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古井由吉氏と夢とタロット
先日、眠る前に古井由吉氏のエッセイを少し読んだ。
冬山で途中で引き返せたはずなのにそのまま大半の方が山頂に向かって遭難されたという記事を引用されていた。
古井氏はそのエッセイで何故、何度も戻るタイミングがあったにもかかわらず、そのまま突き進んだのか、吹雪となり誰か一人でも身の危険を感じる人はいなかったのか繰り返し語られていた。
その後に久しぶりにマルセイユタロットの大アルカナを1枚引いた。
前回は2回続けて15番「悪魔」であったが、今回は数字のない「愚者」。
松村潔先生のタロットリーディングの本の解説によると愚者の絵柄には崖があり、その崖はゼロの数字の境界を象徴しているとのこと。
そして愚者にある間は意味を失い、愚者は働きかけの客体を失うと書かれていた。
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その夜の夢はヨーロッパのスペイン語圏の街中におり、交差点でトラブルか何かで別の迂回路を進むよう誘導された。そこから坂道を進んでいくとやがて山道となり、ついには足の幅ぐらいしかない断崖絶壁の崖を横に進むような局面となった。
私の相棒は大柄な白人男性。
岸壁には掴むものはあるが、ぼろぼろと崩れ落ちていく。
私も掴んだものが崩れて谷底に落ちていき、バランスを崩したが、相棒の白人男性がしっかりとサポートして支えてくれたことで、難所を横断できた。
その後は、何故か居酒屋の入り口となり、その白人と一緒にハイボールのジョッキを持ちながら席を探しているところで夢から覚めた。
吉井由吉氏のエッセイとタロットカードの愚者の絵柄とそこに象徴されているものが、夢に投影されているように感じた。
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数字なき愚者のカードを冬の月