【81.水曜映画れびゅ~】"The Harder They Fall"~新しい西部劇「ブラック・ウエスタン」~
"The Harder They Fall"は、昨年からNetflixにて配信されている映画。
今年のNAACPイメージ・アワードにて作品賞(映画部門)を受賞した作品でもあります。
あらすじ
NAACPイメージ・アワード
全米有色人種地位向上協会が主催するNAACPイメージ・アワード。
映画・ドラマ・音楽・文学の分野にて、その年に活躍した有色人種の功績を称える授賞式で、毎年1~3月の間に開催されています。
今年で53回目とその歴史は長く、アメリカでは毎年NBCで中継されていますが、日本ではほぼ話題に上らない賞…。
まあ、ノミネーションが有色人種に限られていることもあって、なかなか日本人向きの賞とはいえませんからね。
でもその内容を覗いてみたら、これが結構面白いんですよね!
ご覧のように、アカデミー賞をはじめとする他の映画賞とはノミネートされている作品の顔ぶれがかなり違うんですね。
なので、この賞を探っていると、オスカーやゴールデングローブからこぼれた良作に出会えることがあるんです。
そして今回紹介する『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』は、まさにそういった掘り出し物!
他の映画賞でその名を聞くことは一切ございませんでしたが、今年のNAACPイメージ・アワードにおいては作品賞(映画部門)を含む5冠を果たしています。
ブラック・ウエスタン
本作のジャンルとしては、西部劇。
ただ、これまでの西部劇とは大きく異なります。
なぜなら…
メインキャストが全員黒人なんですね!
敵も味方も関係なく、出てくるカウボーイ・カウガールはみんな黒人なんです!
これはすごいことですよ…。
というのも、昔のハリウッドで西部劇と言えば”白人のカウボーイ”と相場が決まっていました。
事実、『荒野の七人』(1960)も七人全員が白人でした…。
しかし、実際に西部開拓期で名を轟かせたならず者達が白人だけだったのかといえば、それは違います。
むしろ西部に出稼ぎに出ていた白人は少なく、大半が黒人やアジア系の移民だったといいます。
つまり「カウボーイ=白人」というのは、ハリウッドがホワイトウォッシュによって作り上げたイメージなんですね。
そんな誤った固定概念をぶっ壊しにかかった本作。
実際に、本作の登場人物は西部開拓期に実在したカウボーイ・カウガールたちで、それをジョナサン・メジャースをはじめ、イドリス・エルバ、ザジー・ビーツ、レジーナ・キング、ラキース・スタンフィールドなど、最高の黒人俳優たちが演じています。
そんな本作はいわば、これまでの西部劇とは異なる「ブラック・ウエスタン」という新しいジャンルを確立した作品といえ、だからこそNAACPで作品賞が授与されたのも納得です。
西部劇×現代ブラック・ミュージック
黒人カウボーイ・カウガールが荒野を駆けるブラック・ウエスタンの本作にて、花を添えるのがブラック・ミュージック。
本作の監督ジェイムズ・サミュエルは、The Bullittsという名義でアーティストとしても活躍している方であり、さらにプロデューサーにはジェイ・Zも名を連ねています。
その影響もあって、作品の節々でバチバチのヒップホップが流れるのですが…
これがもう、超アガる!
マジでカッコイイ!
特に銃撃戦のシーンとヒップホップなんて、相性MAXですね!
西部劇×ブラック・ミュージックという組み合わせも、ブラック・ウエスタンだからこそ可能な、最高の化学反応でした。
続編…?
ということで、今回はブラック・ウエスタンという新しい西部劇を確立した『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』を紹介させていただきました。
昨年の11月からNetflixにて配信された本作ですが、実はすでに続編の噂もあります。
実際にジェイムズ・サミュエル監督は、作品について次のように述べています。
Netflixは続編についてコメントを発表はしていませんが、その可能性は大いにあるのではないでしょうか?
期待しています!
前回記事と、次回記事
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来週は、Apple TV+にて配信されている"Swan Song"を紹介させていただきます。
お楽しみに!