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風を呼び込む軽快なポルカ 〜混合団体・開催国のビクトリーロード〜

「踊っている場合じゃないだろう」

内心、そんなツッコミを入れてしまいたくなるほど、ドイツチームの状態は芳しくありませんでした。

下馬評では、この混合団体に関して、地元ドイツが表彰台に入り込む余地は全くなく、不測の事態が起きても3位が精一杯。

今季のスキージャンプをチェックしてきた人たちには、そんな予想しかできなかったはずです。

#私もその1人

Geigerは銀メダルを獲得したものの、Eisenbichlerの動きは終始硬く、僅差になる男子はマージンを見込めません。

そして、女子チームはどん底。個人はAlthausの10位が最高で団体戦は5位。

ノルウェー、スロベニア、オーストリア、日本に大きなアドバンテージを取られてしまうことが、容易に想像できました。

#そこに前回王者の姿はない

なのにこの明るさ。。。

このポルカが、神風を呼び込むとは夢にも思いませんでした。

勝利のリレー

神風と書きましたが、別に大荒れしたわけではありません。

やや不安定な風だったものの、WFの点数に大倉山のような大きな揺らぎはなく、試合もスムーズに進みました。

ドイツが、ラッキーだけで勝ったわけではありません。

#団体戦にラッキーなどない

今までとは一転して、強めの向かい風傾向で始まった試合。使用ゲートは今までよりも、6段ほど下げられました。

追い風、ハイスピードに悩まされる選手が多く悩みの種が少し和らいだのではないでしょうか。

表彰台を争えるチームは日本から始まるスタート順で、その日本の1番手、伊藤有希に不運が襲います。

突如横風に襲われ、ジャンプも失敗し、75mに吸い込まれました。

個人的にこのショックが大きすぎて、第一グループは呆然としていました。。。

その直後から、1mを超える向かい風が吹き

Althausがシーズン最高のジャンプをし、テレマークを決めると

このグループで大量マージンを取ると予想していたKramar相手に1.9点差の2位につけます。

すると、決して良いジャンプではなかったEisenbchlerも

なんだかんだで、グループトップの得点を叩き出ししっかりとリレー。

このリレーによって流れを掴んだドイツ。3番手のRuprechtも粘りのジャンプを見せます。

そして、銀メダリストGeiger。失敗したかに見えましたが

他の実力者もパタパタと悪条件に飲み込まれてしまい、なんだかんだでグループトップの得点を叩き出し、1本目を首位で折り返します。

ドイツ女子2人は会心のジャンプを決め、きっちり仕事を果たしたものの

男子の2人はピリッとしないジャンプに対して、周りが落ちてくれたような印象を受けました。

とはいえ、1本目はトップ。

2位ノルウェーと4.9点差。

3位オーストリアと15.6点差。

4位スロベニアとは38.2点差となり、銅メダルを手中に収めることに成功しました。

ノルウェーとの点差はわずか。オーストリアとの点差も、1人目のKramarか3人目のDanielaで簡単に逆転されてしまう点差。

スロベニアの猛追を受ければ、メダル圏外もありえる。

トップで折り返したとはいえ、この時点でも金メダルを予想できた人は少ないと思います。

そんな中での2本目。

追い風傾向に変わり、スタート位置が上がり、再び難しい条件に逆戻りし、シビアな争いになりました。

再び会心の一撃を決めるAlthaus。。。

それは今季苦しみ、唇を噛み締めていた彼女ではなく、2シーズン前の総合優勝を争うAlthausの姿でした。

ここにきて、金メダルが見え始めたドイツ。

Eisenbchlerがしっかり繋ぐと、鬼門のRuprechtが、チームから力をもらい、何かを宿したかのようにK点を超えてきました。

エース対決になれば、地元の英雄になりつつあるGeiger。ピリッとしないGranerudに対して、グループ順位は5位ながら

To Beatのグリーンラインを越えて、勝利を掴みました。

勝利を見届けると、開いた口が塞がらず、呆然としました。

これで世界選手権における混合団体2連覇。

団体戦でこんなことが起こるのかと。。。

1番手が流れを作り、2番手がつなぐ。一番弱い選手が上昇気流に乗って、自分の持っている力以上の力を発揮する。そして最後にエースが勝負を決める。

団体戦の理想を忠実に遂行し、驚くべき勝利を掴みました。団体戦の良いところを存分に見れた試合になりました。

個人的にAlthausの1本目は、勝利を呼び込んだ神風だと思っています。

あのEisenbchlerの軽快なポルカが神風を呼び込んだのでしょう 笑

日本チーム

伊藤有希が不運に見舞われ、メダル争いからは脱落。各々がラージヒルに向けて、課題を修正していく場となりました。

そういった意味では、今まで使っていたジャンプスーツを引っ張り出してきた高梨沙羅は、スキーをややローリングさせながらも

悪条件の中で浮力と推進力を得ていました。ラージヒルに対応できれば再び金メダルを期待しても良いでしょう。

また佐藤幸椰も、ややタイミングを遅らせながらも2本とも浮力をもらいつづけ、うまく粘っていました。

苦手気味なラージヒルなので、団体戦での大仕事に期待したいところ。

伊藤有希はメンタル面が非常に心配です。おそらく、ああいった所に試合で落ちたことないのではないでしょうか。

しかも団体戦の1人目。ラージヒルで元気に飛んでくるのを祈るばかりです。

小林陵侑はピリッとしませんでしたが、弱気な発言からは想像できないジャンプです。

得意のOberstdorfのラージヒルで、存分に気持ちよく飛んで欲しいですね。

リザルト

ドラマメーカー

多くの選手に会心のジャンプを許さず、時折不安定な風でジャンパーを惑わし続けた、Oberstdorfのノーマルヒル。

選手としては、たまったもんではありませんが

エンタメとして多くのドラマを生み出し、退屈させませんでした。

深夜帯にあれだけドラマを引き起こし、目を覚まさせるジャンプ台は、なかなかないでしょう。。。

飛べば負けない状態だったスーパーGranerudを翻弄し続け。今季勝利のない2人を金メダリストにしました。

そして、一躍主役になったKlinec(SLO)とZyla(POL)という個人金メダリストに対して、団体戦では全く仕事をさせない。

#わけがわからない

荒れないイメージのOberstdorfだったので、下馬評通りの堅い勝負になるかと予想していましたが

春風、そして癖の強いノーマルヒルでは「ドラマメーカー」と化しました。

舞台はラージヒルへ。

ノルディック複合も含めて、どんな試合になるか注目です。


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