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推薦図書 やなせたかし
坊っちゃんの兄
弟は医者をしていた伯父の養子になり
ぼくは亡父の跡を継つぐことになった
(中略)
戸籍謄とう本を取り寄せたとき
自分の名前以外のところに
全部×じるしがついているのを見た
父は死亡
母は再婚
弟は養子
ぼくはこの世でたったひとり
天涯孤独になったことを知った
しかしその頃はまるで孤独とはおもわなかった
ただぼくと弟の生活には ちょっとしたちがいができた
弟は奥の間で
伯父夫婦と川の字になって寝
ぼくは玄関の横のつめたい書生部屋で寝た
(伯父夫婦にはこどもがなかった 伯父夫婦は弟を溺愛した)
ぼくらは世間的には
おなじ家に住み おなじ学校に通い
ごくあたりまえの兄弟で
(中略)
弟はお医者さんの坊っちゃんで
ぼくはなんというか
坊っちゃんの兄が世話になっている
という感じだった
あの明るい やなせたかしさんが、少年時代にこんなに胸を締め付けられるような思いをしていたなんて。
生きるということは、悲しいことの方が多いかもしれない
他の著書でやなせさんが書かれていた。
子どもの頃は大人は楽しそうと思っていたが、みんな悲しさを少しずつ覚えながら大人になって生きていくのかもしれない。