蠢くリュック【ドジママの子育ては、なぜか東大につながっていた】
息子の黒光りするリュックが
ガサゴソ言っていた。
使い込んでテカテカになって
表面がなめし革のようになっている
そのリュックは、まるで生きているか
のように動いた。
ホラーは、嫌いだし！
…そう言いたいところで
リュックの持ち主（長男）を見やると
バツの悪そうな顔をこちらに向けた。
・・・・・。
リュックから取り出された
１本のペットボトル。
そこには、飲料ではなく
茶色の細長い物体が
生きているかのように
息をひそめていた。
いや、生きてるし！
ギョロリと２つの目が
じっとこちらを見つめている。
と思うと
急に、素早い動きで
ペットボトルの中をシャカシャカと
プラスチックと爪が擦れあう奇妙な音を立て
野生の片鱗を見せつける。
おまけに、ペロリと
長い舌まで見せてきた。
しかも、尻尾が
体の半分くらいあるし。
状況を半分くらい読み取って
絶望の中にいるドジな母親に向かって
息子は、黒くこれまた大きな瞳を見開き
あどけなく、こう言い放った。
「学校の裏にいたから、連れて来たー！」
あんたね…。
いいとこの坊ちゃん達に混じって受けて
うまいとこ合格して入学できた
私立中高一貫校で。
意気揚々として
ペットボトルに
生きたカナヘビを入れて
持って帰って来た。
いや
「連れて来たー！」
わが長男。
しかも、卵アレルギー。
あ、これは関係ないか。
そして
精悍な顔立ちと
引き締まってスレンダーな体つきの
カナヘビ。
途方にくれる
ドジママでした。。。
（環境省ＨＰ 生物情報 収集・提供システム いきものログより）
こんな子どもが
東大に入るなんて未来
だ～れも想像していませんでしたよ。
☆続編を書きました。よろしければ、こちらもご覧ください。↓
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