4年近く同棲していたのに生活リズムの不一致で新婚早々妻と別居した話(7)
僕は仕事の都合上、数か月や数年単位で勤務先が変わる。
そして新しい環境に慣れるためには、普段より多い睡眠時間を要する。
積極的に動かなければ解決しない問題以外、ストレスというのは大抵の場合は睡眠が解決するのである。
精神的にも身体的にも、ほとんどの不調は睡眠が解決する。
仕事でもプライベートでも、活力のある生活を送るには十分な睡眠が不可欠なのだ。
当時、新しい環境というのと、その仕事の業務負担が大きかったこと、妻に起こされていたこと、諸々が重なり、僕は眠ることができなくなった。
睡眠がとれていないので、仕事のパフォーマンスも落ち、常に頭痛もあり頭がぼーっとし、精神的にも荒んだ。
なんとか現状を改善しなければならないという思いから、妻にも言わなくていいことを言ってしまった。
甘やかされて生きてきたんだね、兄弟でもいたら違ったんだろうね、誰からも注意してもらえなかったんだね、言い訳ばっかしてるから注意してもらえなくなるんじゃないの、約束を守るのは人間として基本だよ、常識云々を抜きにしても夫婦は二人でルールを作っていくものなのにあれもこれも反故にされたんじゃもう信用もできないしこの先も不安だよ。
人間性の否定。
これをモラハラと言わず何と言うのか。
僕もかつて、当時の職場の上司から人間性の否定を受けたことがある。
あれは本当に、やってはいけないことだ。
僕には絶対的な味方がいたから自己否定せずに済んだが、妻にはそういう存在がいるのだろうか。
両親は妻の味方であるはずだが、果たして妻は親に相談するのか。
ご両親に敵認定されたら、離婚もあり得る。
慰謝料とか取られるんだろうか。
大事にしてくれって言われたばっかりだったのにな。
僕が妻にとっての絶対的な味方であるべきだったのではないのか。
ああ、
ああ、もう。
ふう。
冷静に状況を整理しよう。
今一番、最優先で行うべきは何か。
睡眠時間の確保だ。
睡眠不足の状態ではいかなる意思決定もしてはならない。
まずは寝て、それから落ち着いて考えるべきだ。
第一に寝る。
すべてはそれからだ。
睡眠時間を確保するうえで障害となっているのは、
眠れないこと、
寝ても起こされること、
の2点。
起こされることについては今は考えなくていい。
睡眠は今まさに早急に必要としているのだ。
これまで何年も改善していなかったことを、今すぐどうにかできるはずがない。
それどころか睡眠不足の荒んだ状態で妻に何かを求めると、また失敗してしまいかねない。
何も求めず、すべてを受け入れるのだ。
目下対処すべきは、起こされることよりも眠れないことのほうである。
真っ先に思い付くのは睡眠導入薬。
これは確定でいいだろう。
原因の解決にはならないが、すぐに睡眠不足を解消したい現状に対して薬の即効性は助かる。
そう、原因だ。
これを解決しておかないと、薬がなければ眠れない状態がいつまでも続く。
眠れなくなった原因は、ストレスの許容量オーバーだろう。
詳しくは語れないが改善されない仕事の負荷、
詳しく語った通りの改善されない妻との生活。
そもそもの問題そのものなんか、解決してしまえばストレスは一過性だ。
問題を解決しようと取り組んできたのに何も変わらない状況こそが最大のストレスと言える。
やれるだけのことはやった。
自分の知識や経験を総動員してあらゆる手段を試したし、調べたり何人かの友人に相談したりと自分以外の意見も取り入れた。
それでダメだったんだ。
なら、僕にできる残された手段は、ひとつだろう。
リセットだ。