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小説「私を治してくれた森田療法♡」

私は17歳。女子高校生。2年生です。でも最近悩みがあるの。学校に行けないの。半年前からです。休みがちになっています。クラスの人たちの、視線が気になって仕方がないの。いつの頃からかそうなったの。そうしたら、なんだかみんなに嫌われてるんじゃないかと、思うようになって、とても苦しい。

それで、知り合いの人に紹介されて、大学病院に行ったの。精神科にかかりました。教授の先生に診てもらいました。初老の優しそうな先生が、「森田療法で大切なのは、目的本位の生活をしてね、あるがままだよ」と優しくおっしゃってくれた。とても嬉しくて、お礼を言って帰ってきたの。

そしてその夜、お風呂上がりに色々考えていると、「あるがままって一体何だろう?、目的本位って何?」と私は思ったの。「今の具合の悪いのが、あるがままなのかな〜?、どういうことなんだろう?、目的本位って、何が目的なんだろう?」。私は考え込んでしまった。暫く経って、貰った薬がなくなってきたので、また大学病院に行くことになったの。

でも、あの先生また私に同じこと言うのかな?。「よく分かりません!」って質問しようかな?。失礼かもしれないなあ?、とか考えているうちに、数日経った。ある日、お勝手でお父さんがスマホをいじっていた。お父さんは「なんだかここに、お前の療法のことを書いている奴がいるぞ!」と言ったの。

私は「何それ?」と覗き込んでみた。そこには「あるがまま」のことが説明してあるんだけど、とにかく説明が難しい。心の状態とか態度とか書いてある。「なんだこれ?」。でも、これを書いている人が、一生懸命説明、しようとしていることは、よくわかった。あとはちんぷんかんぷん。

それからちょっと経って、私の今後について、みんなで家族会議をした。その中でお父さんが、「俺の友達に、昔、あの治療法を受けたのがいるから聞いてみるよ」と言ったの。連絡を取って、その人はその後、私に会ってくれるという。それは次の日曜日だった。

喫茶店で会いました。普通のおじさん。少し紳士的だった。美味しいコーヒーを勧めてくれた。その人と色々お話をした。その人は「この森田療法は、本来あまり「あるがまま」って言わないんだよ」とおっしゃった。それに「この療法は、心の状態を大事にするんだよ」とも言うの。

その日、家に帰ってお母さんに相談した。「あの人は、会社で立派な役職についてるから、信用していいんじゃないの?」と言う。それで、私もネットで色々調べてみた。そして分かったことは、この治療法は2つに分かれていたの!。一つは「あるがまま」という、言葉を使って治すのと。もう一つは言葉がなくて「ただ作業する」のと。

「なんだ?、あるがままの方が、かっこいいな〜?。後の方は正直ダサいな〜!」。しばらく考えていたけど、私は大学病院には行かなかったの。またお父さんの友達の、あのおじさんに連絡を取ったの。その人は快諾してくれました。また、喫茶店でお話ししたの。

今までのことを、色々お話ししたの。私の症状のこととか、困っていることとか、全て全部。そうしたら、その人はとても同情してくれて、「いいよ。今の主流のやり方ではないけれど、本来のやり方を、僕なりに教えてあげるよ」と言ってくれた。私はその人から、その考え方を教えて貰うことになった。

そして、ちょっと経ってから、家に来て貰った。そして、お話を聞くとまず言うの。「言葉を覚えちゃだめだよ!」それと「とにかく体を動かして、家のお手伝いとかをしなさい」とも言った。でもさ、これ私の症状と何か関係あるの?。またその人は言うの。「症状があっても学校は休まない。行ったら、ただ座ってればいい」と。

「この人大丈夫?、マジ大丈夫?」。私は不安になって、しつこく聞いた。でもその人は、再三言うの。「学校に行きなさい」と。それで私は、次の日から、しぶしぶ学校へ通いだした。症状は出っぱなしなので、ものすごく辛い。緊張や不安感もある。よろよろと通いました。

でもあの人は、「症状はあっても、無理しない範囲で、クラスの人たちと話しなさい。それに時々休むんだよ」と言う。その日、私は言われた通りにした。とても疲れた。でも何とか続けられそう。でも厳しいな。あの人は「全く気負う必要はないよ。嫌々ながらやっていいんだよ」とも言う。

「あれっ?。そんな変な考え方でやっていいの?。気持ちは込めなくていいの?」その人に聞くと、「考えていることより、実際に何をしたかが、重要なんだ!」と、「とにかく、体を動かすことを止めずに続けるんだ!、日常生活をするんだよ」と優しく言った。私は正直しんどかった。でも言うことを聞いたの。

それから、毎日頑張って学校に通ったわ。気持ちとかいうことではなく、体を動かした。クラスの友達とも、何とかやって行った。もちろん勉強もしたわ。あんまり効率は上がらなかったけどね。正直あまり冴えなかった。でも諦めていたの。他にどうしようもないから。それにあの人のことは、かなり信用していたわ。

そんなこんなで、2学期が終わったの。3学期になった。忙しい毎日。「今学期が終わると3年生になるなあ〜?」とか思ってた。「まだ症状続くのかな〜?」。正直やばいな。いつものように、バス停でバスを待っていたの。でもなんか変な感じ。


「あれっ?。嫌われてる感じがしない〜!。その感覚がないよ!。どういうこと?」
人の視線はその頃、あまり気にならなくなっていたから、でも急に、これはどうしたことなの?
あの人がこの間、言っていたことを思い出したよ。
「これが、この療法のいい所で、急にパッと治るんだよ!。そうなるとびっくりするよ!」

でも、ものすごく不思議な感じ。これは何なの?。奇跡なの?。こんなことあるんだ?。生まれて初めてだよ!。その日から、私はクラスの人たちと普通に話せるようになった。周りも受け入れてくれる。とても嬉しいわ。もともと、対人関係は上手じゃないけれど、前のようにはなっていない。

人のことは避けていたの。それが今は、自分のことを、はっきり言えるようになった。それから数ヶ月経った。私の症状はだいたい取れてなくなった。もう5月過ぎで、私は3年生。新緑の季節。木々の緑が、とても眩しくて美しく見えた。私の心は清々しかった。

とても緑が鮮やかに見える。景色がキラキラ見える。「私の心の状態なのかな?」。とっても嬉しい。最近は、家族の人たちも喜んでくれている。「あの人のおかげで治ったんだね?、よかったね」。私の弟も嬉しがっている。「お姉ちゃん良かったね!、前より綺麗だよ!」と冗談まで言ってくる。ちょっと本当かな〜?

学校の勉強も順調です。授業の黒板の板書が、ノートに、スラスラと書き留められる。頭にスッと入ってくる。自分でも不思議な感じ。夜もよく眠れるし、とても充実している。「あの治療法は、そんなに効果があったのかなあ〜?」。ちょっと不思議な感じ。でもいいわ。よくわからないけど、治ったんだからね。

私は一生懸命勉強して、希望の理学部に入りたい。お母さんが薬剤師なんだ!。薬学部に行きたいの。前は無理だと思ってたけど、勉強ができそうだから頑張ってみる!。実は、この間の試験でだいぶ上位だったんだ!。お父さんがとても喜んでくれたの。それで久しぶりに、あの人にも会うことになったの。

その人は言ったわ。「君は予想以上に短期間で治ったので、珍しいね!。素直な性格の子だったんだね。僕も嬉しいよ。正直びっくりしている」とおっしゃった。私、運がいいんだ?、感謝しないとね。人によっては、時間のかかる人もいるらしい。純情な気持ちのある人の方が、良くなるらしいんです。

私は机に座って、勉強中にそう考えていた。「そうだ !、もう少し勉強しよう!、絶対現役で薬学部に入るんだ!」。なんだか元気が出てきたよ。それでこないだ、あの人に会った時、また言ってくれた。「その「今」が充実しているのが、「あるがまま」なんだ。森田先生というのは、それを「日々是好日」と言ったんだよ。明日への希望、大きなのぞみなんだ!」

終わりに、私はとても辛かったけど、この病気になって、とても感謝している。人の気持ちも分かるようになったし、自分のことも、この歳にしては大部分かるようになった。少し自己洞察ができたのかな?。治るまでには、色々な経験ができた。色々学んだんだ!。自分にもみんなにも、とっても感謝しているわ。嬉しい気持ち。幸せです。


おしまい♡

(なおこれは、2024年度、Twitterにて投稿した物を改稿したものです)

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