【31.水曜映画れびゅ~】"The Grand Budapest Hotel”~ようこそ、ウェス・アンダーソンの世界へ~
"The Grand Budapest Hotel”は、2014年公開の映画。
ベルリン国際映画祭審査員グランプリ受賞、米アカデミー賞9部門ノミネートなど、その年の映画賞を席巻した作品です。
あらすじ
"唯一無二の天才" ウェス・アンダーソン
『グランド・ブダペスト・ホテル』の監督は、ウェス・アンダーソン。
本作のほか『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)でアカデミー脚本賞にノミネート、『ファンタスティック Mr.FOX』(2009)と『犬ヶ島』(2018)でアカデミー長編アニメ映画賞にノミネートされた経歴を持ち、実写映画とアニメ映画の二分野で成功を収めている稀有な監督です。
そんなウェス・アンダーソンが生み出す映画の世界観はアニメ・実写に問わず、一風変わっています。
もちろんいい意味で…
どこか懐かしいポップな世界観
ウェス・アンダーソンの映画の特色は"めちゃくちゃポップ"なところです。
色彩溢れるプロダクションデザインといい、ユーモラスに溢れるセリフ回しといい、とりあえずすべてポップです。
そのポップさこそがウェス・アンダーソンの作りだす唯一無二の世界観といえるのですが、そんな彼の作品を見ると”懐かしさ”もなんとなく感じてしまいます。
なぜ懐かしさを感じるのでしょうか?
それはおそらく「大人が子どものように振る舞い、子どもは大人のように振る舞う」というウェス・アンダーソンのストーリー構成にあると思います。
これはつまり「大人の身勝手を子どもが正す」という教訓的なテーマ。
堅苦しい言い方をしましたが、このようなテーマって多くのジブリ作品に共通すると思いませんか?
『天空の城ラピュタ』や『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』ect...そういったジブリ作品をウェス・アンダーソンの作品から私は連想してしまいます。
実際にウェス・アンダーソンは『となりのトトロ』をお気に入り映画30選に選ぶなど、日本のアニメ映画に大きく影響を受けていると思われます。
本作『グランド・ブダペスト・ホテル』でも、ベルボーイのゼロと支配人のグスタヴとの関係性に「子どもっぽい大人・大人っぽい子ども」というテーマが見え隠れしています。
そのようにウェス・アンダーソン特有のポップな世界観の中にジブリを感じるからこそ、私はこの映画が好きなのかもしれません。
豪華すぎるキャスト
またウェス・アンダーソンの作品で毎回注目なのが、豪華すぎるキャスト陣。
メインキャストからちょい役まで、人気俳優と名俳優が所狭しのごとく出てきます。
本作『グランド・ブタペスト・ホテル』も豪華俳優目白押し!なので、そんな俳優陣を一部紹介させてもらいます。
レイフ・ファインズ
『ハリーポッター』シリーズのヴォルデモートとして有名なレイフ・ファインズが「グランド・ブタペスト・ホテル」の支配人として主演を務めています。
割とシリアスな役柄が多い彼ですが、本作ではウェス・アンダーソンの世界観に溶け込み、茶目っ気のあるユーモラスなキャラを演じています。
トニー・レヴォロリ
本作で一躍有名になったトニー・レヴォロリ。
もう一人の主人公であるホテルの新人ベルボーイ・ゼロを演じています。
動き、表情、しゃべり方、すべてかわいく映ります。今まで見てきた映画のなかでも、指折りの好きなキャラクターです。
エドワード・ノートン
保安官役としてエドワード・ノートン。
ノートンもシリアスなイメージが強いですが、ウェス・アンダーソンの映画のなかでは違った一面を見せてくれています。
また本作の次ぐウェス・アンダーソン作品『犬ヶ島』にも主要キャラクターとして出演しており、いまやアンダーソン組の一員です。
シアーシャ・ローナン
ゼロの恋人役に、シアーシャ・ローナン。
純粋な女の子を演じています。
こちらは役者のイメージと世界観がピッタリですね。純粋無垢な性格を演じさせたら、ローナンの右に出る者はいないでしょう。
ウィレム・デフォー
正体不明に怪しい殺し屋役に名優ウィレム・デフォー。
完全なる顔キャスティングでしょうね(笑)
ただ悪役の雰囲気は完ぺきです。
さすがグリーンゴブリン!
そのほかも、有名・人気俳優多数出演!
そのほかウェス・アンダーソン作品に必ずといってもいいほど出演するビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンをはじめ、 エイドリアン・ブロディ、ハーヴェイ・カイテル、ティルダ・スウィントン、 ジュード・ロウなど、このキャストリストだけで何時間でも語れちゃいそうな俳優が名を連ねています。
そんな豪華キャストが一堂に集まらしちゃうこと自体が、ウェス・アンダーソンの特色の一つといわれています。
監督としての信頼も厚いのでしょうね。
ウェス・アンダーソン新作:
『フレンチ・ディスパッチ』
今回は主にウェス・アンダーソンの紹介をメインに、彼の代表作『グランド・ブダペスト・ホテル』を取り上げさせてもらいました。
そんな彼の新作『 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』が完成。
来年2022年に日本公開決定と、先日報道がありました。
アメリカ公開に先立ち、カンヌ国際映画祭で先日初公開され、スタンディングオベーションが9分間続いたとのことです。
出演はティモシー・シャラメ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン他、これまた豪華ゲストがズラッと並んでいます。
あとがき:
ウェス・アンダーソンの世界観は言語化できない…
私はこの作品を今年の2月に鑑賞して「めっちゃくちゃ面白いっ!」と思い、絶対に記事にしようと下書きを準備していました。
しかしウェス・アンダーソンの世界観を言語化することがどうも難しく、しばらく熟成させていました。
ただ最近になって、ウェス・アンダーソンの最新作『フレンチ・ディスパッチ』に関する報道をよく目にするようになりました。すると「今こそこの記事を完成しなければ」という使命感が自分のなかで沸き立ち始め、今回公開するに至りました。
とはいっても本作の魅力を言葉に落とし込めるのは至難の業で、結局作品自体についてはあんまり書ききれなかったです。
でも言いたいことは「本当にこの作品はオススメ!」ということ。
なので「とりあえず『グランド・ブダペスト・ホテル』を観て!」と言わしてください。
「百聞は一見に如かず」ということで、ウェス・アンダーソンの世界に皆さんを誘うことができたような記事であれば、幸いです。
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の記事では、アカデミー脚色賞受賞作品ブラッド・ピットの隠れた名作”"Call Me By Your Name"(2017)について語っています。