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模擬患者さんとお医者さんごっこ

【医学部4年生から5年生に上がる時】
学力試験のCBTと実技試験のOSCEを受けて合格しなければ、進級できない。5年生は多くの医学部で病院実習がある。出来の悪い生徒は患者さんの前に出れないのである。

OSCE対策で4年生の途中から医療面接という実習が始まった。

模擬患者さんとなんちゃってお医者さんごっこをするのであるが、その模擬患者さん達がすごい!
特にリーダーの人は超演技派で泣いたり、怒ったり自由自在にできるのである。その人はある時外来で待たされすぎてブチギレている患者さんを演じて、あまりのキレ方に一同おしっこちびりそうになった。
「あの人、昔劇団でいいとこまでいったらしいよ」とほんとかうそかわからない噂が飛び交う。

医療面接ではチェックされる項目が多数ある。



・爽やかに自己紹介
・話しやすい雰囲気を作る
・オープンクエスチョン→クローズドクエスチョンで診断にたどりつく(ここがメイン)
・患者さんの話を遮らすに傾聴する
・目を見て話す
・共感する
・適宜まとめる



などポイントはたくさんあるが、一つ一つチェックして面接が終わった後、模擬患者さんは丁寧にフィードバックしてくれる。でもそのフィードバックも「ここがすごい良かったけど、もう少しここをこうしたら、もっとよくなると思う。」などという割とポジティブなフィードバックであり、全否定はされない。ありがたいことである。彼らはそういうフィードバックができるようトレーニングされている。


ある時、私は例のリーダーの模擬患者さんに当たった。
ちょっと緊張したが、私は私なりに一生懸命頑張った。
そしてフィードバックをもらう時になるとその人は言った。

「先生とお話するのはとても楽しかったわ、先生は人を明るくすることができる人ね。でも私、癌患者なの、だからちょっと真剣味が足りなかったわ。だから今度からもっと深刻さを増した方がいいと思うの。」

そうか、私はもちろん演技派じゃないところもあったが、確かにイマイチ真剣味が伝わらなかったのかもしれない。確かに似たようなことを人生で時々言われたことがある。生来ヘラヘラして見えるのだ。

その後、医者となり、癌患者さんには深刻な顔、声をするよう心がけた。
例えば、乳がん検診の時、「乳癌の可能性が高いから精密検査になるべく早く行ってください」と伝える時に1.5倍くらい真剣味を増して告げるようにした。

医学部の実習は時にめんどくさい。その気持ちはわかる。
でも無駄にはならないので、一生懸命やってね!
そして模擬患者さん達、ご協力ありがとうございました!!


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