[フーディソン]新規上場目論見書まとめ~時価総額・売上推移・ビジネスモデル~
▷はじめに
2022年12月16日に株式会社が上場しました。
フーディソンは、飲食店向け食品Eコマースの魚ポチを中心に事業展開する企業です。
今回同社の上場における目論見書の要約を、誰でも5分で読める内容でまとめていきます。
この記事は以下の方にオススメです。
なお、今回の要約の元資料は以下です。
・新規上場申請のための有価証券報告書はこちら
・事業計画及び成長可能性に関する事項はこちら
それではまとめていきます。
▷時価総額・調達資金・資金使途
想定価格2,210円、発行株式数4,358,940株で算出すると約96億円。
今回の上場における資金使途は事業拡大に伴う新物流センターの開設や広告・人件費など。
▷株主の状況
所有株式数TOP10は以下。
▷ビジネスモデル
BtoBの魚ポチを中心とする食品ECプラットフォームでユーザーが商品を購入した時に売上が発生する仕組み。
▷Moat診断
ビジネスモデルから同社の事業の競合優位性強みをまとめるうえで、筆者が最近学んだ"Moat"という概念でまとめていきたいと思います。Moat診断は主力事業の魚ポチを対象にします。
Moatとは何かは引用として以下に記しますが、詳しくはMoat(モート): スタートアップの競争戦略概論の記事をご参照ください。
尚、同社の競争優位性は以下のように記述されています。
▷▷Moat診断のまとめ
Moatになっているものは、『ネットワーク効果』『規模の経済』『テクノロジー優位性』ではないかと考えます。『卓越したオペレーション』なども候補には上がりますが確実なMoatではないと判断し除外してます。
・ブランド:-
ブランドの定義次第ですが、ブランドを認知・好意・推奨・価格プレミアムで定義すると認知率を含むそれ以外のデータがなく、それを予想できるものもないので測定不能「-」とします。
・ネットワーク効果:〇
ネットワーク効果の定義を先に紹介した記事の言葉を引用し、新しいユーザーが一人増える度に、"既存"ユーザーにとってサービスの価値が上がるとします。そうなった時に以下図のようにユーザーの増加がプラットフォームへの再投資につながりユーザービリティの向上につながると記載があります。
このスライドに関しては理解できるのですが、具体的にどのようなユーザービリティーの向上にになって既存ユーザーにとってどの程度サービスの価値が上がるものかがイメージつきません。
しかし、こちらのスライドに記載の物流面で滞留在庫による高い需要予測は、データ(ユーザーの取引)が集まれば集まるほど高い需要予測ができるようになり物流のクオリティが上がると考え、さらに販売管理の自動値決めもデータが集まるほど適正価格の値決めができるようになると考え〇とします。
・囲い込み/スイッチングコスト:×
BtoBサービスの魚ポチを見たときに本サービスを起用した飲食店を視点に考えると、別の仕入れサービスが出たときにスイッチングコストや労力が特にかかるものないと感じることから×とします。
・第一想起 (top of mind):×
先ほどのブランド項目と同様の理由で測定不能「-」とします。
・規模の経済/初期投資やCAPEXの大きさ:〇
取引量がなるとコストダウン見込めることに加え、こちらのスライドによると物流面での滞留在庫による高い需要予測は、データ(ユーザーの取引)が集まれば集まるほど精度が高い需要予測ができるようになりると考え〇としまます。
・コスト優位性:△
取引量が多くなればなるほどお魚の仕入れ(コスト)が安く、需要予測や物流面でも取引量の多さに応じてコストダウンになりますが、現在の状態で他社追随できない技術的工夫でコストが安くなっているわけではないので△とします。
・免許/許認可/特許/排他的な契約:△
『市場の仲卸・買収件の保持』が商品調達における許認可障壁になります。
スライドの中で2020年に卸売市場法の改正があり、仲卸が出荷者から直接買い付けが可能になると記載あり、同様のビジネスの新規参入がしにくい状況ではないと考えられるので△とします。
・ユーザーへのアクセス/ディストリビーションチャネル:×
魚ポチのターゲットとなる飲食店でみると、物流面より全国の各エリアに配送可能が買いたい魚が買えないという状況は今日においてないので×とします。
・卓越したオペレーション(オペレーショナルエクセレンス):△
生産性が高くなるテクノロジーを生かしたオペレーション面も同社の魅力の一つ。しかし具体的にどのようなオペレーションが強みになっているのかとそれが他社が追随できない室まで達しているのかは不明なので△とします。
・テクノロジー優位性:〇
商品管理・物流管理・販売管理の工程において最適化された独自開発のソフトウェアは競合がすぐ真似できないものと考えれるので〇とします。
▷市場規模・TAM
TAM
まずTAMの用語の解説から。
TAMは全国の飲食店の売上を鑑みたBtoBのECコマースとしています。
▷業績
上場年の2023年の売上見込は50.2憶円でYoY39.8%。2022年のYoYが21.7%と比較しても上昇しております。売上がここまで拡大を見込む理由について具体的なことは分かりませんでしたが、第二四半期の経営成績を見ると魚ポチにおいて飲食店の営業短縮などがなかったことによる取引量が上がったことが理由と記載されています。
尚、以下業績の実績と見込みのサマリーは目論見書・ 事業計画及び成長可能性に関する事項より筆者が作成したものです。
売上・売上総利益・営業利益・経常利益
売上YoY
▷バリュエーション査定の考察
バリュエーションとは何か?
バリューエーションとは、企業の利益・資産などの企業価値評価のことを指します。
バリュエーション査定にあたっては、インカム・アプローチ、コストアプローチ、マーケット・アプローチという3つの手法があります。
以降はマーケットアプローチの観点で、マルチプル(売上高倍率)が決まった際の類似企業を考察していきます。
同社のマルチプル(売上高倍率)はいくらだったか?
マルチプル算出には、上場直前の実績ではなく、上場翌年の売上見込みを使用します。結果、同社のマルチプルは1.9倍となります。
では、このマルチプルがつくにあたって、類似企業をどこと設定されていたのでしょうか。
バリュエーション査定時の想定類似企業はどこか?
想定類似企業を考えるにあたっては、目論見書より同社の事業が参入している市場やTAMから考えます。
公開している内容だと、国内における食品のECを対象にしている記述があることから食品のECを事業を展開する企業を抽出しました。
同社のようなBtoBの食品EC事業を展開している上場企業はなく、BtoCの食品ECを展開している企業にしました。ベースフードがPSR1.9倍で参考にされたのかと思いますが、1か月前に上場したことよりバリュエーション査定時にベースフードの上場のバリュエーションが反映された可能性は低いと考えます。
▷さいごに
以上、いかがでしたでしょうか?
今回はフーディソンについて記載しましたが、以降は2023年に上場した企業及び2022年に上場した企業の要約noteを作成していきます。
そして、みなさんにお願いです…!!!
ファイナンスやMoat分析においてぜひコメントやアドバイスください!
今後さらに分析力に磨きをかけていきたいと思っており、改善点や考慮が足りてないポイントなどを教えてもらえると嬉しいです!また、オススメのファイナンス分析記事だったり、著書なども教えてもらえるとネコのようになつきます。
これからもよろしくお願いします!
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