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光の指で触れよ

新しい街の新しい図書館で、好きな作家である池澤夏樹氏のまだ読んでいなかった「光の指で触れよ」を借りて読んだ。

本書のカバー写真はユジェン・バフチャルという13歳で全盲となった写真家のもので、白い服を着て踊る天使のような少女の姿が、この物語ととても響き合っている。

ユジェン・バフチャル [Evgen Bavcar] という写真家 ~ その1 In The Light (fc2.com)


本書の中に登場してくるパーマカルチャー、シュタイナー学校、NGO、菜食、コミュニティー、スコットランドというキーワードは、直接的、間接的に馴染みのあるものが多く、読む中で懐かしい感覚が蘇ってくるものがあった。

20代前半にインドにひとり旅をし、バンコクの空港で出会った一人の日本人がパーマカルチャーを学ぶ福島の青年で、その後、福島に何度もバイクで足を運んだ。
また、彼がNGOのスタッフとしてバングラデシュに駐在していた際に、バングラデシュを訪れた頃の記憶も蘇ってきた。
また、長男が大学を休学してオーストラリアのパーマカルチャーの農場で働かせてもらった。

私の長女はシュタイナー幼稚園に少し居たことがあったり、家内もシュタイナー保育園に2年ばかり勤務し、次男もシュタイナー関連の農場で少し滞在したり、オイリュトミーの先生と親しくしてもらったりとシュタイナーの存在とは無縁ではなかった。

20代は私も家内もかなり厳格に玄米菜食をしていた。私は玄米菜食で、体調が改善された部分もあったが、今から思うと食にこだわり過ぎて人間関係や考え方を狭くしてしまった。

スコットランド、アイルランド北部は、ウイスキーの名産地でもありスピリチュアル性の高いケルト文化があり、いつかは訪れてみたい場所である。

そして本書の主人公が頻繁に足を運んだ八王子の先の村にはご縁があり何度か訪れたことがある。

パーマカルチャーの学習塾と畑も実在し、陶芸家、写真家、画家などのアートの村として、年に1回芸術祭のような催しが開催される。私が訪れていた頃にはなかったが、最近ではシュタイナーの学校も設立され、そのために移住される家族もおられるようだ。

私自身、20代にパーマカルチャーの世界観に惹かれ、自給農を目指していたが、元来の不器用さといい加減さでなかなか思うような畑にはならなかった。
パーマカルチャーという響きに、若い頃の淡い憧れと苦い挫折感が入り混じったような感覚が生まれる。

私のそんな意識の欠片が伝わったのか長男は、建築業界でしばらくは力をつけて、やがてはセルフビィルドで自分で暮らす小屋を作り、半農半X的な暮らしをするという人生計画を描いている。

長男は太陽獅子座で、自分の居心地の良い暮らし方は肌で体験しているので、それを大切にして進んでいって欲しい 




我が家を探し求めて藤の花


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