ゲイリー

ゲイリー

最近の記事

動物と愛情のエネルギーを分かち合うエクササイズ 愛情はさわれる(14)

7月頃から、毎朝盲導犬シールと愛情のエネルギーを分かち合うエクササイズをするのが日課になっています。 早朝の散歩から帰って、私が床にあぐらをかいてすわると、それに気づいたシールが早足で近づいてきて、私の目の前で横になります。 私はシールの身体に両手を軽く当てて、感謝と愛情のことばを心の中で繰り返し唱えます。 たったこれだけのシンプルなエクササイズです。 これを続けていると、まず私の手が温かくなり、それはひじから肩へと広がり、最後に胸の真ん中が熱くなってきます。 やがてシ

    • ひなたぼっこ感覚 愛情はさわれる(13)

      最近、早朝の散歩から帰った後、私と盲導犬シールは「ひなたぼっこ状態」のひと時を過ごしています。。 私が床にあぐらをかいてすわると、シールは私の前にやってきて床に横になります。 私はシールの身体に軽く手をふれて、シールに愛情の気持ちを向けます。 私がシールに愛情を向けると、私の身体から愛情のエネルギーがシールの身体に流れてゆきます。 (これは特別なことではなく誰にでもできることですが、愛情のエネルギーの質感を感じる人が少ないために気づくことがあまりないようです) やがてお互い

      • バリアフリーな気持ちーバリアフリーカヤック体験 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(22)

        7月の初め、山梨県の八ヶ岳で「バリアフリーカヤック」を初めて体験しました。 カヤックは高さが低くて細長いカヌーのような船で、左右にひれのついたパドルで漕いで進みます。 この「バリアフリーカヤック」は、「八ヶ岳アウトドアアクティビティーズ」というところがやっているのをネットで見つけて、盲導犬ユーザーでもできることを確認して、私と家族と盲導犬シールで参加しました。 カヤックを体験したのは標高1600mのところにある調整池。推進約8mで雪解けの冷たい水を湛えていました。 「バリア

        • スポットライトがあたる場所 見えない世界のワンダーランド(9)

          『タイム・マシン』などのSF小説で知られるイギリスの作家H.G.ウェルズの『盲人国』という1911年に書かれた短編小説があります(岩波文庫「タイムマシン他九編」に収録)。 それはこんな話です。 南米エクアドルのアンデス山脈の奥地に、大昔の大規模ながけ崩れによって外界から閉ざされた地域があった。 その温暖で平坦な閉ざされた土地に住む住民は全員が何世代にもわたって盲目となる奇病にかかっていたため、この「盲人国」では「視覚」を持たない人々により独自の生活と文化が築かれていった。

          ぼくのこと好き? 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(21)

          先日、家族みんなとシールで前の盲導犬シジミに会って来ました。 シジミは今は育ての親のパピィウォーカーのママとパパと一緒に暮しています。 シジミは現在12才です。 昨年の秋に原因不明の病気になって、冬に一度会いに行った時にはかなり心配な状態でしたガ、その後お医者さんが変わって今はかなり元気になりました。 パピィママから「シジミがだいぶ元気になったので会いにいらして下さい」と連絡があったので皆で会いに行くことになりました。 シジミの今の家はお庭が広く、昨冬に行った時にはシール

          ぼくのこと好き? 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(21)

          愛情のエネルギーは動物に伝わる 愛情はさわれる(12)

          3月に「動物のためのスプーンケア講座」をオンラインで行ないました。 スプーンケアというのは、私がふだん治療で使っている「てい鍼」という先端が丸い皮膚に刺さない鍼を応用したものです。 てい鍼の代わりに家にあるような小さめの金属のスプーンの柄の部分を動物の皮膚にごく軽く当てることによって身体の気の流れを整えるという簡単で安全なケア方法です。 わたしはふだん治療院でてい鍼を患者さんのツボにごく軽く当てるだけで全身の気の流れを調整する鍼治療を行なっています。 この方法は先端が丸い金

          愛情のエネルギーは動物に伝わる 愛情はさわれる(12)

          鼻息が手にしみる 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(20)

          私と一緒に暮す盲導犬シールは、いつもだいたい夜の9時が就寝時間です。そのころになると床にペッタリ伏せて眠そうにしているので、二階の部屋にあるシールのベッドに連れて行きます。 私も同じ部屋に寝るので、シールのベッドのすぐとなりにふとんを敷きます。 そんな時、以前はシールがふとんの上に寝転がって「マッサージして」とよくねだって来たのですが、最近は日中にスプーンケアで気の流れを整えることが多くなったせいか、素直にベッドのところで丸くなります。 私はシールにおやすみを言ってから1階に

          鼻息が手にしみる 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(20)

          スプーンケアの輪 刺さない鍼と光の日々(5)

          先日、知人の盲導犬ユーザーのYさんが「犬のためのスプーンケアを教えてほしい」と わが家にいらっしゃいました。 スプーンケアは家にあるスプーンが一本あれば、誰でもできる簡単で安全なケア方法です。 なのでふだん目の見えないユーザーの歩行をサポートしている盲導犬たちの心身のリラックスや健康維持のためにこのケアが役立ってくれたら良いな、と私は思っています。 いらしたのはユーザーのYさんと盲導犬のMちゃん。 Mちゃんはラブラドール・レトリバーのシニアの女の子です。 私とシールは最寄り

          スプーンケアの輪 刺さない鍼と光の日々(5)

          愛情は「目に見えないごちそう」 愛情はさわれる(11)

          わが家の近所に大型犬が住んでいるマンションがあります。盲導犬のシールと私が朝の散歩の帰りに通りかかると、その犬は上の方のベランダからよく吠えてきます。 シールはちょっとこわがりの性格なので、わが家に来たての頃は、その太い吠え声をこわがってそこを通りたがらずに停まってしまうこともありました(笑)。でもそこを通らないと家に帰れないので私はシールに 「上の方から吠えているだけだから、こっちには来ないから大丈夫だよ」 となだめすかして歩かせていました。 毎日、シールはその吠え声を

          愛情は「目に見えないごちそう」 愛情はさわれる(11)

          動物に愛情を伝えるスプーンケア 愛情はさわれる(10)

          以前の記事「愛しのスプーンケア」にも書きましたが、スプーンケアとは、私がふだんの鍼灸の治療で使っている皮膚に刺さない鍼(てい鍼といいます)を使った鍼治療の考え方を応用して、家にあるスプーンを使ってできるようにアレンジした簡単で安全なケア方法です。 今の盲導犬シールがわが家に来てから、私は 「てい鍼の代わりに金属のスプーンを使っても同じような効果があるのでは?」 と考えて、シールにスプーンの柄の部分を当ててみたところ、てい鍼と同じように気持ちよさそうにすることがわかりました。

          動物に愛情を伝えるスプーンケア 愛情はさわれる(10)

          迷い猫100匹を探し出したペット探偵犬 動物の本棚(14)

          『モリー 100匹の猫を見つけた保護犬』 コリン・ブッチャー著 杉田七重訳 東京創元社 この本は、英国海軍と警察官のキャリアを持つ動物好きの著者が設立した「UKペット探偵社」で活躍する史上初のペット探偵犬モリーの誕生と迷子猫捜索のエピソードを描いたノンフィクションです。 元英国海軍で警察官だったコリンは、警察を退職して私立探偵の会社を始めました。 探偵社では人間の身辺調査のほか、いなくなったペットの捜索も行なっていました。 ある時、コリンは家からいなくなった愛猫を探してほ

          迷い猫100匹を探し出したペット探偵犬 動物の本棚(14)

           盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(19) 「シールほえないプロジェクト」開始!

          今の私の盲導犬シールは、きまじめで仕事はきっちりこなす優秀な犬です。 ただしちょっとこわがりな性格なので来客のピンポン音などに反応してほえてしまうことがあります。 家に来たばかりのころは、シールがインタホンのピンポン音に反応してほえたら「ノー!」と注意していました。 一頭目の盲導犬スースーも最初のころはピンポン音にほえていましたが、何度も注意するうちにやがて全くほえなくなったからです。 でもシールの場合は少し様子が違っていました。 ほえた時に「ノー!」と注意すると、 「な

           盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(19) 「シールほえないプロジェクト」開始!

           盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(18) 遊ぼうよ! 

          盲導犬というと「まじめにお仕事をする犬」というイメージが強いですよね。 これは、たいていの人が仕事中の盲導犬の姿しか見たことがないからです。 家にいる時の盲導犬は、ハーネスをしていないので「お仕事中」ではないふつうの犬です。 これまで私のパートナーだったスースーとシジミも、現在一緒に暮しているシールも、みんな仕事をしていない「素顔」の状態では遊び好きで人懐っこいかわいい犬たちです。 三頭の犬たちはみんな遊ぶのが好きですが、それぞれの性格はかなり違っていて、好きな遊びも「遊ぼ

           盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(18) 遊ぼうよ! 

          目を使う文化と使わない文化 見えない世界のワンダーランド(8)

          私は中途の視覚障碍者です。 30代から徐々に視力を失う難病を発症し、現在はほぼ全盲です。 当たり前に目が見えていた状態から徐々に視力を失っていった時にはかなり絶望的な気持ちになりました。日常生活のほとんどを見ることに頼っていたわたしは、将来的に「失明する」ということがすごくこわかったからです。 その時のわたしにとって、目が見えなくなる、ということは「目をつぶって歩く」とか「いつも真っ暗闇の中にいる」みたいな状態だとイメージしていました。 その状態は当時の私にとっては、 「

          目を使う文化と使わない文化 見えない世界のワンダーランド(8)

          AIと一緒に絵を見る 見えない世界のワンダーランド(7)

          先日、ちょっとおもしろい美術鑑賞のワークショップに参加しました。 これは複数の見える人と見えない人、見えにくい人が美術作品の前でその作品について語り合いながら美術鑑賞の体験を共有する「ソーシャル・ビュー」と呼ばれる美術鑑賞のスタイルで行なわれたものです。 これまでにも私はこの「ソーシャル・ビュー」のスタイルの美術鑑賞のワークショップに何回か参加したことはありましたが、今回はそこに新たにAIが初参加する、というユニークな試みでした。 今回使われたAIのアプリは「ビー・マイ・

          AIと一緒に絵を見る 見えない世界のワンダーランド(7)

          盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(17) チェアだよ♪

          現在の私の盲導犬シールは「チェア」が得意です。 チェアというのは、盲導犬に椅子の場所を教えてもらうための指示語です。 「チェア」というと、盲導犬は近くにある椅子を探して、その座面にあごをのせて「ここにあるよ」と知らせてくれます。 カフェやレストランに行った時、テーブルまで案内されても、見えない私には椅子がどこにあるのか、どちらを向いているかがわかりません。 テーブルのそばまで行ったら手探りでテーブルの位置や椅子の背もたれを触って確かめないと座ることができません。 そんな

          盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(17) チェアだよ♪