森山流 Moriyama Ryu

1987生 大阪 読書が趣味/小説を書く/narcolepsy typeII/双極II/Amazonアソシエイト参加 baiyouculture@gmail.com

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書きたい人のために語る小説技法書紹介

このシリーズ。そろそろ用途別にまとめ直します。 小説を書きたいけど何をしたらいいかわからないときに読む本 物語を考え、構成を立てるときに読む本 執筆しながら読む本 ある程度書けるようになったら読む本 小説を書きたいけど何をしたらいいかわからないときに読む本  そもそも小説をどうやって書き始めればいい? なにを考えていけばいい? という段階で、とりあえずおすすめの2冊。準備体操です。 ・0から始める小説の書き方徹底講座!の中でも特に文章作法の超基本の章  基本的な

    • シン・仮面ライダーは変な映画だがおれは好きだ

      映画シン・仮面ライダーを見た。以下、ネタバレを含むので観賞後に。 冒頭から戦闘シーンでめちゃくちゃ血が出る。バッタオーグに改造された本郷猛の異常な戦闘能力がよくわかる。何より残酷で良い。戦って敵に勝つというのは殺人だとはっきり示されていて潔い。PG12だけどあんまり子供に見せない方がいいかとは思う。 その怪力をふるう殺人戦士本人はめちゃくちゃ繊細だ。本郷猛(池松壮亮)は常にこまかく震戦して悲しい顔つきの非力そうな男である。本郷視点になるとカメラも震えている。超やさしくて虫も

      • 金の話がすごく好き

        なんか……金が好きなのに金のことがなにもわからない!と思って本を読んでいる。よかった本をまとめる。 そもそも金の話の勉強しようと思って最初に読んだ本。まとまっていて読みやすく、変に夢のようなことも派手なことも書いていなくて助かった。 オタク特有のやや趣味に偏った財政の人間はどうしたらいいんだ、と思って買った本。これを読んで即その日に積立NISAの手続き申請をした。 得する会社員 損する会社員 手取りを活かすお金の超基本 (中公新書ラクレ)amzn.to857円(2022

        • 舞台2020(ニーゼロニーゼロ)を見た

           舞台2020(ニーゼロニーゼロ)を見た。人生初の観劇でどうしていいのかわからず、まずチケットが取れるのか、席がものすごく後ろになったがこれで見えるものなのか、なにを着ていけばいいのか、等々うろたえた。  そもそもこの2020という作品が、事前に調べてもなんの話なのかよくわからなかった。コロナ禍のはじまり、東京オリンピック中止、人々がマスクをし始めた年、その2020年を象徴的に捉えた、上田岳弘書き下ろしの三万字の一人芝居・主演:高橋一生。それくらいしか情報がない。どういうス

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        • The Hideout
          8本
        • ディープフリーザ
          12本
        • インキュベータ
          7本
        • 短歌習作
          3本
        • 逆噴射小説大賞2020
          3本
        • 短編集
          4本

        記事

          The Hideout-8

          Hideout 「新田いまどこ?」 「神戸西インター。高速に乗る」  出水の声に、スマートフォンをドライブモードに切り替えて新田が応える。出水はヒカリを運び出す新田を手伝ったあと、基幹AIのプログラム操作を続けるため所内に残っていた。 「そろそろHALの細工は限界。警備会社に連絡行くし、原さんにもバレる」 「うん……、一気に三島の分生研まで行くのは無理だと思う」 「高速フルに使って6時間か。着けたとしても早朝じゃちょっとな」 「まだ向こうのラボにスタッフが来てないだろう」

          The Hideout-7

           夕方に設定されているミーティングが新田には憂鬱だった。現在は基礎研究チームを離れて研究統括マネージャーについている原が主催の少数会議。HICALIプロジェクトにかかわる人間だけの内密なものだ。なるべくその内容について考えずに済むよう、新田は実験の予定をあえてぎりぎりの時間まで詰めていた。 「新田さん」  実験室に入る新田へ、白衣を羽織った瀬戸内が声をかけてくる。  「大きいほうのクリーンベンチの予約時間、代わってもらえません? 私20時からにしてたんですが」 「ああ……、い

          The Hideout-6

          「それでメスの個体をクローン化できない問題をどう解消したんです」  切林直樹が水筒から温かい麦茶を一口飲んでから言う。一人暮らしだが几帳面で倹約家の切林は弁当持参の昼食だ。研究室の一角の談話スペースには、テーブルと椅子が並ぶ中に簡単な湯沸かし器があるだけだ。あとは研究所の一階にある食堂へ行くか、購買で何か買ってくるしかない。 「立案したのは僕じゃなくて原さんだけどね」  そう言いながら湯沸かしを傾けてコーヒーの粉を湿らせるのは新田秀明。その隣で出水倫治がもくもくとゼリー飲料を

          The Hideout-5

          Burnout 「新田、ここへ」 「新田秀明。本日付で基礎研究チームに配属になりました」  それだけ言って頭をさげる。チームのメンバーは各人のパーティション付きデスクの前で、作業から少し顔を上げて簡単な会釈を返した。彼を案内してきたリーダーの原賢治は、それぞれを見ながら新田へ紹介する。 「出水倫治はプログラミングと解析担当。瀬戸内夕香はwet workがメインで、相川譲が彼女の下で修行中だ」  痩躯を丸めてめがねをディスプレイにぶつけそうな姿勢でキーボードに向かう出水、長身

          The Hideout-4

           新田が扉の横のパネルにカードキーをかざす。入ってすぐの部屋でラテックス手袋と使い捨てスリッパに履き替え、エアシャワーを通って次の部屋へ向かう。人工的に日照を再現する照明システムと、ちりや埃が入り込まないように外部より高気圧に保つ空調システムで環境が整備されている培養室だ。突き当たりに人の背丈を越える大きな水槽のようなものが三つ並んでいた。新田たちが年月をかけ苦労して構築した、クローン人間用の三次元培養システム。その中央、朱色の培養液が耐熱強化ガラスのタンクに満たされている中

          The Hideout-3

          「僕らの技術で最終的にヒトクローン個体を作出というか、構成できるようにはなった。うちのラボが設置されたのは秘密裏にはそれが目的だからね。法整備も内々に進んでる。論文ももうJournalに載る。問題は、その個体たちの維持と管理、それから、今後の『運用』」  研究所には余分な窓がない。日光や紫外線に弱いものを扱い、機密性を重視した施設特有の設計だ。白い壁の続く長い廊下を進む新田が、前を向いたままそう語る。内容とは裏腹に、細めた目で遠くを見るようなややはにかんだ笑みは、三十代なかば

          The Hideout-2

          Outbrake  2006年にiPS細胞が日本の山中伸弥によって発表されてから、皮膚や血液といった体細胞から幹細胞を樹立することが技術的に可能になった。幹細胞は生体のさまざまな種類の細胞に分化する性質をもつ。これをヒトの体細胞から作ることができれば、提供者の欠損した組織や臓器を再建し拒絶反応の少ない移植を行なったり、難病研究に応用したりと、幅広い活用が期待できる。2020年ごろまでの研究で、加齢黄斑変性やアルツハイマー病患者への自己体細胞由来iPS細胞の移植、ALSとFO

          The Hideout-1

          イントロダクション 「A棟207で火災発生、速やかに避難してください」  実験室の一角、強化ガラスの張られた無菌操作用のクリーンベンチから煙があがっていた。警備システムと火災報知器の自動感知により、研究所内にオートのアナウンスが流れる。この時間帯の所内に人はほとんどいない。部屋を足早に立ち去る男の姿に、気づいたのはたぶん私だけだろう。くたびれた白衣に、グレーの体にフィットしたTシャツと黒い細身のパンツ。やや乱れた髪と黒縁のめがねの奥の目はおだやかだが、顎の無精髭がどことなく

          いろいろあって茨木童子について調べている

          茨木童子出生古地 同郡東留松村にあり、土俗の傳に云、住昔此所に於て、土民一子を設く。生ながらにして牙生、髪長く、眼光あって、強盛なること、成長の人に越たり。一族懼怖して、島下群茨木村の邊に捨てけり。于時、丹後の国千丈嶽の強盗、酒呑童子に拾われ、養育せられ、成長の後、彼が賊徒と成て、丹波国大江山の巌窟を守らしむ。其設の地名を取って、茨木童子と號く。或時、父母病て同じ枕に臥す。童子大江山に有て、遙に是を知の妙術を得たり。強悪の所至、却って悲歎甚深く、終に此に來り、父母の床の邊に跪

          いろいろあって茨木童子について調べている

          5冊1000円の選書サービスを始めた

          ココナラで選書サービスを始めた。 とにかく人にあげる本を選んだり、読みたいけど何がいいか迷っている人に付き添ったりするのが好きで、自分で本を買うのももちろん大好き、書店で思い切り買い物している瞬間がいちばん楽しい可能性すらある。読む読まない以前に選ぶ段階が好きで、旅行の準備段階がいいんだよなみたいな話か。今まで頼まれればやっていたけれど、せっかくある程度把握している本の量も増え、それなりの物量で紹介できるようになったので、知人に無償でというのではなく、ひろく有償で依頼を受けて

          5冊1000円の選書サービスを始めた

          長編執筆のために参考にした本とサイト3

          このシリーズ。最近読んだものについて追加します。 映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術/シド・フィールド 読了したので追加。これは正直、この赤の巻より次の緑の巻だけ買えばよかったかなと思った……。シド・フィールドの本は内容は非常にいいのだけど、冗長で他の本やサイトでまとまっている話が反復されるので、これを最初に読むのでなければ不要かもしれない。 実践的なのはこちら。これは電子もあるが紙で買った方が良いと思う。基本的に技法書でトレーニン

          長編執筆のために参考にした本とサイト3

          ツバメの庭

          職業的嘘つきのための三題噺メーカーより 三題:カーテン/実は馬鹿/つばめ  レースのカーテンが初夏の風に揺れる。モッコウバラの香りが室内に流れ込み、婦人は電話を持ち上げる手を止めて外を見やった。ふんわりと盛り上がった花群がアーチに絡まり庭を豪奢に彩っている。ツバメがその曲線の下をサッと飛んだ。モッコウバラは本来はバラが苦手とする病気や害虫に非常に強く、棘をもたない。  電話帳を呼び出してコールする。4度目で明るい女の声が出る。 「どうしたの」 「咲子さん、起こしちゃった?今