愛情のエネルギーは動物に伝わる 愛情はさわれる(12)
3月に「動物のためのスプーンケア講座」をオンラインで行ないました。
スプーンケアというのは、私がふだん治療で使っている「てい鍼」という先端が丸い皮膚に刺さない鍼を応用したものです。
てい鍼の代わりに家にあるような小さめの金属のスプーンの柄の部分を動物の皮膚にごく軽く当てることによって身体の気の流れを整えるという簡単で安全なケア方法です。
わたしはふだん治療院でてい鍼を患者さんのツボにごく軽く当てるだけで全身の気の流れを調整する鍼治療を行なっています。
この方法は先端が丸い金属の棒であるてい鍼を皮膚に刺さずにごく軽く当てるだけの安全なケアなので、わが家にいる代々の盲導犬たちの身体のケアにも使ってきました。
盲導犬たちは皆このケアが大好きで、私がてい鍼を見せると「やって、やって!」と駆け寄ってきて床にゴロンと横になり、背中のツボにてい鍼を当てると気持ちよくなってお腹を見せてひっくり返ったり、気持ちよさそうな深いため息をついたりしていました(笑)。
現在の盲導犬シールにこのケアをしていたある時、私は「これは同じ金属のスプーンでもできるのでは?」と思いついてスプーンの柄を使ってみたところ、てい鍼と同じ効果があるとわかりました。
そこで、動物のためのスプーンを使った誰でもできるかんたんで安全なケアとしてこのスプーンケアを動物の飼い主さんにお伝えすることにしたのです。
講座では、飼っている犬や猫たちの身体にスプーンを当てる時、動物たちに対して愛情を向けながら行なうことを心がけてもらいました。
人間は相手に対して愛情を向ける時、誰でも必ず身体から愛情のエネルギーを発しているからです。
こう書くと「愛情のエネルギーなんてなんだかスピリチュアルっぽくてアヤしい」と感じる人もいると思います。
私も目が見えていた時にはこれを感覚的に感じることはありませんでした。
その頃ならきっと「そんなものが本当にあるのだろうか?」と疑問に思っったと思います。
人は自分の感覚で感じることのできないものを信じることは難しいからです。
でも、見えなくなって視覚情報が入力されなくなった私の脳は、視覚情報の欠落を埋めるように、愛情のエネルギーを感じる感覚を処理するようになりました。
なので今の私にとって、愛情のエネルギーは見えている人が光や色を感じるのと同じように感じられるものです。
このケアをお伝えしてから3か月がたって、参加者の飼っている犬や猫たちの身体の症状が改善したという報告もありましたが、おもしろかったのは、このケアを通して飼い主さんと動物の距離が縮まったり、以前より動物たちが甘えてくるようになった、などの報告が結構あったことです。
これは、人間からの愛情のエネルギーを動物たちは人間よりずっと敏感に感じている
ため、動物との関係がさらに深まったのだろうと思います。
現代人の多くは自分の環世界から愛情のエネルギーを感じる感覚を締め出してしまっているので、「愛情」というものを光や色や音のような実体のあるものとしてとらえることができません。
一方、動物にとって愛情のエネルギーは「目に見えないごちそう」のような実体のあるものとして感じられているのだと思います。
この「目に見えないごちそうは、食べ物のように身体の栄養にはなりませんが、人からの愛情を必要としている動物にとっては「心のごちそう」なのだと思います。
このケアを続けていると、やがて人間も動物からの愛情のエネルギーを感じられるようになります。
そしてお互いが愛情のエネルギーを贈り合うことができるようになると、飼い主さんと動物のまわりの空間がふんわりと温かいエネルギーに包まれるのを感じるようになります。
私はこれを「日向ぼっこ状態」
と呼んでいます(笑)。
一緒に暮す人とどうぶつが、愛情のエネルギーを感じ合い、春の陽だまりのような温かなエネルギーに包まれる時、お互いが誰かとつながっている感覚や何かに守られているような安心感や幸福感を共有できるのだと思います。
こんな時間をともに過ごす人と動物が増えてくれると良いな、と私は思います。