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"作品賞"編:第93回 米アカデミー賞 大予想!!

今月、4月26日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。
それに先立ち、先月の3月15日(日本時間)に各部門のノミネーションが発表されました。

アメリカはもちろん世界中が注目する最高峰の映画の祭典。
その開催まで、ついにあと3日!

今回はオスカー主要6部門の中の一つであり、最高の栄誉といわれる作品賞の予想をしたいと思います!

本命・『ノマドランド』

大本命は、やはり『ノマドランド』

ベネチア国際映画祭金獅子賞をはじめ、ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)やBAFTA(英国アカデミー賞)作品賞などを受賞し、今年度の映画賞を総なめにしています。

私個人としてもこの作品への衝撃は大きく、美しい映像や音楽、そして何よりノマドの方々とのリアルな交流が心に響きました。

それと伴に、ドキュメンタリーともフィクションとも言えない、新しい映画の可能性も感じました。

監督賞・主演女優賞・撮影賞・編集賞・脚色賞にもノミネート。
作品賞のみならず、監督賞,主演女優賞,撮影賞,編集賞も受賞するのでは、と予想しています。

対抗・『ミナリ』

そんな『ノマドランド』へ唯一対抗できる作品として挙がるのが『ミナリ』

ゴールデングローブ賞では外国語作品賞を受賞しました。(ゴールデングローブ賞を巡ってはいろいろと論争がありましたが…。)

1980年代の移民家族を描く非常にアメリカ的な映画。

韓国系アメリカ人である監督リー・アイザック・チョン自身の子ども時代の経験を色濃く反映し、当時の韓国移民の家族という視点で物語は描かれます。

監督自身が手掛けた脚本の素晴らしさに加え、アメリカ製作でありながら韓国語がダイアローグの大半を占めるというのが注目のポイントといえるでしょう。

映画の多様性と最近の韓国人気を考えると、作品賞に選ばれる可能性は決して低くはありません。

監督賞・主演男優賞・脚本賞・作曲賞・助演女優賞にもノミネート。
助演女優賞のユン・ヨジュンが最有力候補、そして脚本賞も受賞の可能性が高いです。

単穴・『Mank/マンク』

『Mank/マンク』は『市民ケーン』(1941)の共同脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツの伝記映画。

その『市民ケーン』で用いられた技法を現代風に盛り込んで作りこまれた鬼才・デヴィッド・フィンチャー監督渾身の一作です。

作品賞のほか、監督賞・主演男優賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞・撮影賞・美術賞・サウンド賞・作曲賞・衣装デザイン賞・助演女優賞という今回最多の10部門にノミネート。

しかし、最多ノミネートの作品が作品賞を受賞するのは意外と珍しいことで、最近5年間で言えば2017年の『シェイプ・オブ・ウォーター』のみ。今回も例年と同じ路線かな、と私は思っています。

一方で、受賞の可能性があるのは美術賞と作曲賞、と予想しています。

ちなみに、今回のアカデミー賞授賞式のWOWOWの生中継でスペシャルゲストとして出演する予定のSexyZoneの中島健人さんの作品賞予想は、この『Mank/マンク』らしいです。

単穴・『シカゴ7裁判』

『ソーシャル・ネットワーク』(2010)や『マネーボール』(2011)の脚本家であるアーロン・ソーキンが監督・脚本を務めた『シカゴ7裁判』

1968年の民主党大会での暴動を巡って起きた実際の裁判を、エディ・レッドメインやマーク・ライランスをはじめとする超実力派俳優陣で描く、硬派で社会派映画です。

『アルゴ』(2012)や『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)など、今作のような社会派映画が作品賞を受賞することは珍しくなく、近年も受賞こそしていませんが、『バイス』(2018)や『2人のローマ教皇』(2019)などが作品賞にノミネートされています。

個人的には『シカゴ7裁判』みたいな映画は大好物なので結構推しているのですが、ちょっと今年は他が強すぎるかな…。

歌曲賞・撮影賞・編集賞・助演男優賞・脚本賞にもノミネート。
ゴールデングローブ賞で脚本賞を受賞し、『ソーシャル・ネットワーク』以来2度目の脚本賞受賞の可能性が大いにあるアーロン・ソーキン。しかし、リー・アイザック・チョン(『ミナリ』)とエメラルド・フェネル(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)という強敵が立ちはだかります。

穴・『プロミシング・ヤング・ウーマン』

女優としても活躍するエメラルド・フェネルの初の長編映画作品『プロミシング・ヤング・ウーマン』

簡単に言えば、親友をレイプされたことに対し復讐を仕掛ける物語です。

#MeToo運動など女性に対する不当な暴力に抗議するムーブメントが大きく注目されるようになった近年。

昨年もFOXニュースのセクハラ事件を描いた『スキャンダル』が主演女優賞などにノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。

その『スキャンダル』は残念ながら作品賞にノミネートされませんでしたが、今作は見事ノミネート。

加えて、監督賞・主演女優賞・編集賞・脚本賞にもノミネートされており、特に脚本賞は、全米脚本家組合賞とBAFTA脚本賞を今作が受賞していることもあり、注目です。

ちなみに製作としてマーゴット・ロビーが携わっているらしいので、授賞式でその姿が見られるかも。

穴・『ファーザー』

日本公開がいよいよ来月の14日と迫ってきている『ファーザー』もノミネート。認知症を患った父親とそれを支える娘の物語です。

なんといってもアンソニーホプキンスとオリビア・コールマンというイギリスが誇る2大オスカー俳優の共演に注目。両者それぞれ主演男優賞と助演女優賞にノミネートされており、ホプキンスはBAFTA主演男優賞を受賞しています。

本人は受賞するとは思っておらず、受賞式に出席せずに絵を描いていたらしいですが(笑)。

そのほか、編集賞・美術賞・脚色賞もノミネート。BAFTAで脚色賞を受賞したので脚色賞の受賞があるのでは、と私は予想しています。

大穴・『サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-』

後天的聴覚障害者を描いた『サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-』がノミネート。

Amazonプライム独占配給のAmazonオリジナル映画が作品賞にノミネートされるのは今作が初になります。

今作の注目ポイントは、やはりサウンド。

健常者の音の感覚と、聴覚障害者の音の感覚が交互に繰り返され、聴覚障害者の方がどんなふうに音を認識しているのかという疑似体験が映画を通じてできると思います。

今年から録音賞と音響編集賞の統一により新設されたサウンド賞の最有力候補とされています。

加えて、主演男優賞・編集賞・助演男優賞・脚本賞にもノミネートされています。

大穴・『ユダ& ブラック・メシア 裏切りの代償』

ブラックパンサー党の伝説的指導者フレッド・ハンプトンの暗殺を描く『ユダ& ブラック・メシア 裏切りの代償』

2021年の2月というオスカー選考期間ギリギリに公開され、なんと作品賞にノミネートされました。

注目は、助演男優賞にノミネートされ、オスカー前哨戦で他をよそ付けない強さを見せたダニエル・カルーヤ。

「ナメクジに塩を買わせることもできる」と評されるほどだった演説の名手フレッド・ハンプトンになりきり、受賞は確実でしょう。

また、同カテゴリーにはラキース・スタンフィールドもノミネート。そのほか歌曲賞・撮影賞・脚本賞を含む5部門6ノミネーションです。

前哨戦の結果

ゴールデングローブ賞
作品賞(ドラマ部門)
→『ノマドランド』
作品賞(ミュージカル・コメディ部門)
→『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
外国語作品賞
→『ミナリ』

BAFTA(英国アカデミー賞)

作品賞
→『ノマドランド』
英国映画作品賞
→『プロミシング・ヤング・ウーマン』

前述したとおり、ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)とBAFTA作品賞を制したのは『ノマドランド』。

しかし、ゴールデングローブ賞では『ミナリ』と直接対決していないこともあり、断言はできません。

ちなみにゴールデングローブ賞で作品賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した『続・ボラット』は今回のアカデミー賞で脚色賞にもノミネート。受賞したらサシャ・バロン・コーエンのスピーチが聞けるので、個人的に期待してます。


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