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小屋探訪記(3)「Sauna」@Folkwood Village 八ヶ岳
ととのうための小屋
小屋と聞くと「泊まる」と連想する。しかし、「整えるための小屋」とすれば、新しい小屋のあり方を想うことができる。紹介する小屋はFolkwood Village 八ヶ岳にあるサウナ小屋だ。
Folkwood Village は山梨県北杜市小淵沢にあるキャンプサイトだ。キャンプサイトとはいえ、トイレやメイン棟といった施設が充実している、女性客にとっても安心感のある環境である。特にメイン棟になワーケーション向けのオフィスや会議スペースがあり、リモートワークにもしっかり対応している。松の木がスラっと伸び、上空の風で軋む音が心地よい林間サイトである。
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整えるために汗をかく
このキャンプサイトの特徴として優れたサウナ環境があげられる。サウナは発汗を促し、血管の膨張による血流促進や、熱による筋肉の緊張緩和などリフレッシュ効果が高く期待できる設備だ。
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サウナ小屋には専用の林道を下る。その先にある看板に導かれ受付更衣室棟が見える。その周りに見えるインディアンハットのような小屋群がサウナ施設だ。
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公式ホームページによると、「サウナエリアにはティピテント型の本格薪火アウトドアサウナや水風呂、ファイヤープレイスが点在します。 木々の中で焚火を囲んで、山の豊かな自然をダイレクトに感じながら外気浴を楽しむ。四季折々に大きく変化する豊かな自然をダイレクトに感じながら心身ともに「ととのう」 体験をご堪能ください。」とある。
時間管理された人数制限のあるサウナ小屋と、完全貸し切りの専用小屋の2棟あり、周囲にチルアウトするベンチやシートの並ぶ小屋がある。水風呂は大型の樽が二つと、桶に貯めた水が鹿威しのように落ちてくる滝の二種類が用意されてる。もちろん手持ちのシャワーもある。
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ティピーテントによるサウナ小屋の合理性
公式のいうティピーテントとは円錐形をしているテントで、アメリカインディアンの移動式住居として使用されていたのが由来のもの。簡単に移動ができるのが魅力的で、ドーム型テントと比べると円錐形という形により、360度周囲にフレームが並び、風に強いのが特徴。この小屋の場合サウナ小屋自身も構造のなっいて、中心の柱が不要になり、代わりにサウナ用ストープが設置されてる。こうした無駄なスペースを省いた八角錐の小屋は、サウナ専用としてとてもよくできている。
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中心のストーブには時折アロマ水を、投入してもらえるサービスがあり、香り豊かなスチームの中で発汗を楽しめる。また訪問時は麦茶や塩タブレットのサービスもあり、発汗によるミネラル補給のできる施設であった。
小屋に求めるものとは
小屋に何を求めるか、それは小屋で何をしたいのかということ。小屋には残念ながらすべての要求を満たすことはできない。なぜなら小さいからこその小屋だからだ。したがって、求めるものはシンプル。無駄を削ぎ落とし、単純化したモデルとして要求をシンプルにまとめなくてはならない。今回紹介した小屋は滞在時間が極端に短い小屋として特殊解の一つである。自然から身を守る建築物でなく、自然より厳しい環境をつくるという逆説てきな目的で建てられる。こうした小屋は尖っているが故に構想も構造も設備もシンプルだ。一方で小屋という存在の包容力を感じる。
この小屋と向かい合うと、贅沢という考え方を根底から見直されるような気がする。
(参考)Folkwood Village 八ヶ岳公式ウェブサイト
https://folkwood-camp.com/page
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