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三浦佑之先生『日本古代文学入門』。古代文学入門のヒット作。

『日本古代文学入門』(三浦佑之著、幻冬舎)をオススメします。
表紙絵がかの会田誠画伯。なんたるフキンシン。こんなのをススメるのか?とは思ったんだけど・・・(何がフキンシンなのかは、ご自分でお調べください。私が思うに、会田画伯は天才ですよ。ご批判の向きは多いけど・・・)
 まあ、やっちゃったものはしょうがない。

 著者は『口語訳古事記』(文藝春秋刊、文春文庫にあり)で有名です。神々が生まれたり死んでいったり、喜んだり悩んだり、助け合ったり、足を引っ張ったり、なんとも人間くさい。けっこう込み入ってゴチャゴチャする古事記をすっきりまとめて口語訳してくれています。翁の語り形式が取られ、所々に語り手の感想も差し挟まれるという『大鏡』式記述法で、これがもう、読みやすい。ホントはこちらをススメればいいんだ、ということはわかっております。わかっていても『日本古代文学入門』を取り上げちゃうのが私の悪い癖。

 三浦佑之さんは古代文学、伝承文学がご専門で、千葉大学の名誉教授。文学研究は時代が古いほど難しいんです。だって、資料がない。たとえ資料があっても奈良時代なんか文字の表記方法が定まっていないから、読みにくいことこのうえない。漢字として書いてあるのか、音だけ借りた仮名として書いてあるのか、仮名なら仮名で、どう読むんだこれ?の連続です。(いや、らしいです。いかにも自分が苦労したかのように言っちゃいけない。私なんか学生時代、古文書は平安期のものもあまり読めなかった。いまではまったく読めないと思いますが)

 『日本古代文学入門』では『万葉集』の解釈がおもしろかったな。「額田王」を取り上げるあたりはさすが三浦先生。是非、お読みください。

 今から二千ほども前の人々も、出世欲、権力欲、金銭欲、そして愛欲にまみれ、欲望むき出しで生きている。現代人とまるで同じ。(え?そんなものにはまみれていない?そう、現代人の、そして若い人のほうがその辺、ドライかもしれん。現代でも年寄りのほうが欲望の塊のような人々が・・・。永田町あたりとかにね)

 古代人の欲望むき出しは、なんとなく無邪気でおおらかな感じもします。社会のシステムや欲望のありようも今よりはシンプルだったからかな?それとも古典というフィルターを通して見るから?
 
 ところで、私もそろそろいろんな欲が薄れてきました。昔は欲望でギラギラ(いや、さほどでも)していましたが。今となっては出世欲もないし、もともと勤労意欲もないし、あっちもさっぱりだし(どっち?)、今でも残ってる欲望は・・・金銭欲かな?少なくとも休日は昼間っから泡ものを飲みながらお馬さんを見て過ごしたい。そのためには少々お小遣いが必要。そう、月に五万円ぐらいは・・・。
 さて、この程度で金銭欲というのだろうか?

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