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短編集

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カクヨム2020に応募するため、規定のテーマに沿って1200〜4000字で短編小説を書きます
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記事一覧

佐々木先生

佐々木先生

「佐々木さん、どうぞ」
「失礼します」
 促されて中に入る。精神科の診察室というが、真っ白な壁と床に机と椅子、それから先生の真正面ではなく横に置かれた患者用の椅子があるだけの、そっけない空間だ。窓がなくて天井が低い。
「今日はどうされましたか」
「最近眠れなくて…」
 井上先生は丸顔にめがねをかけた、穏やかそうな男性だ。怖そうな印象はない。ワイシャツとスラックスに白衣を羽織っている。
「そうですか

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聖少女35番

聖少女35番

 2036年2月10日。「聖少女」35番、155cm、38kg。推定年齢 20~23歳。
 2月1日、ヨコタ基地にて保護。保護時は脱水症状、極度に衰弱していたが、加療5日目から経口で食事をとれるようになる。以下、本人インタビューの録音。

 ここは安全なところですか。わたしの言葉がわかりますか。わたしたち、あまり外の人と話すことがないので、うまく話せないです。政府の人ではないのですね?
「貴国のも

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赤い薔薇、泥酔、コーンスープ

赤い薔薇、泥酔、コーンスープ

 玄関のたたきで目が覚めた。寒い。体がめちゃくちゃ冷えて手足なんかほぼ死体だ。コートは着たまま、マフラーも首に巻きつけたまま、カバンも頭の脇にある。起き上がろうとしてよろめく。7センチはあるヒールのパンプスを履いていたのだ。ストッキングは電線してぼろぼろ、ネイルは両手ともはげてまだら、ピアスと指輪はどちらもなくして、コンタクトレンズはつけっぱなし。そこで自分が下敷きにしていたものに気づく。真っ赤な

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桜の式の日

桜の式の日

桜の花が風に流れてさらさら降ってくる。

「ゆかりさんはどんな人ですか」
「やさしくて、思いやりがあって」「ちょっと口うるさいけど、世話好きな人」
「好きなこととかは」
「犬の散歩が趣味で」「ガーデニングも好きだから、いつも家の中と庭は花でいっぱい」
「思い出のエピソードは」
「うーん、なんだろう?」「毎年誕生日やバレンタインやクリスマスに、大きなケーキを焼いてくれたことかな」
「どんな音楽をかけ

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