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「逃げられない」そう思ってた私を救ってくれた町、軽井沢
社会人生活の70%を占めるのは「仕事」だ。
私の仕事は、残業なんて当たり前で、一人一人の業務の裁量も責任も大きく、70%どころか90%捧ぐことも珍しくない。
しかし、こんな仕事も好きであれば、ワークライフバランスどころかワークアズライフ脳になって、休日すら仕事のことを考えていても苦ではない身体になる。
周囲に「仕事人」だと思う人はいないだろうか。
この人はいつ休んでるのか、なんでそんな働けるのかと疑問に感じたことはないだろうか。
私もつい最近まで上記のような「仕事人」として、休日も仕事のことを考えており、全くそれが苦ではない数年間を過ごしてきたが、精神疾患を患い、心身ともに限界を迎えた時があった。
今回お話しするのは、
そんな心身ともに疲れ切ってしまった中でも、自分を追い込み続けた私が出会った、"余白のまち、軽井沢"が私に与えた大きな変化についてである。
①「逃げられない」自傷する毎日
約4ヶ月間にわたって、
平日は深夜2時か3時まで、休日は返上して働く
そんな毎日を過ごしていた。
私は目標達成意欲が高く、チームを管理する立場にもあったため、「私が頑張らなければ」と自らを奮い立たせながら、気合いで膨大な業務と責任に挑んだ。
ある時、仕事でトラブルが起きた時、
まるで撒かれたガソリンに火をかけられたかのように、私を取り巻く仕事はトラブルに次ぐトラブルで、さらなる業務圧迫に襲われた。
自分の不甲斐なさへの失望感、
徐々に膨らむ不安と憂鬱感、
それでもムチを叩く責任感と義務感、
周囲への罪悪感、そして矛盾する嫌悪感
そんなあらゆるマイナス感情に囲まれ、
眠気がない、短時間で自然起床、動悸、耳鳴り、憂鬱、食欲がない、呼吸が浅い などなど
様々な症状が生まれてきた。
過労で憔悴する私を私自身が責任感というムチで自傷し続けた結果、私は壊れてしまった。
そして、私は1ヶ月の休職を選択した。
②軽井沢との出会い
休職した私に知人から誘いがあった。
「軽井沢に行かないかい?」
軽井沢といえば、幼い頃に行った記憶があるが、
何もない退屈な旅行だったのだろうか、記憶が薄い。
社会人の休職期間など、特に何もすることがないので、誘いに乗って、軽井沢へ行くことにした。新幹線で約1時間と予想以上の近さに驚愕した。
軽井沢駅へ到着し、ホームに降りた瞬間、
(なんだ⁉︎この軽くて透き通った空気は⁉︎)
息苦しかった呼吸が楽になり、重かった胸は軽くなった。
不思議と時間がゆっくり流れている感覚を覚え、リラックスした気分に一瞬でなることができた。
衝撃という言葉のイメージに似つかない町だが、自分の中にあった不純物が取り除かれた気がした。
③生を実感する、軽井沢の飲食店
休職前の私の食事といえば、コンビニかキッチンカーかフードデリバリーで、サクッと5分〜10分で食べ終えたら、すぐ仕事に戻るような食生活で、全く生きている心地がしなかった。
しかし、軽井沢町では食べる食事全てにおいて、
生きていることが実感できた。
高原野菜の芳醇な香りを楽しみ、和やかな雰囲気の中で美味しい料理に心が踊った。飲食店の内装は基本的には木を基調としたデザインで落ち着く。
また、従業員も心なしかバタバタしている様子もなく、ゆったりと温かく対応してくれる。
どんどん、私の中の不純物は取り除かれ、
幸福感に満たされていった。
④何もしないをする、癒しの森林浴
丹念亭というカフェが軽井沢の近くにある。
そこのテラス席は木々に囲まれた静かな空間だ。
朝のモーニングセットを食べつつ、特に会話もなくボーッと過ごしていた。
都会でもボーッとすることはあったが、
無心ではなく不安が生まれてくるだけで憂鬱だった。
軽井沢でボーッとすると、簡単に無心になれる。
発地市庭という軽井沢町の農家の直売所で、
特産物が集まる店舗があるのだが、ここの商品はどれも魅力的で、香りや味だけで都会でも軽井沢を感じられるものだった。
近くの田園のど真ん中で車を降りると、
何もかもがどうでもよくなり、この景観だけで満足できてしまうほどに、私は充された。
⑤余白の中で生まれた、私の将来図
ゆったりと時間が流れる空間でボーッとし続けた私は漠然と将来を想像した。
「今まで何やってたんだろう」
「この時間より価値あるものなんてあるのだろうか」
「ここに定期的に来るような生活がしたいな」
「軽井沢に別荘を持ちたい、いや持とう!」
「別荘は資産にもなるし、地価まだ上がりそうだな」
「不動産って面白そうだな、不動産やろう」
今までずっと具体的なイメージが湧かずに、
将来の夢も決めたことがない私が、
たった2分程度の想像で将来の方向性が決まったのだ。
その日のうちに、軽井沢の物件を内見した。
⑥働くことの価値観の変化
それまで、仕事はやればやるほど面白いし、上を目指すことは燃えるし、とにかくやり込もう!とアグレッシブな労働観で、消極的な同僚を全く理解できなかった。
また、自分はこんな期待をされているのだから応えなければならない。マネージャーなのだから、頼れる存在でなければならない。弱い所を見せてはいけない。などなど、あらゆる縛りでストイックなマインドだった。
しかし、軽井沢で過ごした結果、ある映画のセリフを思い出し、スイッチした。
「プーと大人になった僕」という映画で出てくる、プーさんのセリフである。仕事に追われるクリストファーロビンにかけた言葉だ。
価値判断は自分でするものであり、社会人としてなどの一般価値基準は自分の人生では不純物でしかない。
何を大切にするか、その時その時の自分に問いかけて答えていけばいいのだと気づくことができた。
プーさんのセリフの中には、
「何もしないをするんだよ」という名言がある。
軽井沢町は偶然にも、何もしないをする町と謳っているらしく、私にピッタリの町だと確信した。