その43 個別最適?協働的?ところで、主体的・対話的で深い学びなの?(1387文字)
1 はじめに
「個別最適な学び」「協働的な学び」に『甘んじる』という言葉が頭に浮かびました。
この「個別最適」「協働的」というパワーワードに、『甘んじる』というマイナス的な意味を感じたのは、今日が初めてのことです。
「個別最適な学び」、「協働的な学び」は、現場の先生たちが辿り着きたい、実現したい、また、目指すべきものだと前向きに考えています。
また、このパワーワードと同じくらい、いや、それ以上に意識したい言葉もあります。
それが「主体的・対話的で深い学び」です。
「個別最適な学び、協働的な学び」と「主体隊・対話的で深い学び」について考えてみます。
2 思うところ
先生主体の45分の授業プラン、現場では、いまだに少なくありません。
(自治体や地域、学校により様々だと思いますが。)
ここから脱却して「個別最適」「協働的」を実現した例も、また、たくさんあると思います。
その一つの方法として、タブレット端末を使いこなすことが挙げられます。
時は遡りますが、アクティブラーニングなるものが、約10年程前から言われ始め、先生たちは授業改善を迫られました。
一人一人の先生により、その取り組み方は様々だったことと思います。
危機感一杯に、本を読み漁り、学習会に参加し、授業スタイル、教育観すべての変革にチャレンジした先生がいる一方で、タブレット端末という『ICT』一択で臨んだ先生もいました。
3 ICTの魔力
ICT機器というタブレット端末の持つ力は、絶大です。
昔ながらの教師主体の授業プラン、いわゆる一斉指導型、講義型の授業においても、タブレット端末を活用することで「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現できるのです。
例えば、国語の物語文を学ぶ時間に、先生から「火事の様子を読み取りましょう」と指示され、子ども達は、教科書を読みながら該当箇所を探します。
これをタブレット上で、共同編集機能を使うことで、いわゆる学力の低い子も、友達の書き込んだ考えや、友達が線を引いた箇所をタイムリーに見ることができ、意欲を失わずに取り組むことができます。
更に、タブレット端末を介してコミュニケーションをとることもできます。
子どもにとってタブレット端末は、強力なカンフル剤になるのです。
紙媒体のノートを介するコミュニケーションとは、格段に違います。
このように、タブレット端末というICTを用いるだけで「個別最適」で「協働的」な学びを実現できるのです。
4 しかし…
果たして、この授業に、子どもにとって未来の可能性が詰まっているのでしょうか。
「主体的・対話的で深い学び」という文脈から考えるに、課題を感じずにはいられません。
まず何より「主体的」に学んでいるのでしょうか。
タブレットに誤魔化されている感がありませんか。
この授業に、もしタブレットが存在しなければ、主体なのは、相変わらず『先生』です。
先生が、問いや課題を投げかける前提は維持されています。
子ども主体であれば、この物語を読み進めるうえで、不思議に思ったことやもっと知りたいと思ったことが、自然と子どもから出てくることが必要ではないでしょうか。
この視点に言及することなしに「主体的・対話的で深い学び」の実現は、難しいのではないかと感じる今日この頃です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。