【数学】積の微分・商の微分・部分積分
こんにちは、Junです。
前回までは、単一の関数の微分積分について書いてきましたが、
今回から、複数の関数を融合させた関数の微分積分に入っていきます。
今回は、積の微分・商の微分及び、部分積分について書いていきます。
⒈ 積の微分
関数$${f(x)}$$と$${g(x)}$$があるとき、
$$
(f(x)g(x))'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
$$
が成り立ちます。
【証】
導関数の定義より、
$$
(f(x)g(x))'=\lim_{\Delta x \to 0}\frac{f(x+\Delta x)g(x+\Delta x)-f(x)g(x)}{\Delta x}
$$
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{f(x+\Delta x)g(x+\Delta x)+f(x)g(x+\Delta x)-f(x)g(x+\Delta x)-f(x)g(x)}{\Delta x}
$$
(切れてしまっていますが、分子は
$$
f(x+\Delta x)g(x+\Delta x)+f(x)g(x+\Delta x)-f(x)g(x+\Delta x)-f(x)g(x)
$$
です)
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{\{f(x+\Delta x)-f(x)\}g(x+\Delta x)+f(x)\{g(x+\Delta x)-g(x)\}}{\Delta x}
$$
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}g(x+\Delta x)+f(x)\lim_{\Delta x \to 0} \frac{g(x+\Delta x)-g(x)}{\Delta x}
$$
$$
=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
$$
【証明終】
覚え方
(左微分)×右+左×(右微分)
例
$$
(x\sin x)' = (x)'\sin x + x (\sin x)'=\sin x + x \cos x
$$
練習問題
次の関数を$${x}$$で微分しなさい。
(1) $${y=e^x\sin x}$$
(2) $${y=x\log \! x}$$
⒉ 商の微分
関数$${f(x)}$$と$${g(x)}$$(ただし、$${g(x)\ne0}$$)があるとき、
$$
(\frac{f(x)}{g(x)})' = \frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}
$$
【証】
導関数の定義より、
$$
(\frac{f(x)}{g(x)})' = \lim_{\Delta x \to 0}\frac{\frac{f(x+\Delta x)}{g(x+\Delta x)}-\frac{f(x)}{g(x)}}{\Delta x}
$$
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{1}{\Delta x}\frac{f(x+\Delta x)g(x)-f(x)g(x+\Delta x)}{g(x+\Delta x)g(x)}
$$
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{1}{g(x+\Delta x)g(x)}\frac{f(x+\Delta x)g(x)+f(x)g(x)-f(x)g(x)-f(x)g(x+\Delta x)}{\Delta x}
$$
(切れてしまっていますが、右側の分子は、
$$
f(x+\Delta x)g(x)+f(x)g(x)-f(x)g(x)-f(x)g(x+\Delta x)
$$
です)
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{1}{g(x+\Delta x)g(x)}\frac{\{f(x+\Delta x)-f(x)\}g(x)+f(x)\{g(x)-g(x+\Delta x)\}}{\Delta x}
$$
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{1}{g(x+\Delta x)g(x)}\{\frac{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}g(x)+f(x)\frac{g(x)-g(x+\Delta x)}{\Delta x}\}
$$
$$
= \lim_{\Delta x \to 0}\frac{1}{g(x+\Delta x)g(x)}\{\frac{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}g(x)-f(x)\frac{g(x+\Delta x)-g(x)}{\Delta x}\}
$$
$$
=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}
$$
【証明終】
覚え方
分母は、分母を2乗
分子は、(分子)'×分母-分子×(分母)'
例
$$
(\frac{x}{e^x})'=\frac{(x)'e^x-x(e^x)'}{e^{2x}}=\frac{e^x(1-x)}{e^{2x}}=\frac{1-x}{e^x}
$$
$$
(\tan\!x)'=(\frac{\sin x}{\cos x})'=\frac{(\sin x)'\cos x-\sin x(\cos x)'}{\cos^2 x}=\frac{\cos^2 x+\sin^2 x}{\cos^2 x}
$$
$$
=\frac{1}{\cos^2 x}
$$
練習問題
次の関数を$${x}$$で微分しなさい。
(1)$${y=\frac{\log x}{x}}$$
(2)$${y=\frac{x}{\sin\!x}}$$
⒊ 部分積分
関数$${f(x)}$$と$${g(x)}$$があるとき、
$$
\int f'(x)g(x)dx = f(x)g(x)-\int f(x)g'(x) dx
$$
が成り立つ。
また、$${a\le x \le b}$$の定積分では、
$$
\int_{a}^{b} f'(x)g(x)dx = [f(x)g(x)]_{a}^{b}-\int_{a}^{b} f(x)g'(x) dx
$$
が成り立つ。
【証】
積の微分
$$
(f(x)g(x))'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
$$
より、
$$
f'(x)g(x) = (f(x)g(x))' - f(x)g'(x)
$$
であるから、両辺を積分すると、
$$
\int f'(x)g(x)dx = \int \{(f(x)g(x))' - f(x)g'(x)\} dx
$$
$$
= \int (f(x)g(x))' dx - \int f(x)g'(x) dx
$$
$$
= f(x)g(x)-\int f(x)g'(x) dx
$$
【証明終】
ポイント
積の形になっている関数を積分する際、一方を積分し、もう一方を微分することによって、消せたり、同型を出現させることによって積分結果を求めることができるので、消したり、同型を出現させるために、どちらを後で微分したほうが良いかを考えることが大切です。
例
(1)
$$
\int xe^x dx
$$
この場合は、$${e^x}$$は微分しても、積分しても$${e^x}$$のまま、$${x}$$は微分すると$${1}$$となり、消えてしまうので、以下のように考えると解決できます。
$$
\int xe^x dx = \int x(e^x)' dx = \int (e^x)' xdx
$$
あとは、部分積分をするだけなので、
$$
\int xe^x dx = \int (e^x)' xdx = xe^x-\int (x)' e^x dx = xe^x-\int e^x dx
$$
$$
=xe^x-e^x+C =(x-1)e^x+C
$$
となります。
(2)
$$
\int \log \! x dx
$$
これは、被積分関数を$${1\cdot\log \! x}$$と見れば、
$$
\int \log \! x dx = \int 1\cdot\log \! x dx = \int (x)'\cdot\log \! x dx
$$
と変形することができます。これを部分積分すれば、解決できます。
$$
\int (x)'\cdot\log \! x dx = x \log \! x - \int x(\log\!x)' dx
$$
$$
= x \log \! x - \int x\cdot\frac{1}{x} dx=x\log\!x-\int dx
$$
$$
=x\log\!x - x +C
$$
よって、
$$
\int \log \! x dx = x\log\!x - x +C
$$
前回のnote
で、$${\log x}$$の積分は後ほど紹介すると書きましたが、その理由は、部分積分を用いるからです。
(2)'
$$
\int \log_{a}x dx
$$
も、同様に考えると、
$$
\int \log_{a}x dx = \int (x)'\log_{a}x dx = x\log_{a}x-\int x \frac{1}{x\log a}dx
$$
$$
=x\log_{a}x - \frac{x}{\log a}+C
$$
となります。
(3)
$$
\int e^x\sin x dx
$$
$${I = \int e^x\sin x dx}$$
とおくと、
$$
I = \int (e^x)'\sin x dx = e^x \sin\!x - \int e^x \cos x dx
$$
$$
= e^x \sin\!x - \int (e^x)' \cos x dx = e^x \sin\!x - (e^x \cos x + \int e^x \sin x dx)
$$
$$
= e^x \sin\!x - e^x \cos x -I
$$
よって、
$$
2I = e^x (\sin\!x - \cos x) + C
$$
$$
I =\frac{e^x (\sin\!x - \cos x)}{2} + C
$$
($${C}$$は積分定数なので、2で割っても$${C}$$とします。)
この問題は、計算の途中に同型が出現するパターンのものでした。
練習問題
次の積分を計算しなさい。
(1)
$$
\int x^2e^x dx
$$
(2)
$$
\int_{0}^{2} x^2e^x dx
$$
(3)
$$
\int e^x\cos x dx
$$
(4)
$$
\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} e^x\cos x dx
$$
まとめ
今回は、積の微分・商の微分及び、部分積分について解説してきました。
ここからは、特に積分に関しては、ひらめきや、テクニックが必要となってくるので、だんだん難しくなってくと思いますので、これまでの復習をしっかりして行ってもらえたらと思います。
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