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【27.水曜映画れびゅ~】"Once Upon a Time in... Hollywood"~【Netflix配信解禁記念!】映画好きになったきっかけ~
今回紹介する映画は"Once Upon a Time in… Hollywood"。
私、この作品がとてもとても大好きです!
どのくらい好きかというと…
実はこの作品を観たのをきっかけに映画が好きになりました!
超クールで痛快にユーモラスなこの作品を観て、映画の魅力と面白さを体感し、そこからどっぷり映画にハマって今に至ります。
そんな大好きな作品をいつか記事にしてみようと思って下書きを用意していたのですが、なかなかタイミングが難しくて今まで出せずにいました。
しかしなんとつい先日、サプライズ的にNetflixで配信が解禁されました!
そうとなれば…これは今しかない!
ということで今回は温めに温めたこの記事で、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の魅力、そして本作の監督クエンティン・タランティーノへの愛を思う存分に紹介させていただこうと思います!!
あらすじ
舞台は1969年のハリウッド。
リック・ダルトンは過去に一世を風靡したテレビドラマの主演を務め、その後も映画俳優として活躍していたものの、最近は低迷。キャリアとして目立った活躍はなく、ただただ年を取って演技の幅が狭まっていく、いわゆる“落ちぶれた俳優”に成り下がっていた。クリフ・ブースは、リックにとっては頼れる相棒で、リックの専属スタントマン兼付き人として運転から家のアンテナ工事といった雑用まで任せられている。しかし何やら怪しげな過去があり、素行もよくはない。
そんなハリウッドに染まりきった二人と、1960年代かつてのハリウッドが描かれる 。
奇才・クエンティン・タランティーノ
突然ですが、「どの映画監督が好きですか。」と聞かれたら皆さんは誰を答えますか。
私は以前出した記事でクリストファー・ノーランやデヴィッド・フィンチャーを特集したことがあります。そのほかにもマーティン・スコセッシやアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、日本映画だと西川美和や深作欣二も好きな監督として挙げるでしょう。
しかしそんな名監督たちの誰よりも真っ先に名前を挙げるのは、本作の監督クエンティン・タランティーノで間違いないでしょう。
『パルプ・フィクション』(1994)、『キル・ビル』2部作(2003,2004)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)など独特の題材とその手法で多くの大ヒット映画を世に送り出してきた"ハリウッド界の奇才"タランティーノ。
もともと根っからの超映画好きの彼は下積み時代はレンタルビデオ屋で働いており、大量の作品に囲まれながら脚本を執筆していました。
そんな環境で書き上げた自主製作映画用の『レザボア・ドッグス』(1992)の脚本が『ミーン・ストリート』(1973)などで当時すでにスター俳優であったハーヴェイ・カイテルの目に留まり、ハリウッド監督デビュー。
その後『パルプ・フィクション』でカンヌ国際映画祭パルムドールとアカデミー脚本賞を受賞し、一挙にスターダムを駆け上がります。
そんな彼の9作目の監督作品が、この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
本作にハリウッドの名作映画・名作ドラマのオマージュやリスペクトなどを盛り込ませているのはタランティーノらしい演出となっています。
といいながらも、実はこの作品は私にとって初めて観たタランティーノ作品。
しかし前述したようにその超クールな物語の雰囲気と構成に衝撃を受け、すっかりタランティーノに魅せられました。
またその後すべてのタランティーノ作品を鑑賞し、その脚本の妙に衝撃を受けた『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』はもちろん、『ジャッキー・ブラウン』(1997)や『イングロリアス・バスターズ』(2009)も私のお気に入りの映画です。
「歴史改変」と、マンソンファミリー事件
これまでの監督作品で脚本も務めるタランティーノ。
ハリウッド映画に限らず日本映画を含めた幅広いジャンルにおける名作映画のオマージュを取り入れたり、物語の時間軸の構成をいじくったり、物語の本筋とは関係ない無駄話をダイアローグに盛り込んだりするなど、その独特の脚本は多くのファンを魅了してきました。
その特色の一つが「歴史改変」。
これは2000年代後半のタランティーノ作品で見られるようになった特色で、歴史上で実際に起きた事柄を題材にしつつも、その結末は歴史的事実とは大きく異なるように物語が描いています。
その特色が最も反映されたのが、監督6作目の『イングロリアス・バスターズ』。
第二次世界大戦でドイツ占領下にあったフランスを舞台にした今作品では、ナチスを脅かすアメリカの特殊部隊「バスターズ」を創造し、実際とは異なる世界大戦の終息を描きました。
そして「歴史改変」は本作でも見られ、その題材となったのがマンソンファミリー事件。
マンソンファミリーとは、アメリカのカルト指導者チャールズ・マンソンを中心にカリフォルニア州で実際に集団生活をしていたヒッピーたちのこと。
そのマンソンファミリーが1969年にハリウッド女優シャロン・テートを殺害した事件が、マンソン・ファミリー事件と呼ばれています。
そしてこの作品にはマンソン・ファミリーとシャロン・テートが劇中にも登場し、そこにリックとクリフというタランティーノによって創造されたキャラクターが加わることで、事実とは異なるラストシーンが生まれます。
ブラット・ピットが、最っ高!!
そんなタランティーノが監督しているだけでも面白いこと間違いなしの本作ですが、さらに注目なのは超豪華出演陣。
レオナルド・ディカプリオとブラット・ピットというハリウッドの人気トップ2俳優が初共演しただけでなく、マーゴット・ロビーやアル・パチーノ、ブルース・ダーンなども出演しています。
レオナルド・ディカプリオとブラット・ピットはそれぞれアカデミー主演男優賞、助演男優賞にノミネートされ、ブラット・ピットが助演男優賞を獲得しました。
しかもこの時のノノミネーションがトム・ハンクス、アンソニー・ホプキンス、ジョー・ペシ、アル・パチーノというブラット・ピット以外オスカー俳優という超実力派揃い。
しかしブラット・ピットは前哨戦でも無類の強さを見せつけ、演技部門での初のオスカーを手にしました。
そのブラット・ピットはタランティーノが脚本を手掛けた『トゥルー・ロマンス』(1993)に出演したこともあり、タランティーノとは旧知の仲。なので、タランティーノ作品でオスカーを獲れたことにブラット・ピットの喜びもひとしおだったかもしれませんね。
私としても本作のブラット・ピットは本当にカッコ良く、『ファイト・クラブ』(1999)に並ぶキャリア最高峰の演技だと思います。
普段の私生活から男気溢れるカリスマな彼ですから、その人物像とキャラクターが見事にマッチしています。アル中と大麻の過剰使用でアンジーと離婚裁判中であったことも、何の因果かキャラクターに深みを持たせました(笑)。
全米映画俳優組合賞の受賞スピーチで、本人もそれをネタにしていました。
「正直言って、今回の役は難しかったよ。ハイになったり、シャツ脱いだり、離婚歴があったりって…」
いやいや、モロお前のことだろっ!(笑)
『ワン・ハリ』はまだ終わっていない。
このように大好評・大ヒットであった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ですが、公開されたものは実は短縮版。
公開されたものとは別に20時間版が存在することが、マーゴット・ロビーによって明かされています。
20時間版はあり得ないとしても、タランティーノはせめて4時間くらいに収めたものを劇場公開することを検討していたようです。
しかしその幻の4時間版・20時間版がどうやら別の形で楽しめるかもしれません。
というのも、この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の小説版が現在タランティーノ自身で執筆中とのこと。
予定では2021年の夏に刊行されるといわれています。
「映画のその後」も描かれる予定で、そうなるとこれを機に続編も…なんて期待したくなりますね!
(…可能性は低いと思いますが笑)
ちなみにタランティーノは生涯で映画を10作撮ったら監督業を引退すると公言しています。
そうなると本作が9作目なので、次回が最後…
現在は小説に加えて自身の監督作品のためではない脚本も担当しているという報道もあり、10作目が作られるのはだいぶ先になりそうですが、ハリウッド界の奇才が最後にどんな物語を用意してくれるのか、期待です。
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の記事では、今年のアカデミー賞で主演男優賞と脚色賞を受賞した"The Father"(2020)について語っています。