「なにをもって感染とするのか」の論理思考(その2)
感染とはそもそも何か?
どうも定義が定まっていないようです。
政府や行政、医療機関を含めて、一般の国民へ感染とは何かを説明するための定義がバラバラです。
ところどころで都合よく使われているように見受けられます。
前述してきたとおり、代表例は検査陽性者を感染者とすることです。
感染とは何かをネットで調べても、どうも一義的に定まっているような記述を見つけることは素人には困難です。
さて質問です。
感染とはどの状態をいうのでしょうか?
論理で考えるために、真か偽かで考えてみてください。
PCR検査が陽性ならば感染なのか?
口や鼻、咽頭や鼻腔に付着すると感染なのか?
肺に入ると感染なのか?
皮膚に付着すると感染なのか?
粘膜や傷口から内部に入ると感染なのか?
血液に入ると感染なのか?
細胞に入ると感染なのか?
感染とは何かを、いくつかの視点で考えてみます。
口や鼻から肛門までは体の外である
分子生物学者である福岡伸一さんの著書「動的平衡」で説明されていることを簡単に要約します。
卵子が精子と受精し、1つの細胞が2個、4個、8個と細胞分裂していき、ある段階になると、器官に分化されていきます。
口から肛門までは、中空の竹輪(ちくわ)のように、管が体を通っている状態の空洞です。
小さな細胞そのものに穴が開く訳ではないので、管が形成されるように分裂し分化していきます。
口は普段は閉じていますし肛門も閉じていますが、実は口や鼻から、気管、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門までは、管が体内を貫通しているので体の外(体外)になるのです。
ベストセラーの書籍ですので、ぜひ読んでみてください。
この話以外にも、今回のコロナ禍で考えさせられる、ミクロな生物の世界のことがたくさん書かれています。
人間がこの世を動かしていると、無意識に生活していますが、自身も立派な生物の1つにすぎないと自覚し直すことができるでしょう。
免疫とは
免疫とは白血球のことです。
白血球は大きく分けて7種類あり、それぞれ活躍する段階と機能が異なります。
顆粒球(好中球、抗酸球、好塩基球)
単球
リンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)
簡単に説明すると、役割がそれぞれ異なります。
ウイルス(小さい物質)や細菌(そこそこ大きい生物)などの種類に対応するもの、時間差により働くもの(アレルギー反応の現れる時間など)、指示があってから変身するもの、事前に待機しているものなどです。
良くできた仕組みが備わっていることに驚かされます。
家庭教師のトライが無料授業の素晴らしい動画を出されています。ご紹介しますのでぜひご覧ください。
各動画は短く連続していますので、短時間で理解ができるはずです。
学生の受験用の解説なので、いい大人が理解できないという言い訳は通用しません。
ウイルスと細菌は全く違うので、感染も異なる
前述の動画をご紹介した理由は、侵入する異物(非自己)により、免疫である白血球の種類が、活躍するタイミングと役割が異なります。
つまり、細菌が侵入したときの感染と、ウイルスが侵入したときの感染が全く違うことを意味します。
まず、細菌は核を持っている細胞です。単細胞も多細胞もあり、細胞には核がありますから、自ら行動したり分裂したりできる生物です。
しかしウイルスは、タンパク質でできたRNAが脂質にコーティングされた物質です。核がないので、自ら行動したり、分裂したりできませんので、生物とはいえない物質です。
生物である細菌は、ウイルスとは異なり細胞の中に侵入して分裂する必要がありません。細胞に侵入せずに毒素を出したり、増殖をしたりします。
一方、生物ではないウイルスは、細胞の中に侵入して初めて増殖できることになります。侵入された細胞は正常な状態ではないとみなされ、自己死(アポトーシス)や白血球から攻撃を受け、そのときに炎症が起こります。
ウイルスは細胞内に入って感染
ウイルスは細菌とは異なり、そもそも生物ではありません。適切な表現は物質です。RNAやDNA型のウイルスは存在しますが、ウイルスは増殖するために、生物の細胞の中に侵入しないと、RNAとDNAの複製ができないのです。
ですからウイルス学では、細胞の中に侵入して感染としているようです。
ウイルスは目を擦って目の粘膜や傷口から侵入することもあるでしょうが、主に口や鼻から侵入します。
しかし、鼻や口の中はまだ体の外です。
上気道には粘膜があり体の中(体内)に侵入するには、粘膜を通過しなければなりません。
食べ物が体内に取り込まれる流れを例に説明すると、体外の口で噛み砕かれ、唾液により分解されます。
さらに、体外の胃や十二指腸で消化液により消化・分解され、体外の小腸の粘膜を通して、体内の血管へ取り込まれます。ここで初めて体内になります。
消化液のように体内から分泌されたり、栄養として体内に吸収されたりする粘膜は、体外と体内の境目のようなものでしょう。
まとめ
政府、行政機関や医療従事者が言う感染とは、細菌のときとウイルスのときを分けずに、ざっくり説明している傾向があります。
非自己である異物のウイルスは、白血球の種類により、対応される時期が異なります。
綿棒で、体外である鼻腔や喉に付着したウイルスを採集し、PCR検査で増幅させて検出したとき、感染しているといえるのでしょうか?
(細胞に侵入して激しく増殖し、侵入された細胞が自死または破壊されるときに症状が出るのは感染していると言えますが)これらからわかるように、たとえ鼻腔に付着した少量のウイルスを、PCR検査で増幅させ検出し陽性となっても、まだ体内にそれほど侵入していないときには症状がほとんどないので、陽性なのに無症状であることはそもそも不思議ではありません。
(仮に体内に侵入されても、多くないウイルス量であれば、免疫により抑えられて軽症であると言えます)
このように、無症状感染者がいる!などと、当たり前にもかかわらず、訳がわからない報道で煽られ、恐怖に支配されないことが大切です。
症状がある人に検査しましょう、ということはこのためです。