クラスの名前
「6年3組って名前は、物足りない気がするんだ」
先生は何でも物足りない気質なんじゃないかと、
だんだんわたしたちは思うようになってきた。
「6年3組はさ、他の学校にだってあるだろう。
日本全国6年3組だらけだ。
百山小学校の6の3、って言ったって、
昨年の3組もあれば、来年の3組もある。
でも君たちのクラスは、世界で一つしかないわけだ。
だから、
クラスに名前を付けたらいいと思うんだ」
なーるほど、名前ね。
すると男子の中から
「ファイヤー3組とか?」
「百山タイガースとか?」
「なるほどね。
でもそれってどんな意味がこめられているの?」
え?意味?
先生に尋ねられて口ごもる。
「君たちの名前と同じで、名前には意味を込めてほしいな。
こんなクラスになりたいっていうのが感じられるような」
というわけでわたしたちは話し合った。
そもそも自分たちはどんなクラスにしたいのか。
仲良しでいたい、明るいクラス、元気なクラス・・・
そしてそれをもとに、各々が名前を考える。
いよいよ発表だ。
「ブルードラゴン。がいいと思います。
3組のカラーは青だからブルー。
そして竜のように強くたくましいクラス」
「スマイル39。
みんなが笑顔でいられるクラスにしたいから」
「転校生きたらどうするんだよ」
「そのときはスマイル40に改名すればいいでしょ」
「ギャラクシー3。
銀河みたいに、たくさんの星が集まって輝くクラス」
それぞれの意見を聞いて、多数決に移る。
わたしたちが選んだ名前は
゛レインボウズ゛だった。
「レインボウズ。
虹はいろんな色が集まってきれいなように、
みんなそれぞれの個性が光るクラスにしたいから」
「よし、これから君たちはただの6年3組じゃない、
世界でたったひとつのレインボウズだ。
みんなでこのクラスを百山一、
いや日本一、
いや世界一、
いやいや宇宙一のクラスにしていこうじゃないかぁぁぁ」
みんな吹き出す。
相変わらず大げさだなあ。
こうして宇宙で唯一のクラス、
レインボウズの日々が始まったのだ