックスしいてることですね。コレしちゃだめアレしちゃ駄目っていうよりも、そういう制限をかけないと言うか、人のことを受ける入れることってとても大切なことだと思うんですけど、制限かけてしまった瞬間に受け入れる事が難しくなって「この人、何でこうなんだろう?」とジャッジしてしまったり、素直に受け取る事って出来ないと思うんです。常に、制限をかけない状態であり続けられるようにしています。

◆失った時に気づいた想い

記者 お茶を通じて幸せな社会づくりをするビジョンを持ったきっかけには、どのような出会いや発見がありましたか?

Rica 実家はお茶屋さんをやっていたのですが、2013年に経営が難しいこともありお店を閉めることになったんですね。経営がうまくいってない状況は前から何となく気づいていて、父親は毎日自転車操業のような感じで363日ぐらい働いていたから、父親に対して、「一度立ち止まってちゃんと考えて欲しい」と思うところもありました。でも、お店が閉まる一週間前には、昔からずっとお店に来てくださったお客さん達が行列を作って、「やめたらもったいないよ」とか「これまですごく助かりました」など、すごくたくさんありがたい言葉をかけてくださったり、一人だけ泣いてくださったお客さんもいらっしゃったんですね。お店自体は創業1915年で98年続いたんですけど、やっぱりちゃんと愛されていたお店で、お客さんに対する接し方は間違っていなかったんだと感じたんです。だから、そういう気持ち的なところを引き継ぎたいと思い、今は個人として茶輪の活動をしているのですが、新しく会社を興すのではなく、なんとか実家の会社の事業にしたいと思っています。

◆国の課題を解決できるのは、その国の人が本気で取り組んだ時

Rica きっかけはもう一つあって、それは実家の会社が終わった後に、青年海外協力隊で東ティモールへ行ったときの気づきです。
協力隊としてボランティアに入った当初は、東ティモールのより良い発展のために貢献したいっていう気持ちで一生懸命やっていたんですけど、活動しているうちに、途上国の人は支援慣れしているというか、海外の人が手伝ってくれるのは当たり前と思っている節があるということがわかってきました。東ティモールは天然資源が豊富なので、そこには天然資源を自国にいい形で引っ張りたいという各国の利害関係があるのですが、ある意味、頼まれてもいないのにこちら側からボランティアに行ってしまっているので、当然現地の人たちは自分で頑張ろうって言う気持ちになれないじゃないですか。でも本当は、いかにしてその人たちがやりたいと思ってもらえるかが重要で、私がどんなに頑張ってやったとしても、結局、私がいなくなったら元に戻っちゃうので、現地の人が根本的にその国の課題を解決しないと国っていうのは変わらないんだと気づいたんです。
だから帰国した時に、いろいろお店のことなども考えつつも、私は日本に生まれて、この国にもいろんな課題がある中で、自分が日本人じゃないと変えられないところって何だろう?私が好きなお茶を使ってやれることはないかなと考えたんですよね。そこも茶輪の活動を始めようと思ったきっかけになっています。

◆会社とは生き物のようなもの。人とのつながりや思いのなかで出来ている

記者 そのきっかけをつかんだ背景にはどのようなものがありますか?

Rica 会社(お店)の経営が全然うまくいっていない中で、土地と建物を持っていたのである意味不動産経営をした方が断然儲かるって言うにもかかわらず経営状況が良くないっていうのは、理論的に考えるとやめたほうがいいんじゃないかと思っていたんですね。だから父や祖父が会社の運営をやめたくないというのがよくわからなかった。でもやっぱり気持ちとか精神と言うか思いとかそういう部分の大切さや、お客さんとの今までの繋がりの中でやれてきたことなど、そういう感情的な部分がすごく腑に落ちするきっかけになりました。やめてなかったら、たぶん私はずっとお店に対してあまりいい印象を待ててなかったかもしれないです。そんなに長くやっていた会社(お店)をやめるところに立ち会う事ってあまりないことですし、自分の家の会社となればなおのことで、会社ってやっぱり人でできているから、会社と言っても生き物なんだなとか、そこがいろんな人の思いの中で出来てるんだというところを改めて感じて、会社を続けてきた家族に対する敬意とか感謝をすごく感じましたね。人生で初めて父親が泣いたのを見たのはその時だったので、それだけの思いでやっていたということもよくわかりました。
私は小さい時からレジに立ってたこともあり、私にとってお店=家だったんです。お客さんも含めて家族的な所があって、みなさんに「リカちゃん大きくなったね」と声をかけていただいたりかわいがっていただいたので、それがなくなるとどうなるのかなと考えると、ものすごく寂しいっていうのが一番大きかった。だからもしかしたら一生懸命取り戻そうとしているのかもしれないですね、うまくいかなかった想いとか。

お茶屋さん自体は、祖母の代から始めたので、どちらかというと祖母への思いが強いかもしれません。私の中で今一番重要人物は、祖母。今でも毎朝、祖母の家で一緒にお茶を飲むんですけど、祖母とお茶を一緒に飲む時間がすごく好きで、私の活動はその心地よい時間を拡大しているような感じです。
父と祖母からは「お茶なんてもう儲からないから、やらないほうがいいよ」と言われるんですけど、私はそんなことはないと思っていて、やり方によってはお茶ってすごく魅力的だし、たくさんの人がそれを求めて、結果的にお金が稼げるという仕組みはきっとできるはずと思っているので、祖母が生きてるうちに「ほら!」って見せてあげたいですね。

記者 Ricaさん、今日は貴重なお話しをありがとうございました!

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Ricaさんの活動や連絡先についていはこちら↓

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【編集後記】
取材を担当しました、山田、小田原雄也、小田原千草です。
柔らかさの中に、凛とした自分らしさを持ち合わせるRicaさん。海外留学や協力隊での経験を通して、何度も価値観を塗りかえ続けてきた彼女がみせる、相手を決めつけず柔軟に受け入れる姿勢が、彼女らしい魅力的な発信力につながっていると感じました。
日本人として、日本茶の魅力が世界に広がっていくのは嬉しいことです。Ricaさんのこれからの益々のご活躍をお祈りしています!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


薬剤師×教育ベンチャー 子供の頃から、人の身体と心のつながりや仕組みに興味がありました。 インタビューを通して、相手の方の人生のエッセンスと出会うことや、それを多くの方と共有できることが嬉しいです。