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よりよい追試について考えるセミナー~あなたは「似せる」か「なりきる」か?~

みなさん、こんにちは。
授業てらす4期生 社会科部屋のハジメです。

多くの先生方が、優れた授業実践を「やってみたい!」「真似したい!」と考え、日々教材研究に励まれているかと思います。

今回は、優れた授業実践を真似する『追試』について、社会科部屋のメンバーを中心に語り合いましたので、紹介します。

<縄文のむらから古墳のくにへ>

追試実践者:ちんぺーさん
原案作成者:由井薗 健 先生

縄文時代とくらべ、人の平均寿命が延びた弥生時代。
2つの時代のちがいから、

「米は人々にとって救世主となったのか?」

という問いを設定し、稲作文化の浸透によって人々の生活が進歩したことに迫ります。

①そもそも授業の『追試』とは?

社会科部屋では『追試』について、本セミナーを実施する前にあらかじめ学習しました(発案者:おざさん)。
向山洋一先生の著書では、『追試』は以下のように分類されています。

a.追試実践:先行実践をそのまま真似する
b.修正追試:先行実践の発問・指示を十分に検討し、修正を加える
c.構想追試:先行実践をもとに、発問・指示を自ら考えて行う

a → b → c の段階で、子どもの実態を踏まえながら実践している先生もいらっしゃるでしょう。
次の段階へ移行するタイミングが、『追試』のカギだと思います。

②100%真似をすることは可能なのか?

本実践では、縄文時代から弥生時代にかけて平均寿命が延びたことを確かめ、2つの時代を比較し、

「米は(人々の)生活を発展させたのか?」

という問いが設定されました。
「救世主」ではなく「発展」という言葉が用いられています。

生活が安定するようになったから、発展したといえる」
争いで亡くなる人がいたから、発展したといえない」

「発展」を、便利や快適といった正の側面で認識している子どもの姿が見られました。
ところが、" Yes or No"に終始してしまい、生活の安定や争いの理由を考えるまでに至っていない子どもが多数見受けられました。

もし、「救世主」「(人々を)救った」という言葉が挙がっていたら、どのような発言が生まれていたのでしょうか?

(P.S.)
私事ですが、先日、金城和秀先生(東京学芸大学附属世田谷中学校)のセミナーを受講しました。金城先生が2年半、生徒とともに積み上げたからこその実践だと感じることができました。
追試実践の難しさは、子どもと築き上げた人間関係のちがいにあると考えます。

③「発展」が意味するものとは?

「発展」には、進歩と同様に正の側面をもつだけでなく、負の側面も含まれます。

先述の問いに対する答えに置き換えれば、
「稲作文化の浸透により、人の寿命が延びた(正の側面)一方、争いがしばしば発生するようになった(負の側面)」
と説明できることから、米は人々の生活を発展させたといえることになります。

「発展」という言葉は扱いに便利な分、思考や議論の焦点化を難しくしているように感じます。

④心理的安全性の高さが、『追試』を左右する?

感情のぶつかり合いは、議論や思考を深める重大要素です。

子どもの発言に対して、教師が発問を追加すると、
「これ、正解ではないのかな…」
と感じ、発言を諦めてしまう子どももいます。

たとえ問いを追加されても、
「自分の意見を言える!」
安心できる雰囲気が、感情のぶつかり合いを生み出し、議論や思考をより深めることにつながるのではないでしょうか?

「先行実践と反応がズレる…」
これは、心理的安全性の高さにちがいがあると判断してもよさそうです。

☆まとめ

子どもの実態が異なれば、問いや反応も変わってきます。
なので、追試実践では、先行実践とのズレが必ず生じるといっても過言ではないでしょう。
そのズレを分析し、発問・指示などの修正を早々に行うことが、『追試』を生きたものにするのではないでしょうか?

最後に、由井薗先生の実践にチャレンジをしてくださったちんぺーさん、『追試』について予習する機会を設定してくださったおざさん、司会進行やブレイクアウトルームの割り振りをしてくださったじゅんさん、そして、夏休みの貴重な時間に参加してくださった先生方、本当にありがとうございました!

ハジメ_山﨑 創


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