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"主演女優賞"編:第93回 米アカデミー賞 大予想!!

今月、4月26日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。
それに先立ち、先月の3月15日(日本時間)に各部門のノミネーションが発表されました。

アメリカはもちろん世界中が注目する最高峰の映画の祭典。

その開催まであと約2週間。

今回はオスカー主要6部門の中の一つ、主演女優賞の予想をしたいと思います!

本命・フランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)

誰が獲ってもおかしくない今回の主演女優賞ですが、それでもやはり本命はフランシス・マクドーマンドと言いたいです。

『ノマドランド』にて、車中生活をしながらアメリカ大陸を転々とする現代の”ノマド”になりました。

実際にノマドの生活を送り、そして本当のノマドの方々と素で交流を深める姿が今作には収められており、演技という枠組みを超えた新たな俳優のあり方、そして新たな映画の可能性を感じました。

順当にいけば「主演女優賞間違いなし!」と断言できるのですが、気がかりなのはすでに2度の主演女優賞(『ファーゴ』,『スリービルボード』)をマクドーマンが獲得していること。

3度目となるとおのずとハードルは高くなりますが、それに値するとアカデミー会員は判断するかどうかがすべてです。

ちなみに、これまで演技部門を3回以上オスカー受賞した女優は、キャサリン・ヘップバーン(主演女優賞4回)、イングリッド・バーグマン(主演女優賞2回,助演女優賞1回)、メリル・ストリープ(主演女優賞2回,助演女優賞1回)。

主演女優賞に限れば、キャサリン・ヘップバーンのみです。

対抗・アンドラ・デイ(『ジ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』)

日本未公開の『ジ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』より、戦前の伝説のシンガーのビリー・ホリデイを演じたアンドラ・デイ

シンガーソングライターでもあり、グラミー賞にノミネートされた経験もある彼女。

今作では、その素晴らしい歌声とともに、黒人差別に屈しない力強い姿を示してくれました。

『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007)のマリオン・コティヤール、『レ・ミゼラブル』(2012)のアン・ハサウェイ、そして『ジュディ 虹の彼方に』(2019)で昨年主演女優賞を受賞したレネー・ゼルウィガー。

このように演技だけでなく、劇中での歌唱も大きく評価されるアカデミー賞。ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)を制したこともあり、最有力との呼び声も高いです。

受賞となれば、2007年に『チョコレート』で受賞したハル・ベリー以来、実に14年ぶり史上2人目の黒人女優の主演女優賞となります。

単穴・キャリー・マリガン(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)

こちらも日本未公開『プロミシング・ヤング・ウーマン』よりキャリー・マリガン

わざと酔ったふりをしてクラブに通いレイプ魔を引き付け、そして仕返しをするという狂気じみたキャラクターを演じました。

キャリー・マンガンは『17歳の肖像』(2009)以来2度目のノミネーション。これまで清純派を演じてきましたが、今回は一転ダークな一面を見せてくれました。トレーラーを見ただけでもゾクゾクします(笑)。

#MeToo運動などにより女性へのセクハラなどがより問題視されるようになった近年。

昨年もシャリーズ・セロン主演の『スキャンダル』が複数カテゴリーでノミネートされるなど、ハリウッド界でもそういったメッセージを含む作品が注目されてきています。

作品賞にもノミネートされた今作がどのように評価されるかも楽しみです。

穴・ヴィオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)

Netflixオリジナル『マ・レイニーのブラックボトム』より、ヴィオラ・デイヴィス

実在した伝説のブルースシンガーであるマ・レイニーを演じましたが、その存在感たるや、一度見たら忘れられないくらい強烈。

大スターであったマ・レイニーの、黒人差別が今の何倍もひどかった時代でありながら一切に白人にこびへつらないその一貫した姿勢を見事に体現しました。

『フェンス』(2017)で助演女優賞を受賞し、オスカー、エミー、トニーの演技三冠を達成したヴィオラ・デイヴィス。

受賞経験があることから票は集まらないかと思われたのですが、先日行われたオスカー前哨戦の一つ 全米映画俳優組合賞で主演女優賞を受賞し、わからなくなってきました。

4番手にしていますが、受賞の可能性は決して低くはありません。

大穴・ヴァネッサ・カービー(『私というパズル』)

こちらもNetflixオリジナル作品の『私というパズル』より、ヴァネッサ・カービー

死産による喪失感を持ち、それゆえ家族との関係も崩壊していく女性を演じました。

なんといってっも注目なのは、映画冒頭30分の出産のシーン。
これほどまでに”迫真の演技”という言葉がピッタリなものはないのではないでしょうか。

5番手にしてはいるものの、今作の演技でヴェネツィア国際映画祭の女優賞を受賞したヴァネッサ・カービー。

これまた可能性が低いとは言い切れません。

前哨戦の結果(4/12 追記)

ゴールデングローブ賞
ドラマ部門
→アンドラ・デイ(『ジ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ(原題)』)
ミュージック・コメディ部門
→ロザムンド・パイク(『アイ・ケア・ア・ロット(原題)』)

SAGs Award(全米映画俳優組合賞)
ヴィオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)

BAFTA(英国アカデミー賞)
フランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)

なんと、上記の主要前哨戦でそれぞれ受賞者が異なりました!

このことからも今回の主演女優賞は超高レベルなことがわかります。

何度も繰り返しますが、本当に誰が獲ってもおかしくなく、いい意味で本命不在の戦いになると思います。それだけに受賞の行方が本当に楽しみです。

また、ちょっと気になったこととしては、BAFTAを受賞したマクドーマンが、オンラインであったにも関わらず、授賞式に参加していなかったこと。

さらに受賞のメッセージを読み上げたリチャード・グラントが「彼女は今、北アメリカのどこかにいるので…」と前置きしていたのも少し気がかりです。

もしかして、彼女は今もノマドの生活を送っている…?


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