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優秀な人でも理解には時間がかかる〜世界一流エンジニアの思考法/牛尾剛

なんとなく割り振られた業務はこなせているけど、深い理解に至ってない。
調べて相手の要求に応えられる解は探して提示するものの、それが成長につながっている感覚が得られない。

本書で書かれていることは、自分が入社してからしばらくの間抱えていたモヤモヤを見事言語化してくれていたので、シェアしてみます。

昨今の採用活動に関する記事なりをみていると、新入社員が会社に求めるものの1つが「成長の機会」だそう。
これは、世間一般の人材の流動化の高まりとも整合するところがあります。

今まで、スキルアップに一生懸命にならなくても一つの会社で定年まで一定の給与が担保されていた時代とは、会社側も働き手側も意識が異なり、特に働き手側は、どんどんスキルアップなり経験を蓄積して、自分の理想の生き方を実現するためのオプションとして仕事を選ぶという人が増えてきているのでしょう。
勢い、より理想な仕事と巡り会って働くためには、求められる人材となる必要がある。どうすれば求められる人材となるか?それは、自分がスキルなり知識・経験を身につけて相手(会社)に必要とされること。
なんとなくですが、今、就職活動をされている年代の方々はそんな空気を感じ取り戦略的に会社を選んでいる一種の強かさも感じます。

で、本題に戻ります。
自分は周囲と見比べても「早く成長したい」と言う意識が割と強い方だったと認識しています。なので、新入社員時代から結構残業をさせてもらって、いろんなことを経験させてもらいました。
時代が許してくれたという面も強いですが、普通に20〜21時くらいまで働いて、翌朝は9時前に出社なんて日々を過ごしていました。

で、入社してから暫くは経験することが全て新鮮で、刺激的な日々でした。
机上も現場も、初めてのものばかり。
人間関係も、学生時代には経験のできない幅の広さ。

しかしながら、働き始めて2〜3年もするとその新鮮さも失われてきて、なんとなく作業のようになる。
さらに、インターネットの発達により、調べればほとんどの課題に対しインスタントな答えが得られます。

たとえば、エクセルである操作をしたいとします。
Googleの検索窓にそれっぽい単語を羅列すると、その通りの操作方法が出てくる。
それをなぞって作業をすると、期待通りの結果が出る。

それはそれで仕事の1つではあるのですが、その作業は何につながるのでしょう。
おそらく、3日もすれば忘れるし、同じような作業をすることは今後、あまりないとすると、ただのn=1の経験でしかありません。
応用も効かない、ただの経験。

それを積み重ねても、当然ながら雑学のような雑多な知識は時間と共に蓄積されてくものの、成長とは違いますよね。
今振り返ってみると、ネットが発達しすぎて脳髄を介さずとも求める結果が得られる環境整った(整ってしまった)と言う背景もあるのかもしれません。

なまじ優秀で、早く作業をせねばと言う焦燥感に駆られるほど、こういったインスタントで表面的な仕事ばかりになってしまう。
結果、ほとんど何も身に付かず、成長していない。

そんな感じでした。

理解には時間がかかる

そんな状況ですから、社内で回ってくる文書なども表面的に「やること」だけを最速で発見し対応する、といった仕事になってしまいます。

でも、今思うとそんな何気ない書類1つを取ってみても

・誰から誰宛の発出なのか
・なぜこの時期なのか
・出された理由は何か

といったことを少しつっこんで読み込んでみると、いくらでも疑問は湧いてくるはず。そう言うのをきちんと潰して自分の中に再構築していく。
そんな当たり前の作業・工程こそが成長には必要不可欠です。

本書の中で、牛尾さんは優秀なやつでも理解には時間がかかるといっています。

動画をみてわからないところがあれば、停止して、メモをとり、何度も聞き返す。そんな当たり前といっちゃ当たり前のちゃんとした理解を繰り返すことが、急がば回れで仕事のスピードを上げてくれます。

仕事ができる人、と言うのは、決して脳の構造が特殊で理解が常人より早いのではなく、こういった地道な積み重ねがあるからこそ、傍目には理解が早いように見えるのですね。

目の前のことに集中せよ

仕事をしていると、会議なり打ち合わせがたくさん。
急ぎの案件があると、会議に出ていてたとしても、内職して対応したりするのは皆さんも経験あるかと。

自分も山ほどありますし、むしろ高校時代からそんな感じでしたw

でも牛尾さん曰く、できるやつはシングルタスクを徹底しているそう。
これは、本書に限らずいろいろな書籍でも語られていること。

ちなみに、自分なんかは雑念だらけの人間ですが、そう言う時は雑念を紙に書き出すことが大事だそう。

マルチタスク、といえども突き詰めるとシングルタスクの切り替えからなっていますし、内職したって、結局はそんなに捗らない。
であれば、とりあえずは目の前のことに全集中して少しでも前に進めたほうがいい。そう言うことですね。


特に、若手の方が読むと社会人生活での成長速度が変わってくる一冊。
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