お仕事③
「お給料って、お金がもらえるんですか」
「もちろん」
ええーっ。どよめく、みんな。
「クラスの中で使えるお金ね」
「なんだ、ニセモノか」
「ニセモノじゃないよ、ちゃんと使えます」
何に?
「それは、君たちで考えてもいいことなんだけど、
とりあえず僕からは2つ商品を出したいと思います」
先生が商品を出すの?
「ひとつめは、おかわり優先券。
給食のおかわりのとき、
その券がある人が無条件に一番におかわりできます。
ジャンケンするときも、自動的にその人はもらえます」
へえー。それはいいかも。
「もうひとつは、宿題1日パス券です」
おぉーっ。
「宿題しなくてもいいの?」
「もちろん。ただし高いでっせ。へっへっへっ」
と悪そうな顔をする先生。
「だけどさ、次の日には、
やらなかった宿題もやんなきゃいけないとか?」
「いいえ、それはありません。
完全にその日の宿題はナシになります。
まあ自分が困らないように、いつ使うかも自分次第です」
「じゃあ宿題めちゃくちゃ多いときとか?」
「ご自由に」
「夏休みの宿題も?」
「1日パス券です。
夏休みは30日あるんだけど」
と先生が返すと、みんな苦笑い。
うまくできてる。
じゃ、話は戻り、
会社のポスターに貼るシールは何のため、と思う。
「お給料は月に1回、25日に払います。
ただし、お給料を払うのは僕ではありません」
じゃ誰が払うの?
「君たちです。
その会社の仕事っぷりを見て、
よかったな、おもしろかったな、
役に立ったなという会社に、
君たちからお金を払ってください」
なるほど。
「ただ1ケ月も経つと、
その会社がどんなことしていたか忘れることもあるから、
毎週みんなで確かめ合う時間を持ちます。
いいなと思う会社に手を挙げてもらって、
その数に応じてシールを貼ります。
で、給料日にそれを参考に見てもらうのさ」
なんとなーく、わかるような分からないような。
何よりも、そのお金が目の前にない。
すると先生はそれを見越したかのように
「というわけで、
次はクラスのお金を作りたいと思います」