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宗教や信仰についての雑記 #229

◯自己参照と「循環する視点」

前回、宗教多元主義が必然的なものとして捉えられることを実感するには、先日の投稿(#212)で書きました、「循環する視点」が必要になると思います、と書きました。

この場合の「循環する視点」という言葉は、ある現象を異なる視点から観察することを繰り返し、あるいは、様々な観察対象を循環的に観察し、それらの相互作用の理解を深めていくという考え方として用いています。

オートポイエーシス・システムには自己言及性があると言われています。これはシステムが自身の構成要素を観察し、その自己参照を元にさらに新たな自己組織化を進めてゆくためのものです。
鏡が自分の姿を映し出すように、オートポイエーシスシステムは、自身の構造や機能を維持・産出するために、自己を参照・言及する性質を持っています。

このようにオートポイエーシスシステムは、自己組織化のために自己を参照・言及するという、循環的な構造を持っています。そのダイナミクスや複雑性を理解するには、自己参照から自己組織化に到る航跡をトレースすることが有効かと思われます。それは循環的な構造をたどる「循環する視点」でもあります。

超越者を多層的自己組織化するオートポイエーシス・システムであり、様々な宗教はそのサブシステムであるとみなすのであれば、それらのダイナミクスや複雑性を理解するには「循環する視点」が鍵となるのではないでしょうか。
そして我々人間もまたサブシステムであるならば、我々がその「循環する視点」を通じて観察することは、大いなるシステムの自己参照の一つでもあるということにもなります。

しかしこれは非常に観念的な捉え方です。「循環する視点」を通じていかにして自己参照から自己組織化に到る航跡をトレースするのか、その具体的な方法についてはまだまだ考えなければならないようです。

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