#44 『一人ひとりに届ける福祉が支えるフランスの子どもの育ちと家族』を読んで、モヤモヤしていた事がスッキリしました。
子ども家庭庁に「家庭」が入っている事に異を唱える意見、共同親権に反対を唱える意見を目に耳にする度に、モヤモヤした気分を抱えていました。
こども家庭庁に家庭が入ることについての異議の一つに、こどもは家庭が面倒を見るもので旧来の日本のしきたりを守りたいという考えが透けて見えるという事があるようです。
共同親権に関する異議としては、DV被害に遭っている母子はどうしてくれるのか?父親と母親の子どもに対する考え方が違った場合はどうしてくれるのか?等があるようです。
どちらの異議も理解はできつつも、こども家庭庁に家庭が入ること、共同親権が選択できるようになる事、どちらも、ポイントはそこではない、と私は思っておりモヤモヤしていました。
この書籍に関する内容に入る前に、私がこの書籍を手にするきっかけとなった新聞記事を共有させて頂きます。
新聞記事でインタビューに答えられ、また、書籍の執筆をされていらっしゃるのは安發 明子さんです。
この記事の中で、まず、性風俗や売春などでの妊娠を経て孤立出産し、生まれた子供の命を絶ってしまった女性が罪に問われる日本の状況を「日本では売春婦の問題なんだろう」とする意識があるとし、「フランスでは、このような妊娠出産の背景を、不安定な状況や愛情・教育の欠如と捉えて、支援を行う」というスタンスであることをご紹介くださっています。
さらに読み進めると「フランスでは出産すると、女性も男性と同じように自分のことして認知するかどうか選択できます。男性も女性も認知しない場合は「
国の子」として出生証明書がつくられる」そうです。
認知するかどうかを選択する制度を新鮮に感じ、更には「父親と思われる男性が認知することを裁判所に求め、男性が裁判所の出頭要請やDNA検査に応じなければ、強制的に父親と決定」「養育費の支払い義務が生じる」うえに、「拒否しても社会保障を担当する部署が、母親に代わり請求、雇用主に手続きし子どもが18歳になるまで給与が天引き」という対策がとられていることも紹介してくださっています。
養育費の対策は、フランスに限らず、他国や日本でも導入されていく様ですが、フランス全土どこの病院でも「匿名出産」が出来、「毎年概ね600人」の制度利用があるそうです。
妊娠したものの八方塞がりで臨月を迎え、出産したものの困り果ててしまうケースや、中絶は回避したいものの育てられず止むなく中絶するケース、が日本にどの程度生じているのか想像がつきません。このあたりの事で、日本で対策が講じられないものか、と思っていたので、匿名出産が法制化すれば母子とも救われるケースもあるのではないか?と、こちらの記事に書かれている事全体に関心を持ちました。
当初は記事を読んで、ふんわりと思いを巡らせるのみでしたが、共同親権の問題が取り上げられるようになって、再度、本記事を読んだところ、プロフィール欄にご著書の記載があるのを見つけ、購入し拝読しました。
安發 明子さんは、鹿児島で生まれ、小学校時代4年間スイスで現地校に通学。その後、日本で学生時代を過ごし、日本でのご勤務を経て渡仏、社会学修士を取得。フランスで日本人のご主人との間にお子さんを出産し、フランスで家庭福祉分野の調査をし、日本へ発信されているそうです。
同じ内容が複数箇所で記載されており、都度、Kindleにマーキングしたため、記述読後、整理してこちらを書くことに苦戦しています。。引用して、後から推敲しようとしたところ、引用制限オーバーし更に壁にぶつかっています。せっかくなので、引用はそのまま活かし、後から自身の意見を綴ることにします。
誕生から3歳まで
出産退院後、48時間以内の助産師訪問義務があり、その後一日置きに無料で助産師(母にニーズがなければ)・小児看護師が訪問を受けられる上、家事支援・家庭支援として国家資格保有の家庭専門員が定期的に派遣されるそうです。これが実際に行われているとすると、母親の孤立が回避できそうです。
生後2ヶ月半から親の仕事の有無に関わらず、収入の1割で保育を受けられるそうです。
出産経験が無いので、日本の実情の把握は不十分ですが、現在、日本にはなさそうな福祉で、あってもこれよりは手薄かと思われますが、この2つが導入されると親も子も随分と助かるのでは、と思いました。
子どもの様子から親の支援に繋げる
子どもの様子に気掛かりな点が見られると、ソーシャルワーカーが家庭支援に動いてくださり、親の困りごとがあった場合、その解決に動いた結果、子どもの情緒が安定し、学業にも集中できるようになる、という事例が紹介されていました、
こういうケース、日本にも相当数あると想像され、この場合に親への支援も必要になることから、こども「家庭」庁というネーミングなのだ、と私は思っていたことから、この書籍で、こうしたケースが幾つか触れられていたので、とてもスッキリできました。
シモーヌ・ヴェイユの存在
1974年から1974年に保健大臣を務められた女性です。
1927年 誕生
1944年 ナチスにより身柄を拘束
1945年 アウシュビッツより生還
19歳で結婚し3人の子育てをしながら司法試験に合格。
司法官として、受刑者と対話し環境改善に取り組み
精神障害政策の改善に取り組み
1970年 司法官高等評議会議長として父権廃止、親権採用。
夫婦間を法律上、教育権・財産権で平等化。
1975年 避妊・人工妊娠中絶の合法化
障害のある人の権利と、当事者が関係する政策策への参加保障
1976年 3歳未満の子どもがいる家庭への手当
1977年 2年間の育児休暇制度・子どもの就学手当
1980年 16週産休と妊娠を理由とした解雇の禁止
1994年 無痛分娩を全ての女性の権利として無償化
アウシュビッツから生還し、子育てしながら司法試験に合格するという頭脳明晰且つ、エネルギーに満ち溢れた方だと思います。この方が自分ごととして、女性と子どもの政策策定に尽力されたことが、今のフランスの出生率に影響があったことが想像されます。それにしても、どうしてフランスは子どもと女性の権利を一つづつ獲得していけたのでしょうか?
私の力量で、こうした内容をまとめると非常に陳腐になりますが、意見を戦わせるのではなく、子どもと親、そして日本にとって最善な方法を推進することが、子どもと親の幸せ、ひいては少子化改善に繋がりませんかね?
以上です。