読書フェスティバル11
私がおすすめする本は
「教室をいきいきと 1/大村はま」
(筑摩書房 1986)
です。
割と最近の本の紹介が続いていたので、こちらを紹介させていただきます。
私は、ふとした時に本棚にあるこの本が目に留まり、読み返します。
「不易と流行」という言葉がありますが
まさに不易の部分に気づかせてくれる、私にとって大切な本です。
「一人ひとりのコップが違うことを肝に銘じて」
=========以下、引用=========
子どもの持っているコップをたとえとしましょう。子どもがコップを持って、何か自分の身を養う物を飲むとします。そのコップに栄養の高い、いい飲み物を入れてやるんですが、入れてやると教師は満足する、そしてもっともっと詰めこみ、入れようとします。子どもが飲み終えたところ、そして、もっとほしいと思っているところへ入れるのが教師のこつです。飲まないところへ入れてもこぼれるばかり。なのに、入れたという自己満足が教師をたぶらかします。あれだけ入れたから身についたと思うでしょうが、子どもは飲まなくて、飲んでいる暇のないうちに次のが来ましたので、こぼれてしまったんです。つまり、その子の身についてはいないのです。
(中略)
なかなか飲まない人もいますし、早く飲む人もいます。飲む速度も違います。とにかく、飲んでいないコップにまた入れる、という愚かさは防がなければならないと思います。
=========以上=========
初任者時代、同様のことを教育事務所の指導主事の先生が、お酒を飲みながら教えてくださいました。その方はバージョンアップ版として、「ビール瓶とコップ」を使って、例えてくださいました。ビール瓶の注ぎ口があまりに大きいと、相手が持っている小さなコップはすぐに溢れてしまいます。
相手の飲むペース等をよく見ながら、注ぐタイミングだけではなく、その量にも気をつけたいよね。そのようなお話でした。
令和の今も変わらず大切なこと
この本には
今の時代も大切であろう考え方がたくさん散りばめられています。
「黒板に張りつかずに生徒の中へ」
「話し合いは聞き合いである」
「グループ学習は目的をはっきり見つめて」
「正答は子どもの口から」
「宿題=課された学習は避けたい」 などなど
まだまだこの本に教えてもらうことは
山ほどありそうです。
もとき_本木誉司@山形