身近なチェーン店で買える豊かな生活のためのお茶〜LUPICIA編〜
カルディ編に引き続き、今回は現生で徳を積んだ人だけが行けるお茶の極楽ことLUPICIAのはなしをしたいと思います。
実際わたしが紹介するまでもなく周知の事実として良いんですよ。
ルピシアは最高。
小学生の頃に、親戚からルピシアのお茶3缶セット(確かカシュカシュとか入ってた) をいただいて、当時やまやの安いティーバッグしか飲んだことがなかったわたしには衝撃的でした。
まずね、裏に「表参道」って書いてあったの。たぶん会社住所とかの欄に。
表参道って。ねえ。
宮城の田舎でくらす女子小学生にとっての「表参道」って、もう、パリですよ。ニューヨークなの。異国の地からやってきたお洒落ななんかよくわからんやつ。
ティーポットなんて勿論もってないから、おばあちゃんの急須で淹れたんですよね。
紅茶缶を開けた瞬間の甘い香りの記憶。
昔話はいいんですってば。
もう皆知ってるいいお茶屋さんことルピシアですが、個人的にはフレーバードティーが最強だと思っています。
もちろん紅茶や緑茶、烏龍茶のいいやつに触れる最初のきっかけとしても一番いいお店です。
店頭で缶を開けて自分で香りを試す行為って、自分から能動的に動いていいものを獲得した体験として良質なんですよね。
大きくいうとオノ・ヨーコの「yes」みたいな。いいすぎかも。
ルピシアのフレーバードティーは、たとえばアップルティーだったら茶葉に混じってドライアップルが入っていたりして、チャーミングなのと「後付けの香りに騙されているんじゃないぞ」という謎の安心感があります。
そういうちょっとした気の利かせ方。
それと、オリジナルのブレンドティーやフレーバードティーに付いている名前もかわいい。
ちょっと公式サイトを眺めてみただけでも「グレナダ」「ベルエポック」「焚火」など、気の利いた名前の茶葉が並んでいます。
これ多分、よく考えてつけられた名前が結果として良くなっちゃってるだけで、狙ってお洒落にしているいやらしさとかしんどさがないです。
茶葉の見た目と香りも相まって、昔から名作として読まれている本のような、何世代も変わらぬいいものとして愛されるための厚みがある。
ルピシアの店頭には、ベストセラーの書棚にいるような安心感がある気がします。
毎回前置きが長くなっちゃうんですけど、今回はルピシアの中でもとりわけ好きなフレーバードティーについて書きます。
☕︎
NEPTUNE (ネプチューン)
80年代〜90年代生まれの女性がかかってる惑星の名前がついていると自動的にいいと思ってしまう呪いがあるんですけど、わかりますか?
もしかしたらわたしが勝手に呪われて嬉しがってるだけかもしれないんですけどいいですか?
名前が「ネプチューン」で、黄色い花(マリーゴールド) が入ってるんですよ。公式説明を読むと、香りは蜂蜜に漬けたフルーツ。
クール系かと思いきや可憐でスイートって、もう魅力のごった煮じゃん。かわいいの過剰摂取。
実際袋を開けて香りをかいでみると、メンソールやキシリトール系の爽やかな香りから始まり、フルーツの甘酸っぱさ、ティーキャンドルを燃しているような香ばしさが感じられます。でもどことなくお菓子っぽい。ていうかほぼミンティアの匂いかもしれない…
お湯を注ぐととびきり綺麗な香りになるから、ゆっくり楽しんでほしいです。
飲み口もフルーティーかつ爽やかで、日が高いうちに飲めばこれから始まる全てのイベントへの活力になるし、日暮れに飲みばまだ終わらない今日一日の楽しみについて想像を巡らすことができます。
夕暮れの色をしているのに、清々しく晴れ渡る空を思わせる素敵なお茶です。
メロン烏龍
「めろんうーろん」って響きがかわいい。語感ポイント100点。
らんま1/2とかに出てくる、イメージ上のチャイナ感ってあるじゃないですか。ああいう感じだと思っています。
開けるともう、笑っちゃうくらいに元気なメロンなの。あーーどうも!!メロンですねこれは!!黄緑でかわいいねえフレッシュで元気!アハハ!!ってなっちゃう機敏さ。香りが早い。
お皿とかに出してちょっと落ち着かせると、湧き出す泉よろしく烏龍茶の香りが戻ってきて、ようやくメロン烏龍のバランス感を見せてくれます。
緑の金平糖が入ってるのもかわいいよね、かわいいを分かってやっている感じがする。
茶葉に過食部があると(ドライフルーツとか) 思わずつまんじゃうんですけど、この金平糖もしっかりメロンでした。おいしい。これだけ売ってても買うと思う。
お湯を注ぐと、ぱあっと華やかで軽やかなメロンの香りの後に、長い年月をかけて湧いた水のように茶葉そのものの香りがやってきます。
分け入っても分け入っても青いメロン、にならない。ちゃんと烏龍茶に出会える。
甜瓜烏龍溺泉(メロンウーロンニーチュアン)……
楽園
やっぱり現生で徳を積んだ人だけが行けるお茶の極楽だったか…と思いました。
まずこの茶葉の色、見てください。
オアシスにいる鳥じゃん。
はじめて店頭で目にした時、そのあまりのビジュアルの良さに即購入を決めました。
トロピカルな香りが特徴なのにも関わらず、ベースは緑茶です。
鮮やかなグリーンに色とりどりのフラワー。
まるで生い茂る木々や葉の間を飛び交う鳥や蝶ではありませんか。
ルピシアの茶葉はとにかく視覚に訴えてくるものが多いですが、この茶葉はもう、色合いだけで完璧な「楽園」が表現されている気がします。
香りもその外見に似つかわしく、めくるめく華やかさとたっぷりバスケットに盛られたようなフルーツの香りはまさに飲む楽園 (概念)。
個人的には安らかに召されるというよりも「これから神々の宴じゃ!!やるぞコラ〜!!」という気持ちになれます。
アイスティーにしても美味しいので、ぜひ夏のお休みの朝に飲んでください。
晴れ晴れとした開放感とともに楽園へトリップ。
El Niño (エルニーニョ)
エルニーニョ、という名前を店頭で見つけて、すごくジメっとして熱いイメージが浮かんだのは、もちろんエルニーニョがスペイン語で男の子(またはイエス・キリスト) を指すと知らなかったからです。
缶を開けたら、甘くチャーミングなチョコレートの香りがしてびっくりしました。
ルピシアにチョコレートフレーバーの茶葉は複数ありますが、エルニーニョの特徴はローカフェインということ。
大人も子どもも、朝早くでも真夜中にでも楽しめます。
眠る前にチョコレートフレーバーのミルクティーだなんて、特別な贅沢じゃありませんか。
わたしはいつもエルニーニョのミルクティーを飲むとき、ミヒャエル=エンデの『モモ』を思い出します。
マイスターホラがモモを<どこにもない家>に招待した際、金色のポットからホット・チョコレートを注いでくれるんですよね。
飲めるチョコレートとがあるなんて!とモモは喜んでそれをいただくわけですが、モモがもう少し成長した女の子だったら、チョコレートフレーバーのミルクティーでもてなしたかもしれません。
眠る前にホットチョコレートなんて…と思う大人のわたしたちまで優しく癒してくれる、物語の世界のようなチョコレート・ミルクティー。
真夜中に飲むと、「眠るのだよ」とホラの優しい声が聞こえてきそうな紅茶です。
SWEET DREAMS! (スウィートドリームス!)
フレーバードティーではありませんが、真夜中のためのお茶をもう一種類。
最後にスイートと言える夢を見たのはいつだっただろう。いつも眠りが浅くて明晰夢や奇妙な悪夢ばかり見るわたしにとって、ある種祈りのような存在です。
カモミールとジンジャー、ドライアップルにダイダイのピール、ブルーマロウなどもブレンドされています。
カモミールは以前もご紹介しましたが、リラックス作用があるので眠る前にはぴったり。
ジンジャーが身体を温め、ブルーマロウが弱った粘膜をいたわってくれます。
イエローとブルーが混じったかわいらしい茶葉にお茶をそそぐとびっくり。
鮮やかな青色から、徐々にカモミールのイエローに変化していきます。
これはマロウブルーが青色に発色して、おそらくダイダイのピールが入っていることでお茶のph値が変わり色も変化していると想像しているのですが、
夜明けの瞬間を目撃しているようでいつも注意深く見守ってしまいます。
優しいカモミールに甘酸っぱいニュアンス。
甘い夢が必要な方はぜひ。
🌙
これを書いている現在深夜1:38。
スウィートドリームスの香りが思い出したくて淹れてみたのですが、真夜中に飲むお茶って本当に祈りに近い。
なんの祈りかと言われたら「生活のための」になってしまうのですが、マグカップで冷たい手が温められるだけでも少し幸せな気持ちになります。
昔から寝つきが悪くて朝も起きられないわたしにとって、リラックスして入眠させてくれる上に、朝半分眠った頭で熱いミルクティーでも作ろうかとベットから這い出る口実を作ってくれるお茶に、いつもいつも救われています。
自分で書いていて「明日ぜったいルピシア行こう」と思ったくらい、素敵な茶葉の宝庫で紹介し尽くせませんでした。
長い冬の夜に、寒い冬の朝に、
自分を甘やかすための美味しいお茶を揃えてみてはいかがでしょう。
次回はとうとうワインについて書こうかと思っています。
次→だれにでもわかる言葉でするおすすめワインの話〜成城石井編〜(coming soon...)
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