【49.水曜日映画れびゅ〜】”The Mauritanian”~9.11のその後、アメリカの闇~
"The Mauritanian"は、10月29日から劇場公開されている映画です。
あらすじ
9.11から20年
2001年に起きたアメリカ同時多発テロ("9.11")。
今年の9月11日で、発生から20年となりました。
飛行機がビルに突っ込んでいくという、あまりにも衝撃的な出来事...
多くの方がその犠牲になったことは、20年経っても決して忘れてはいけません。
9.11の副作用・アメリカが生み出した混乱
ただ、その9.11によって怒り狂ったアメリカが世界を滅茶苦茶にしたことはまた別の話。
アメリカは9.11を主導したアルカイダを撲滅するためにイラクやアフガニスタンで戦争を起こし、それが泥沼化したことで多くの犠牲を生み出しました。
さらに、今のアフガニスタンからもわかるようにアメリカが関与した結果として混乱状態となった国もあるという現状があります。
そういった9.11によって生み出されたアメリカの負の連鎖を描いた映画が、最近は多くなってきています。
2018年公開の『バイス』では「なぜイラク戦争は起こったか」という裏側が政治風刺たっぷりに描かれていました。
またNetflixオリジナル映画の『ウォー・マシーン: 戦争は話術だ!』(2017)では、9.11から始まった米軍のアフガニスタン駐在は「本当に必要なのか」ということを問いかける内容となっています。
そんな「9.11後に、アメリカが世界にもたらした混乱」を描く作品の一つが、本作『モーリタニアン 黒塗りの記録』となっています。
モハメドゥ・ウルド・スラヒ
9.11後にアメリカは、テロに関わった容疑者を監禁するためキューバにグアンタナモ収容所を作りました。
しかし収容されていた容疑者たちのなかには、証拠が不十分にもかかわらず不当に監禁されていた方々も存在しました。
その一人が本作の主人公であるモハメドゥ・ウルド・スラヒさんです。
スラヒさんは、2002年からアメリカ政府に半分拉致のような形で連行され、2016年になるまで収容されていました。
その14年間にもわたった収容所で日々を綴った手記は、"Guantánamo Diary"として出版されました。
収容所において拷問や虐待が行われていることを暴露したこの本は全世界で翻訳され、ベストセラーとなりました。
この本をベースにして作られたのが、本作になります。
ジョディ・フォスターら、名演が輝る
そんな本作は、実力派俳優で彩られる演技合戦の作品でもあります
スラヒさんを演じたのはフランス人俳優のタハール・ラヒム。
そしてスラヒさんの弁護士をジョディ・フォスター、アメリカ側の検事をベネディクト・カンバーバッチが務めました。
ラヒムは英国アカデミー賞とゴールデングローブ賞(ドラマ部門)で主演男優賞にノミネート、またフォスターはゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞しました。
こういったことからも、評価が高い作品であることがわかりますね。
また個人的に好きだったのは、ベネディクト・カンバーバッチ。
(まぁ私が無類のカンバーバッチ好きっていうのもあるんですが笑、)本作では渋めの演技が輝っていました。声もいつもよりトーンを落としていて、なんかすごくカッコイイ声でしゃべっていたんですよね。
アメリカという大国と自らの良心に苦しむ姿が印象的でした。
これから順次公開の場所も
今回は『モーリタニアン 黒塗りの記録』という映画について紹介させていただきました。
この映画は公開から1ヶ月ほど経ったこともあり、もう公開終了している地域や明日(11月25日)で公開が終了しちゃうところが大半なんですよね。
すごくオススメなので、私も早く観て早く記事にしておけばよかったぁと悔やんでおります。
ただ「明日で公開終了」というのはシネコンの大半でのことで、今後はミニシアターを中心とした公開にシフトしていく地域もあります。
なので、もし今回の記事で興味が持たれた方がいらっしゃいましたら、下のリンクからお近くのシアターで公開されるかどうか、ご確認してみてください。
ぜひ、劇場にてご覧になられることをオススメします。
前回記事と、次回予告
先週投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
来週は、今週末に公開の"Dear Evan Hansen"のレビューをしようかな、と思っております。
お楽しみに!