
誰にも話せなかったこと 2
昨日の続き
中学を卒業してMと再会したのは高校2年。
友達と遊びに出かけ地元の駅へ戻ってきたところ、Mが殴りかかってきた。
「ユリアン!」
叫びながら近づいてきたのでMに気付き、避ける余裕が出来た。
Mは再度、殴りかかってきたが一緒にいた友達が守ってくれた。
格闘技をしている友達の腹への一撃。
Mは一撃でその場に崩れ落ちた。
友達の強さと地面に倒れるM。どっちも現実感が無かった。
すぐそばの交番からお巡りさんが来て友達を取り押さえたが駅員さん、売店のおばちゃん、通行人。
目撃者が沢山いて友達は守っただけと説明してくれたので友達はすぐに解放され、お巡りさんは倒れてるMを確保し交番で事情を訊かれることになった。
交番で何があったのか話し、その中でMとの関係を説明するのに中学での経緯を話すと、お巡りさんは「は?」という表情から呆れ顔になり僕と友達は解放され、後日、また事情を訊くかもしれないと言うので連絡先を伝えたが再度、事情を訊かれることはなかった。
未遂とはいえ暴行事件なのに警察からもMの親からも連絡はなかったことに違和感があったけど、警察やMの親へどうなっているのか訊かなかった。
関わりたくなかった。
なので、この事件後、Mがどうなったか知らなかった。
それ以来の再会をしたMは、
「決まってた高校の推薦取り消されて、お前と高校の時に会ったよな?あれで俺、退学になったんだよ。俺の人生、お前が全部メチャクチャにしたって、分かってる?」
Mは続けて、
「本当だったら、このまま、お前、拉致って仲間とボコボコにして300万用意しろ。って、言ってやろうかと思ったけど、お前学生だろ?そんな金ねーよな。とりあえず3日後までに10万。今はそれで勘弁してやる。人の人生、メチャクチャにしたんだし詫びは必要だろ」
あまりにも身勝手な言い分に呆れたがMは助手席から降りてきた。
ということは運転手が別にいる。
今、下手に抵抗するのは危ない。運転手以外にも人が乗ってるかもしれないし。
『分かった』
と、答えるとMは肩を叩き、
「お前、ぜってー警察に言うなよ」
ニヤつきながらMは言い3日後、ここに来いと場所を指定すると車に乗り込み去っていった。
身勝手な言い分。
呆れる反面、恐怖もあった。
駅という人の多い場所でなりふり構わず殴りかかってきたこと。
中学時代、カツアゲで将来を潰したのにまた同じことを繰り返し、高校を退学になったことすら、こちらのせいにする人間。
最低1人は仲間もいるようだし、そんな人間は何をしてくるか分からない。
家に着き、寝てる母を起こして話した。
19歳。ある程度のことは自分で判断できるがこういった特殊なことはどうすべきか一番、近い大人の判断を仰ごうと思った。
「こっちは警察に話して都合の悪いことなんてないでしょ。」
母の言うように、こっちに何の落ち度もない。
実家がバレていることが不安要素だったけど母の言葉で警察に通報することにした。
いいなと思ったら応援しよう!
