道徳×AI 〜東京学芸大附属小金井小 鈴木秀樹先生「絵葉書と切手」の授業から〜
3月4日(土)、品川のMicrotoft本社ビルで行われた、東京学芸大学・東京学芸大学附属小金井小学校の「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業成果報告会」に参加してきました。
事業の報告、そしてYoutubeチャンネル『MIEE MAETAのお手軽ICT活用』での分かりやすい実践発信で知られる、MIEEの前多先生の実践報告があり、Google Meetを使ってグループを作り話し合ったり、(いつもはなかなか言葉を紡ぎ出せない、話せない子が話す空気になる!)Canvaを使って電子板書(お手軽、絵文字素材を用いて個人の感情表現をさせることができる。)をしたりといった実践をみることができました。
1.道徳授業×AI(Microsoft Bing)の可能性
次に、附属小金井小学校ICT部の鈴木秀樹先生による4年生の授業、『絵葉書と切手』を目の前で見てきました。
絵葉書と切手、この教材は、中学年での定番教材となっています。
主人公のもとに、転校した友人から、定形外で料金不足の絵はがきが届きます。料金不足を教えるか、お礼だけにするか、主人公が葛藤する、というお話。
主人公広子は、転校した正子から大きな絵はがきが届き喜びました。しかし兄は、「同じ失敗を他の友達にしてはいけないから,相手に料金不足を教えた方がよい」と言います。母に相談したところ、「正子が嫌な気持ちになるからお礼だけにした方がいい」と言うのです。
広子は、正子に返事を書こうとしてどうしたらよいか迷います。迷う中、今までの正子と過ごした日々を思い出し、きっと料金不足を教えても嫌な気持ちにならず、分かってくれると信じて、教えることにした。結末までがしっかり書いてあります。
鈴木先生の範読を聞いたあと、主発問
『あなたが主人公なら、切手の料金が足りなかったことを友達に伝える?伝えない?』
について、考えを、MicrosoftのFormsで集約し提示していました。
ここまでは、ソフトは違えどよくあるICTの活用だと思うのですが、びっくりしたのが、Microsoft のAI、Bingにどうするか聞いてみる、という過程を踏んでいたところ。
(鈴木学級の生徒は、この授業を参観した日のちょうど前日金曜日に、初めてBing の存在を知ったらしいです。)
当日、Bingは、このような応答をしてくれました。
はっきりと答えてくれません。子ども達は、はっきりとした意見を引き出そうと思い、「あなたはどういう意見ですか」と聞き返します。でも、
同じような回答を繰り返すだけ。子ども達は、「本質的な答えせずに逃げている!どうせAIなんだから!」そんな意見を口々に言っていました。(評価が低い低い…)
私は後で分かったのですが、当日鈴木先生は、Bingの応答の設定を『厳密』にして、機械的よりな反応となるように調整されていたようです。ちなみに、『独創性』モードにした時の答えはこちら
それだけでは終わらず、その後、鈴木先生の更なる1手が。この学級に最近まで在籍していた女の子に、先生がオンラインでインタビューをしていた。その模様が上映されました。
私だったら伝えると思うし、逆の立場なら伝えて欲しいと思う。そんな立派な意見でした。
最後には、『本当の友達とは』の本質までついた素晴らしい話をしており、子ども達は、なるほど、こんなの意見を待ってた!と、堰を切るように、自分ならこう考えるという意見を発表し出しました。
2.授業者の鈴木先生の思い
授業者の鈴木先生が、思いを綴ったnoteがこちらです。
ぜひ読んでみて頂きたいと思います。
残念ながら授業で全体でのまとめまでは辿りつかなかったのですが、最後にPadletを使い、「本当の友達ってどういう人だろう?」ということについて自分の意見を記入したり、友達の意見にコメントやスタンプなどを返すところまでは行っていました。これについても、Bing先生へ質問し、その意見と自分の意見を比べさせていました。
一種のゲストティーチャー的扱いと言ってもいいですね。笑
AIの機械的な意見や、友達の深い考えなどを比べながら、自分ならどう考えるかというところにそれぞれの児童が深く迫れていた授業で、すごく参考になりました。
先ほどの鈴木先生のnote、一部引用させて頂きます。
本当に、道徳1つをとっても色々な授業の形があるのだな、と。
道徳の授業の中で、自分で考えることの必要性、大切さ。AIとの付き合い方。ALL INで子どもたちに考えさせていた、奥の深い授業でした。
道徳についても、ICTやAIの活用についても、もっともっと考えていきたいと思います。
本日も、読んでいただきありがとうございました♪♪
授業てらす 第2期 水曜日投稿連続中 よう先生