人生の終わりが見えても勉強を続けるのはなぜ〜020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義
瀧本さんが東大て行った講義(講演)を書き起こしたもの。しゃべり言葉なのでサクサクと読み進められるが、内容は濃厚。若者に向けた熱量の多いメッセージが収められています。
本書を通して瀧本さんが伝えているのは、
”自分の頭で答えを探し続けることが大事”
というシンプルなメッセージ。
エンジェル投資家をしていて、お金も十分に保有している彼が、なぜ自分の時間を割いてまで若者にメッセージを送り続けるのか。
それは、日本、ひいては世界をより良くしてくため。そのためには、将来を担う若い世代が、自分の頭で考えて行動することが必要だから、だそう。
本書の中で、パラダイムシフトについて触れられています。
皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、基本的な枠組や考え方の転換点のことで、よく天動説から地動説への変遷が具体例として出されます。
キリスト教の影響もあり、当たり前と受け入れられていた天動説。それがおかしいと気づいた地動説派の人々ですが、簡単には受け入れてもらえません。
「チ。」という名作漫画でもこの辺のことが描かれていますね。
で、どうやって地動説が主流になっていったか。
答えはシンプルで、天動説を信じる人が亡くなり、地動説を信じる人が増えたから。要するに世代交代によるものだったそうです。
この話の部分を読んだ時、自分はへそ曲がりな部分があるので「じゃあどんなに勉強して正しい考えを持ったって、無駄じゃん。勉強したって意味ないじゃん。」そう思いました。
でも、著者の瀧本さんは言います。そうじゃない、これは希望なんだと。
どういうことか。
人の人生は、医療が進歩したといえども平均100年足らずの短いもの。自分の生きているうちに何かしようとしても、天動説から地動説への変遷と同様、一気に世界が良い方向に変わるなんてことはないわけです。
となると、何をしても無駄なのでしょうか?
地動説のパラダイムシフトの話は、この問いに対し、Noと言ってくれているんですね。たとえ、時間が掛かろうとも、犠牲が出ようとも、正しい答えであればその方向に世の中は少しづつでも変化する。
そう考えると、自分なりに正しい答えを持つことで、仮に自分の生きている時間で全てが変わらずとも、将来的に世界がより良い方向に変わっていってくれるかもしれない。そんな希望の教えなわけです。
吉田松陰も、牢屋の中で「知って死ぬのと知らずに死ぬのとでは違う!」という主旨の発言を残しているそう。
松蔭がどういった意図で発言したのかは、知るよしもありませんが、もしかしたら「どんな環境でも勉強を続け、正しい答えに辿り着くことができれば、誰かがバトンを繋いでくれるかもしれない。」という意味も含んでいるたのかもしれません。
中学校の時、なんで生きてるんだろう、なんでどうせ死ぬのに勉強や仕事で苦しい思いをしなきゃいけないんだろうとこじらしていたことがありました。
そんな時に、瀧本さんからのメッセージを受け取り、行動をしていたら、もしかしたら悩んでいる期間も短くて済んだのかな、と思いました。
他にも複数、著作を残されている(瀧本さんは若くして亡くなってしまったそう)ので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。