小泉八雲 『雉子のはなし ーSTORY OF A PHEASANTー』 田部隆次訳

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 こんにちは、夜半侍士です。今回は小泉八雲 『雉子のはなし ーSTORY OF A PHEASANTー』 田部隆次訳 です。
出典は、小泉八雲 田部隆次訳 雉子のはなし STORY OF A PHEASANT (aozora.gr.jp)さん。さっそく読んでいきましょう。

 ……田部隆次訳?? 小泉八雲って日本人じゃないんだ!?!?(無知)
 調べるとイギリス領で生まれた人らしい(歴史に詳しくないのでふわっと書く)。日本に帰化したらしいけど当時の帰化って相当ハードル高そう知らんけど。

 閑話休題。本文に入っていきましょう。

昔、尾州遠山の里に若い農夫とその妻が住んでいた。家は山の間の淋しい場所にあった。

 ある夜妻は夢を見た。その夢に数年前になくなった舅が来て『明日自分は非常に危険な目に遇うから、できるなら助けてくれ』と云った。朝になってこの事を夫に話した。二人とも、死んだ人が何か用があるのだろうとは思ったが、その夢の言葉は何の意味か分らなかった。

 
 …尾州遠山ってどこ?(検索する音)…長野愛知岐阜らへんらしいです。とりあえず山奥ってことね。そこに若い夫と妻が住んでて、妻の夢に義父が出てきた。

 死んだ人が非常に危険な目に合う…妙だな…?二人も戸惑ってますね。いったい何のことやら。

朝飯の後、夫は畠へ行ったが妻は機織のために家に残った。やがて外の方で大きな騒ぎが聞えたので驚いて出てみると、地頭が大勢の伴をつれて狩猟のためにこの辺へ近づいて来た。見ているうちに一羽の雉子がわきの方から家の中へ飛び込んだ。そこで不図ふと昨夜の夢を想い出した。『事によればこれが舅かもしれない。助けて上げねばなるまい』――彼女は独りで思案した。それから鳥のあとから急いで家に入って――その鳥は綺麗な雄鳥であった――造作なくそれを捕えて、空の米櫃の中に入れて蓋をしておいた。

 
 朝ご飯を食べたあと、それぞれ労働。騒ぎを聞きつけて見に行くと、雉子が追われていて、家の中に飛び込んだ。

 これ…義父じゃね?ってことですね。生まれ変わりなら死んだ人が助けてって言うのもわかるし。

 雉子は不思議なことにすっとつかまり、嫁は米櫃に記事をしまう。米櫃に雉子をしまうな。衛生上どうなんだそれは。

しばらくして地頭の従者が幾人か入って来て、雉子を見なかったかと尋ねた。大胆にも彼女は否定したが、猟人の一人はその家へ鳥の飛び込むのをたしかに見たと云った。それから一行は家の中をあちらこちらとさがしたが、米櫃の中には気付かなかった。そのあたりくまなく捜索したが結局無駄であったので、鳥はどこか穴からでも逃げたに相違ないとあきらめて人々は引き上げた。

 役人の目が節穴~~~~。御嫁さんもすごいですね。大胆にもって書かれてるってことは、わりと役人に嘘を吐くってハードル高い気がする。

農夫が家に帰った時、妻は夫に見せるために米櫃に隠しておいた雉子の話をした。

『私が捕えた時すこしも抵抗しなかったが、米櫃の中でもおとなしくしています。きっと舅様だと思います』と妻は云った。農夫は米櫃の処へ行って、蓋を取って鳥を取出した。鳥は農夫の手に静にとまって、そこに居ることに慣れているように農夫を見ていた。一方の目が盲目であった。『父の目は一方盲目であった』農夫が云った、『右の眼であった、この鳥の右の眼が盲目だ。全くこれは父だろう。丁度いつもの父のような眼付で、この鳥が見ている。

 旦那が家に帰ってきましたね。妻から話を聞き、雉子を見ると、片目が盲目だから、きっと父だろうと。いつものような目で、俺を見ていると。

 なんだか少ししんみりしますね。助けてくれと言った義父を助けて、息子は父だと気づいて…。寂しくも温かい描写だ。

……父は自分で「おれは今、鳥だから、猟師などにやるのなら一層いっそおれの体は子供に喰わしてやる方がましだ」と考えたに相違ない。

 !?!?!?!?!?!?!?!?!?!?…!?
 流れ変わったな。え。どうなんのこれ。怖い怖い怖い怖い。

……それで、お前の昨夜の夢の訳も分った』と気味の悪いうす笑をうかべて妻の方に向ってこう云い足しながら雉子の頸をねじた。

 やりやがったこいつ!!!!!!!!!
 父もびっくりだよ。まさか実の息子に殺されるなんて。しかも食われるなんて。親族殺しに食人ってめちゃめちゃ業が深そう。ていうかうす笑でやるな。怖い。

 いやでも少しわかるかもしれん。仮に貧しくて腹も減ってて、そこで親が現れたら、俺たちのためかなって思っちゃうのもそこまでわからなくもない。空腹は何よりもきつい。タンパク質は貴重だし。

この野蛮な行を見て、妻は泣き声を上げて叫んだ。

 ダメだった。理解を得られなかった。そらそうか。泣き叫ばなくてもいいじゃん、だめ?だめか。

『まあ、この極悪非道の鬼。鬼のような心の人間でなければ、こんな事のできる筈はない。……こんな男の妻になっているより死んだ方が増しだ』

 BO★RO☆KU★SO☆。ぼろくそじゃん。ひどい言われよう。そらそうか。

それから草履もはかずに戸外に飛び出した。男は女の飛び出した時に袖をつかんだ、が女は振切って駆け出した。駆けながら泣いた。はだしで走り続けた。町に着いて、すぐ地頭の屋形へ急いだ。それから涙とともに、猟の前夜の夢の事、雉子を助けたさの余り隠した事、それから夫が自分を嘲って、とうとうその雉子を殺した事の一切を地頭に話した。

 地頭は女にやさしい言葉をかけた。そしてこの女を労わってやるように命じた。

 女わ…走った…掴まれた袖も…振り切って…役人のところまで言って…全部話した…。

 地頭も優しいですね。自分も嘘つかれたのに。なんかちょっとえっちだ。

しかし夫は捕えるように部下に命じた。

 旦那~~~~!!!!!!!ドンマイ。かわいそう。ちょっとサイコパスなだけなのに。ドンマイ。

翌日農夫は取調べを受けた。雉子を殺した事に就いて、事実を白状させられてから宣告を受けた。地頭は云った。

『余程の悪人でなければ、その方の行ったような事はやれない、そんな邪悪な人間の居る事は、その土地に取って不幸である。ここに住んで、ここの掟を守る人々は皆、親孝行の心がけを敬う人々である、その方の如きものをその中に置く事まかりならぬ』

 BO★RO☆KU★SO☆(2回目)。この辺詳しくないけど、親孝行が美徳なとことか、昔の日本というか、儒教というか。でも小泉八雲って出身外国ならこの辺どういう気持ちで書いてたんでしょうね。

そこで農夫は、その土地から追放ときまって、もし帰って来たら、死刑に処せられる事になった。しかし女には、地頭は土地を与えた、それから後になってよい夫を持たせた。

 う~~ん!男!!!!追放!!!!戻ってきたら死刑!!!!現代ならここから追放もののストーリーが始まりそう。『~父親の生まれ変わりの雉子を殺しただけで村から追放された件~おれはあの村を許さない』…こいつが悪いなこれ。

 男がどうなったかはさておき、女の方には土地と旦那が与えられたそうで。めでたしめでたし?親孝行は神って話ですね。

 まとめというか全体感想。

 そもそも親父が、実の息子じゃなくて、嫁さんの夢に出てきたところですでに、そんなに息子のことを信頼してなかったのかもしれないですね。父の言う、非常に危険なこと、が果たして地頭とのことだったのか、息子に殺されることだったのか。

 ていうか息子も助けてくれって言ってた父殺すなよ。

 もしかしたら父も、自分の息子の傍にいたらこのできた嫁は不幸になるって感じて、生まれ変わった体を張って嫁を助けたのかもしれませんね。生前よくしてもらったとか。

 まあ親孝行かつ舅と義娘の心温まるストーリーということにしときましょう…。以上、夜半侍士でした。次は何にしようか…案外ここで取り上げるくらいの短さの作品って見つけるの難しいんですよね…。

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