『剪定』から、早や1か月
2月半ばに『今年も剪定』という記事を書きました。今日は「ここはナパ バレーの南端、カルネロスという地域です」という最後の文章からの続きです。(上の写真は剪定前のもので、この中のどれを、どれくらいの長さに切るか、これがわからないと剪定はできません。)
ナパ バレーというのは有名ですが、カルネロスというのはきっとほとんど知られていないと思います。これについては『ナパ バレーAVA』という記事を2月末に書きました。
ナパ バレーは実は南北50 kmくらいの細長い地域ですが、そこは一まとめにできないくらいの多様な土壌や環境に分かれていて、例えばナパ バレーと言えばすぐに重厚なな赤ワイン(カベルネ ソヴィニオン品種)が思い出されるのですが、同じナパ バレーの一部でもカルネロス地区ではシャルドネやピノ ノワール品種のぶどうが栽培しやすい冷涼な環境になっています。
ここで「おや?」と気がつきますね。カルネロスはナパ バレーの南端で、それならば一番暖かいのでは?と思われるでしょう。ところがそうではない。
サンフランシスコに観光で来たことがある人は多いでしょうが、朝夕がたいへんに寒くて驚かれたことと思います。それは海の影響なのです。アラスカからの寒流のためにサンフランシスコ湾周辺では冷たい空気が満ち、冷たい霧が立ちます。ナパ バレーはサンフランシスコの北に位置するので、ここでは南側が北より朝夕は寒いという特異な事情があります。
ナパ バレー AVAが認定されたのが 1981年でしたが、それから2年後にカルネロス AVA(正式には Los Carneros AVA)が認定されました。つまり今年からちょうど 40年前の 1983年です。
ところでカルネロスというのはスペイン語で、羊という意味です。そう、以前この地域では、羊が放牧されていたのです。そういう丘陵地帯ですから羊も養えば、果樹も栽培される、それがぶどうの木に特定されてワインが産出される、ここらを知ると人々の生活がどのように変わってきたのか、その歴史がわかります。
このような経過をたどって 20世紀に入り、ワイン産業が根付きました。それ以来(禁酒法時代に一時的に衰退するということがありますが、それはまたの機会に書きましょう)ここでは上質のシャルドネ(白)とピノ ノワール(赤)が産出されるようになりました。
それで、僕が剪定をしてきたという話にはなかなか行きつきませんが、そのぶどうの木はピノ ノワールでした、ということをお伝えして、この続きはまた次回に。
(ちなみに下の写真は切り口を見せているものですが、これくらい細いと簡単にサクッと切れます。)