実践レポート:紫陽花の挿し木
世間的には好まれないけれど、気に入っているものごとの一つに梅雨がある。あとは幼虫とか、大雪とか。
雨が降るとご近所の庭が生き生きと輝き始めるのを感じる。
残念ながら我が家に庭はないけれど、こんなに湿度が高い中でベランダのミニトマトは水不足ですみたいな様子でシュンとしていて、実はどんどん甘く熟し、ついにかわいくて食べられなくなってしまった。
毎日ひどい雨ですが、皆さんいかがお過ごしですか。 お久しぶりです、JUNERAYです。
今回は飲み物ではなく、植物のはなしをします。
雨で外に出るのが億劫なとき、動画配信サービスの気になるエピソードももう見尽くしてしまって、なにか生産的なことをしないといけない気になっているとき、おすすめなのが園芸です。
定年を迎えたおじさんたちが「近頃は土を触っている時間が一番よくてねぇ...」なんて話をされますが、土いじりなんて小学生のときでも楽しかったじゃないですか。
いい年になってコンクリートしか見てないせいで、土との距離が遠くなってしまっただけで、老若男女だれが触っても面白いにきまっています。
しかも植物が育つ。
生産は最高。
このnoteは、最近やってみた土いじりキャンペーンで面白かったものの記録です。
わたしも初心者ですから、指導なんてことはとてもできません。一緒に失敗したりたまに成功したりしましょう。
今回使うのはこちらの立派な紫陽花。
友人のSchappeさんの庭から、米との交換で譲っていただきました。穀物と花の物々交換。
農家さんのyoutubeチャンネルを眺めるのがマイブームで、おじいちゃんが回すカメラにむかっておばあちゃんが「みなさんこんにちは。きょうは紫陽花の挿し木を...」なんて動画を観ていたら心がLOVEになってしまったので、この紫陽花を挿し木で増やしてみようと思います。
(親切な注釈: 挿し木というのは、土に茎を挿してるだけでなぜか根っこが出てくるふしぎ現象です。わたしも挿し木で増えたい)
◯用意するもの
・紫陽花...花が終わりかけの枝か、花のついていない枝。後者の方が根が付きやすいという説がある。
・いい感じの鉢...大きくなくていいけれど、深い方がやりやすい。
・水揚げ用の花瓶...花瓶とコップの違いは気持ちの問題。
・赤玉土または鹿沼土...両方とも土の種類。ホームセンターに売っている。
・鉢底石または軽石...ホームセンターにはこの世のすべてがある。
・ハサミまたはナイフ...よく切れる刃物。
・水...これがない場合は全てを諦めなければならない。
◯やり方
①紫陽花の水揚げ
ざっくりいうと、水分補給が十分できている状態にするということです。
紫陽花の切り口を水につけ、水の中でハサミまたは ナイフで斜めに切ります。
水の中で切ることで、水圧で紫陽花の中に水が入りやすくなります。
茎は切ると中にスポンジ状の白いものが詰まっているので、ハサミの先端かナイフでほじくり出します。こいつがいると水吸いが悪くなるからです。
深くはった水につけて、1~3時間ほど放置します。その間に好きな映画を観たりお昼ごはんを作ったりしましょう。
今回は園芸屋さんで買ったメネデールを使用します。小林製薬みたいないい名前ですね。
植物を強くするサプリメントのようなもので、1Lあたり1キャップ分を水に入れます。
必須ではないのであくまでおまじないくらいに考えてください。
②茎のカット
紫陽花の茎を節ごとに切っていきます。
上の図を参考に、きれいなハサミかナイフで切断してください。
✂マークの部分で太い茎を断ち、×印がついた葉は切り落としてしまいます。
上の図だけでは解りづらいでしょう。2枚目も併せてご覧ください。 1本を分解すると、2~3本の挿し木の赤ちゃんができます。
手のひらくらいの長さに切って、一番上の葉っぱ以外落としてしまう、ができていれば基本的に大丈夫です。
わたしは切ったそれぞれの茎の下端を斜めに切り直し、白い謎のわたをほじくりかえし、さらに30分ほど水揚げします。
水や土に浸かる面は、ハサミよりナイフで切った方が良いとされています。花用ナイフがない場合はカッターなどを使用しても構いません。要はきれいに切れていればいいのです。
先端の花部分は短くなってしまいますが、浅い盆か何かに活けてやりましょう。
メネデールの使用は切り花にも有効です。
③葉のカット
中学生の頃、理科の授業で「蒸散」という現象を習いませんでしたか。
わたしはほとんど忘れていたので、調べ直したところ
「気孔と呼ばれる孔辺細胞の隙間から水蒸気が放出されること。孔辺細胞は主に葉の裏側にある。」
とありました。難しいことはなにもわかりません。
これから土に茎を突き刺していくのですが、赤玉土・鹿沼土は水はけがよく、長時間水をキープしておく力は弱いです。
ただでさえ水が枯渇しそうな土から、大きく立派な葉が水蒸気を逃しまくったらどうでしょう。
超嫌じゃないですか。ひょっとして。
葉っぱ自身も疲れちゃうんじゃないですか。
すごく嫌な気がしたので、葉の面積を小さくしていきます。
きれいなハサミ(できればアルコール消毒を行う)で、葉の1/3から先を切り落としてします。
元から小さい葉はそのままでもかまいません。マッチ箱サイズの葉が残れば大丈夫です。マッチ箱の大きさがピンとこない方は「小さめのハムスター」と唱えてみてください。
④土の準備
用意した鉢の底に、鉢底の石(本当にこういう名前で売っています) か軽石を敷きつめます。
あまり厚い層にしないように気をつけます。できれば鉢底ネットを仕込むべきですが、わたしはあまり細かいことを気にする性質ではありません。
その上から土(今回は赤玉土) を8割程度まで入れれば土の準備はおわりです。
栄養は要りません。根が育つまではない方がいいです。産まれたての赤ちゃんに焼肉食べさせるみたいなことになっちゃうので。
画像はありませんが簡単な工程ですから大丈夫でしょう。
この土にたっぷりと水を含ませておきます。
⑤茎を挿す
水を含ませた土に、割り箸などで下穴をあけます。そこに先ほど切った茎を挿していきます。
道管が潰れないよう優しく。
「ここから発根しやすい」と書いてある部位が土に埋まるようにしましょう。
今回は茎6本を土に挿し、残りの3本は水に浸けて様子をみようと思います。
挿し木の準備はこれで完了しました。
時間はかかりますが、とても簡単です。
その後
挿し木が終了した鉢は、半日陰(日中明るいけれど直射日光はあたらない) くらいの場所に置きます。
土の表面が濡れた色から乾いた色へ変化してきたくらいの頃合いで水をやるのですが、最も大事なこととして、
必ず目につくところに鉢を置いてください。
人は目に見えない場所の植物を必ず忘れます。
わたしもあなたも例外ではありません。ベランダの隅に置いた植物のことをきっと忘れます。
目につく場所に置いて、水が十分か毎日チェックしてください。
水のやりすぎも腐る原因になるので、気温や湿度の様子を伺いながら、量を調節してあげてください。
難しいですが、なんとなく毎日見ていると分かったような気になってきます。
水に浸けた方の茎も毎日水を取り替える必要があります。
キッチンやお手洗いの窓際に置いて存在を確認しましょう。
成功した場合でもあたらしい葉が生えてくるまで1ヶ月ほどの時間を要します。
1ヶ月。
挿し木をした人間はご飯を食べたり酒を飲んだり結婚したり仕事をしたり、忙しいようで意外となにもしていない毎日を過ごすことになりますが、その間は毎日のルーティーンとして機械的に世話をすればいいのではないでしょうか。
家の片隅に、これから芽吹きそうな植物があるという状態はそう悪くありません。
うまく根付いたら次は鉢を写したり肥料をやったりなどの行程がありますが、それはわたしの挿し木がうまくいったらまた記事にすることにします。
ここまで読んでくださった忍耐強く優しい方へ、本当にありがとうございます。
久しぶりに長文を書いたらいつもの7割増しで分かりづらくなってしまったように感じます。
序盤でも述べましたが、紫陽花の挿し木をするのは初めてで、いろいろ調べつつ様々な方の方法を参考にしながら試行錯誤しております。
私のレポートも「これが絶対に正解!」というものではありませんので、どうか参考までに暖かく見ていていただけると嬉しいです。
今年は冷夏だそうですから、紫陽花の挿し木はまだ間に合うでしょう。
剪定のついでにでも、ぜひ梅雨のかわいいを増やしてみてくださいね。
それではこの辺で、JUNERAYでした。
紫陽花の幸運を祈っていてね。