古代の薩摩940年 #50

第二部 弥生時代 学人の決意
あれから七年、どの分野も順調に推移しているのを確かめた松蔵さんは、私に次を託されて早々引退されてしまった。この間、菫に双子の赤ちゃんが生まれたが、1か月もたたないうちにもう母親なのに、馬に乗っていた。名前は女の子が葵(あおい)、男の子は燕(えん=春秋戦国時代)の名将楽毅(がっき)のようになってほしいとかで父親が毅一と名付けたらしい。3歳になったら、もう仔馬に乗せて遊ばせている。おばあちゃんになった茜は心配で仕方がない。また太郎と第2隊副長の鮫島梓との子は官兵衛というのだそうだが、剛の息子の半兵衛と2人並べるとなかなかの面構えで、甲乙つけがたい。村の人口ももうすぐ7000人になろうとしている。私の代での次なる仕事は
①漁業に力を入れたい。魚は日持ちが悪いから、何とか保存食にできないか、最南端の枕崎村で、サバやカツオの燻製(くんせい)を試行錯誤(しこうさくご)でめどを立てたいと必死だ。
②アジやサバは内臓を取り、塩をふって天日で何日も乾燥させる方法がうまくいきそうだ。
③マグロやクジラのような大型な獲物は複数の船で遠くまで出かけるやり方を検討している。
④イノシシを家畜化する取り組みが吉松村で始まった。
⑤隼軍団は中身が充実してきた。馬上での1隊1の訓練や、隣村までの速駆け競走などまた健さんは張先生の指導で鶴翼や魚鱗などのほかに15もの陣立てを工夫し、竹簡5千文字にも及ぶ後世に残す戦術集をもうすぐ完成させようとしている。次の代に引き渡す時には正規軍も準正規軍も2倍に数を増やしておきたい。
私の次は官兵衛か半兵衛かじっくり鍛えて引き渡したい。

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